(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

チーム生徒会

「うううぅ、それではチーム生徒会、出場メンバーについて発表するね!」 
「決まってなかったんかい・・」  


あといつまで痛そうにしてるんだ、そこまで強く叩いてないだろう・・・たぶん 


先ほど下らんことの所為で俺の疲労感は、一杯一杯の状態になっている
溜息混じりに弱々しいツッコミが何よりの証拠だ。 
 

「零っち、キレがないっす」
「相当疲れてるみたいね・・・おやつ食べる?」 


ツッコミのキレなんて武に任せてるからいいんだよ・・・手作りの和菓子ですか?頂きます。 


「あははは・・・」 


何があった知っている由香さんは苦笑するだけ
用意されたお茶と和菓子を摘んでいるとまた沙耶さんがブツブツ言いだした。     


「うううゼロ君に辱められた〜〜」


おっと、莉緒と比奈さんから冷たい視線が・・・・・誤解だってば


「分かってるっすよ」 
「いつもの事でしょ?」
「ならそんな目で見ないで下さい」


誤解解いたでしょ?なんで!?


「「なんとなく・・・・・」」 


”なんとなく”で人を蔑むような目で見ないでくれない? 


それから沙耶さん?  


「まだ反省が足りないらしいな?」 


せっかく仕舞ったハリセンを再び取り出して沙耶さんをーーー  


「すみませんすごく反省してますからーーーハリセンは出させないでください」 


・・・・はぁ  


ハリセンを仕舞うと説明を促す俺   


「本題に移れ沙耶さん」 
「うう〜〜・・・はい」


どこか納得がいかないようだが、時間もないので比奈さんに説明をしてもらうようだ。


「はぁーーじゃ私から説明するよ」


比奈さんがそう言って莉緒の方を向く。


「まずは1人目、うちの中で久保先輩を除いたっら、一番の運動能力が高いーーーリオちゃん」 
「ハイっす」 


事前に莉緒から聞いていたし、予想はしていた。


「次は当然、今回の助っ人であるレイ君」    
「了解です」


まあそのために呼ばれたもんな 


・・・・で、問題は 


「3人目は・・・・・。」
「比奈さん?」


どこか言いずらそうにしている比奈さん  
ああ嫌な予感が・・・やっぱハズレ・・・ですか?   
 

「フフフフ〜♪」 


ニヤリとこちらに笑みを浮かべている沙耶さん・・・・ああ  


「考え直「せないからね?」・・・・・。」


比奈さん・・・・貴方が運動が苦手で由香さんがダメ・・・・・・・なのは分かりますが・・・選択の余地はなしか   


大将の・・・ーーーサヤの3人ね」  
「・・・・・。」


勝てるかどうかという以前の問題では・・・この人選・・主に沙耶さん最後が  
問題が起きない事を祈るばかりだが・・・  




「うん、時間だね」 


比奈さんが生徒会室に設置されている時計を見てそう呟く。 


それを確認すると沙耶さんが勢いよく立ち上がり 


「それじゃ、気合を入れていくよ〜〜〜!」
「はいっす沙耶っちセンパイ!」 


テンションが高い沙耶さん・・・莉緒まで 


「チーム生徒会ーーーしゅっぱーーつ!」 
「お〜〜〜っす!」


ハイテンションの沙耶さんと莉緒を唖然とした顔で見送る俺に 
由香さんと比奈さんが 


「が、頑張ってね?零くん」
「今度デザート作ってあげる」 
「・・・・・・。」


もうどうしようもない様なので早々諦めることにしたが・・・・・・割に合わないッ   
もう少し請求しても罰は当たらないのでは?と思い、大会後、さらにデザートを多めに要求しようと思った俺である。
帰ったら葵と食べよ。
********
零が生徒会室でウンザリしている最中
凛と佳奈は、人の居ない教室で対面していた。
「ちゃんと挨拶してないでしたね」 
「え、えぇそう・・・ね」 


名前の様に凛とした表情で佳奈を見据えている。
対照的に若干怯んだ表情で凛と向き合っている佳奈・・・・その額には僅かに汗が・・  


短い視線の交錯・・・・最初に切り出したのは凛だ。 


「改めて自己紹介します。私は零さんの後輩・・・・・・さかき りんと申します。以後お見知り置きを」


零さんの後輩・・・・・・”ーーーという部分を強調して挨拶する凛。何処までも真っ直ぐ視線にビクついてしまう佳奈  


「ご、ご丁寧にどうもっ、白石しらいし佳奈かなと言います。」


あんまりの最低限の挨拶


(あ、幾ら何でも、短過ぎるぅぅ〜!もっと何か言う事があるでしょ!?)


「あ・あと泉君の協力者・・・です。異能使いとして」  
「・・・・・。」 
(あわわわわわっ失言だった!?) 


黙り込んでしまう凛に戸惑いを隠せずにはいられない佳奈 


すると 


「・・・零さん・・・協力者・・・・・・ですか」
「・・・(コクリ)」 


頷く事しかできないでいる佳奈
口調は変化はない・・・だが、何処か威圧感がある。
それが佳奈の口を凍らせる。


「そうですか・・・分かりました。では、今後もよろしくお願いします。白石さん」
「へ?」


あっさりした凛の対応に目を点にしてしまう佳奈


「?、何か問題でもありますか?」 
「う、ううんっ、そういうことじゃなくてっーーー」


慌てて否定する佳奈に微笑して答える凛   


「ならーーー問題ないです。では私はこれで」


そのまま背を向けて教室を立ち去ろうとする。




「ッーーー待ってっ!」


何故か分からない、それでも・・・このままじゃイケないと言う心情が佳奈を無意識に動かす。 


「・・・・なんでしょう?」


振り返り佳奈と再び向き合う凛 
その眼は先ほどと同じーーー感情が読み取れない無感情の眼   


「・・・・なんで」


その眼に心が押し潰されそうなるも・・・それでも口を開き・・・佳奈は聞く。




「なんで何も・・・・言わないの?」 
「・・・・・。」


佳奈の問いに無言になる凛・・・場が凍りつくのを佳奈は確かに感じた・・・自分の所為だと理解して 
でも、やめない。
辛いことになるのは分かる。それでも聞かなくてはイケない。受けなくてはイケない。


「あなたには、私を罵倒する理由がある・・・江梨ちゃんの暴走は、私に非があるから」


それだけの事をーーーー自分はした。 


「・・・・・。」


懺悔に近い彼女の告白にただただ無言で見据えているだけの凛。
・・・・しかし、その握り締めた手は、プルプル震え、何かに堪えている。


「だから「・・なに・・・ですか・・・(ぼそ)」ーーえ・・」


不意に呟く凛に佳奈が呆然とする・・・・ 






「貴方を責めて、なんの意味・・・・・があるんですか?、と聞いたんです。」
「・・・・。」


怒気はない。それでも先ほど以上の冷淡な口調で凛は言う。


「意味ないですよ。零さんが終わったというのです・・・私がいくら言ったて、零さんを困らせるだけです。」


その表情は何処か悲しげであり、口惜しさを滲ませている。


「私は貴方を罵倒して責めたりしません。ですがーーーあなた方が零さんにした事は忘れません・・・・・。」


その眼には、怒りは感じられないーーーそれでも覚悟は感じられる・・・・・・・・
ーーーー戦う覚悟が・・・・・


「・・・・はい」 


佳奈は一切否定しないし抵抗しない。なぜならーーー   


「もしまた零さんを苦しめる様なことをしたらーーーーたとえ零さんが許しても・・・私はあなたを・・・・・・許しません・・・・・


ーーー彼女の言い分は正しいから・・・・ここで自分に反論など許されないのだ。 
 

「その時は覚悟して下さいーーー私は零さんとその周りを脅かすに、優しくする義務はありませんので」
「約束する。もう二度とーーー泉君を傷付ける様なことはしないと」 


真っ直ぐ彼女に向かってそう宣言ーーー誓いをする佳奈。


「「・・・・・。」」


しばし、視線がぶつかり合う・・・・そして


その眼・・・を信じましょうーーーだから零さんがあなたを・・(ぼそ)」  
「え?」


最後の部分を聞き取る事が出来なかった佳奈は、疑問の表情を浮かべ首を傾げるが。


「いえ、なんでもありません。」      


すぐに切り替えた凛によって流されてしまう。 


「ええ?凛ちゃん?」


聞き返そうとする佳奈だが 


「馴れ馴れしいです。失礼します。」  


そのまま教室を立ち去り歩いて行く・・・早歩きで 


「あ〜〜〜っ待って凛ちゃん!」


後ろから追いかける佳奈を無視して凛は歩き続ける・・・・目的地も決めず。




「む〜〜〜なんであんな人がーーーー零さんのパートナー・・・・・を〜〜〜っ」 


その眼は、先ほどの無感情な瞳ではなく、焦りや口惜しさーーー嫉妬の感情がうごめいていた。


卓球戦 前編へ続く。


おまけ
生徒会室にて 
「それして美味しいですね比奈さんの手作り和菓子」    


「まーこれでも料理部副部長だかね?」


「なんというか・・・ギャップがあります。」


「見た目がギャルぽいから?」


「金髪女子高校生がエプロン姿で料理・・・・得意そうに見えますか?」


「ふふふっ、見えないね。」


「・・・・一ついいですか?」


「うん?何?」


「・・・由香さん・・・どうにかなりませんか?」


「・・・・・レイ君」


「はい」
「人には出来ることと出来ないことがあるんだよ?ーーーーーそこは彼氏さんとして頑張って」
「・・・彼氏じゃないですから・・・・というか、ムリなんですね」   


零の食難はまだまだこれからの様だ。 

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