天才ダラダラしていたら家を追い出されたけど、結局、王都の学園で無双する

スリーユウ

15

寮に帰ったフェリクスはいつの間にか懐に入っていた本だけを観察していた。


鎧を倒すときに使用した刀は鎧を倒した時に形が崩れてなくなってしまった。その代わりとばかりに本の中には2ページだけ、奇妙なマークと1単語分の文字が書かれている場所があった。


ダンジョンで読んだ本と懐に入っていた本には同じ文字が使われており、その場で翻訳し、すべての内容を頭に叩き込んだフェリクスにはその文字が読めた。


「土の精霊・・あとは名称か?、ノチス、もう一つは風の精霊、シルフ」


シルフとフェリクスが口ずさんだ瞬間、目の前に美しい半透明の女性が現れた。


「お呼びですか?」
「お前は誰なんだ?」
「私は四大精霊の1人シルフよ」
「そうか」


それだけ言うとフェリクスは考えるようにベットに転がった。


「ちょっと、他に何か、ないの?」
「別に何もないが?」
「もっと、驚きなさいよ」
「何を?」
「私が精霊だってことを」
「お前と同じ存在なら、もう見たことあるよ、俺を驚かせたいならその本でも読んで見てくれ」
「そんなの簡単よ、えっと・・・、何よ、これ、何処の文字でもないわ」
「それはすごい」


知識から何処の文字でも無いと断言できるとは、よほど自分の知識に自信がある人にしかできない。実際、フェリクスは遺跡から回収してきた本の内容が読めなかった、つまり、この本はその当時使われていた文字が読めても読めないことになる。つまり、この本は暗号化されている可能性が高い。


「さてと、俺はもう疲れからねるけど、いいかい」
「もういいわよ、ふん」
「ごめん、本当に疲れてるんだ、これ上げるから、機嫌を直して」


フェリクスが取り出したのは商会で作ったクッキーだった。


「あ、それ食べて見たかったの、ホントにいいの?」
「別にいつでも作れるから構わないよ」


食べ物に釣られるシルフはちょろかった。


クッキーを渡したフェリクスは電池が切れたようでベットに倒れこんで、そのまま寝てしまった。


翌朝、フェリクスは太陽が昇っていない時間にむくりと起き上がった。
「起きたの?」
「そうだね、シルフは本に戻らなかったんだ」
「せっかく、現像できたのにもったいないじゃない、それより、貴方は疲れてたんじゃないの?こんな早くに起きるなんて、人は日が昇ってから起きるものでしょう」
「ただのいつもの日課だよ」


フェリクスは刀を取り出すと素振りを始めた。
「それの何がいいの?五月蠅いし、同じ事の繰り返しでつまらくならない?」
「防音の魔法を張ってあるから、音に関しては大丈夫だよ、そして素振りといっても、別に同じ事の繰り返しとは限らないよ」
「同じ動作しかしてないじゃない」
「私にはそう見えるわよ」
「素振りと言っても、その一振り一振りを考えて振ってるなら、それは違う一振りになっていくってとこかな」
「何を言ってるのか、さっぱりだわ、結局は同じ素振りでしょ」
「これ以上は伝えようがないからな、後は自分で感じてくれ」
結局、シルフには伝わらなかったのか、フェリクスの素振りの様子を観察している。


1時間後、汗を流したフェリクスは風呂に入りに風呂場へ降りて行った。


朝食もすませ、登校が完了したフェリクスはシルフに声を掛けた。
「今日はこの部屋で好きにしててくれ」
「わかった、好きにするわ」


何か、シルフの言い方にフェリクスは違和感を覚えたがあまり時間もないので、部屋を出た。


「人って何故、こんなにも群れるのかしら?」
聞き覚えがある声が聞こえたと思ったのか、振り返ったら、フェリクスの後ろにはシルフが佇んでいた。


「部屋に居てくれって言ったんだけど」
「大丈夫よ、私を見える人間なんて、そういないわよ」
確かに、精霊を見える人間はそういないだろう、しかし、フェリクスには学園で一人確実に見えるだろう人間に心当たりがあった。


「貴方、それ・・・」
「まず・」


透き通るような声にフェリクスが振り返るとプラチナブロンドの髪を靡かせたアリサ姫が居た。


「おはようございます、フェリクス君」
「おはようございます、アリサ姫」
アリサ姫からの視線に冷や汗が止まらないフェリクスだが、それ以上にアリサ姫からの雰囲気がただならぬものを感じ取った。


「今日の放課後、お時間はありますか、フェリクス君」
「ええ、勿論、大丈夫です、アリサ姫」


断れる雰囲気でもなく、フェリクスはアリア姫の誘いを承諾した。

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