美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜【完】

邪神 白猫

本当の気持ち〜side翔〜









 本編バレンタイン〜翔〜
















 いつから君を一人の女の子として意識するようになったのか、それは自分でもわからない。


 妹の友達。
 俺にとって彼女は第二の妹のような存在だった。
 確かにそう思っていた。




 ーーでも、気が付けば好きになっていた。




 今までの経験から、俺は誰と付き合ってもどうしても花音の事を優先してしまう。
 これはこの先も一生変わらない。そう思う。


 小さくて弱いくせにどこか無鉄砲で、その無邪気さが酷く不安なのだ。
 変な男に騙されやしないか、危険な目に遭ってやいないか、いつも心配で目が離せない。


 おまけに彼氏は、あの響だ。


 これでも一応、響の事は信用している。
 あいつは絶対に花音を傷付けるような事はしない。


(でも、響は少し……。いや、だいぶ変なやつだから……)


 やっぱり、花音の事が心配で放っておく事はできない。




 だからーー
 俺は、自分の気持ちに蓋をした。




 彼女を一番に優先してあげられないなら、自分から告白なんてするもんじゃない。
 何より、失うのが怖かった。


 大切にできずに失うぐらいなら、この気持ちは一生自分の胸に秘めておこう。


 ーーそう思っていた。






「……これ……ね、本命だから」
「……え?」


 目の前に差し出された綺麗に包装されたチョコを見つめ、思いもよらない突然の出来事に一瞬固まる。


「……俺は、花音が一番に優先なんだ」


 俺の口から、ポツリと無意識にそんな言葉が小さく溢れた。


 それを聞いた彩奈は、悲しそうな顔をして小さく微笑むと俺に向けて差し出した手を引っ込めた。


「うん……そっか。そうだよね、やっぱり迷惑だよね。ごめんね……今のは忘れて」




 ーーー!




 立ち去ろうとする彩奈の手をグイッと掴むと、驚いた顔をする彩奈が俺を見上げた。


「……っ。いや……だから、そうじゃなくて……。俺は彩奈の事が好きなんだ。でも、やっぱり花音の事を優先してしまうと思う。だから……彩奈を悲しませて失いたくない」


 彩奈の言動に触発された俺は、告げるはずではなかった胸の内をさらけ出した。


 すると、涙を浮かべた瞳でニッコリと微笑んだ彩奈。


「なんだ……そんな事。何年、一緒にいると思ってるの?」




 そう言って微笑んだ彩奈はとても綺麗で……。






 まるで時間ときが止まったかのように、俺は彼女に見惚れてしまったんだーー。








 ーー完ーー







コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品