完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

23

時間が経ち、放送により生徒が体育館に集まっていた。


「あのさ、櫻井、予感って言うか、この後悪いことが起こる気がするわ」
「それは成績上位者が発表されるからかな」
「それしかねぇけどな」
生徒たちがざわめく中、放送が流れる。


「それでは、クイズラリーの結果を発表します。1位は桐野&神崎ペアです。2人は壇上に上がって下さい」
結果が発表された瞬間から男子生徒たちから落胆の声が上がる。


「前に行きたくないんだが」
男子生徒から睨まれる可能性が100%のこの状況で神崎が前に出たくないのだが後ろから手を掴まれた。
「ほら、行くわよ」
「会長、なんでここにいる」
「そんなことはどうでもいいの、ほら行くわよ」
「おい、待て、俺は行きたくない」
嫌がる神崎をそれでも尚、引きずって行く桐野に周りの視線が集まりだした。


「櫻井、てめぇ、会長が近づいてきたの黙ってたな」
「いや、面白そうで、ついね」
「ほう、後で覚えておけよ」
その言葉に櫻井はガクガクと震えだした。


「そんな」
「言い訳はなしだ」


神崎はまた、視線が集まってしまって無駄だと判断したのか、桐野に対する抵抗をやめた。
「あら、素直になったわね」
「無駄だと判断しただけだ」
会話をしながら壇上に向かって行った2人にはどんどん視線が集まっていった。


「あいつ、会長と親しげに話してるぞ」
「よし、殺そう」
「羨ましい、クソ―」
当然、神崎には男子生徒からの恨み視線が送られていた。2人は会話をしながらも壇上に上がって行った。


「明日、めんどくさいな」
「今日の放課後からの間違いじゃないの?」
「うるさい」
会話をしながら壇上に上がったにも関わらず2人は会話を続けていた。


「さて、それでは1位になったお2人、コメントをお願いします」
すでに壇上にいた司会に桐野はマイクを渡された。


「今回も例年に続き、1位を取れて嬉しく思います。男子生徒の皆さん残念ながらスペシャルプレゼントはお預けね。男子生徒だけでなく皆さん切磋琢磨して今後も学業に励んでください」
桐野の言葉に自然に生徒の間から拍手が沸き起こった。


「生徒会長、いいコメントありがとうございます。次に神崎君。お願いします」


心の中で、そこで終わらせておけばいいのにと思いながら神崎はコメントした。
「特になし」
今度は会場中からブーイングが巻き起こった。


「神崎君、それでコメントは本当に終わりですか?」
さすがにこれはダメだと思ったのか司会の女子が再度質問をしてきた。
「終わりだ。さっさっと終わらせてくれ」
またも会場中からブーイングが起こったが神崎は気にしなかった。


「そうですか。それではこれで今年度のクイズラリーは終了とします」


この後、教室に帰るまでに神崎は男子生徒たちに追いかけれたのは言うまでもなかった。

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