(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

屋上の傍観者

零が佳奈、江梨、蓮と対面してる時 
学校の屋上で1人の男子学生が校舎裏を眺めていたーーー英次である。 


「やはりダメだったか・・」
彼には視えた。
膨大な量の心力が放出されバカデカい異能の炎が発現したのが 


「アレが炎の【属性型】から進化した【派生型】ーーーー【炎喰ひぐい】か」
零と別れた英次はそのあと皆がいる教室に戻るーーーのではなく、そのまま学校の屋上へ上がり校舎裏の方を眺めている。


「やっぱちゃんと言った方が良かったかな?」
彼からは数多くの木しか見えないがーーー彼には分かる・・・・・・


「いや、どのみちダメだったろうね。」
仮に話したとしても、彼は理解し切れないーーーと、結論付ける英次


《眼に映るモノが全て真実とは考えてはいけない》
朝のメール、そして先程の説明の時に言った言葉 


仕事の時異能関係の零は、理論的に考えて行動する癖があるから・・・見たものそのまま捉えてしまう、その先にある・・・人の心情がーーー彼には分からない、女心なら尚更」  
  

昔と比べ、心情や感情について零が少しずつ理解してきた事は英次も知っているが、それでもまだまだである。
特に異能や魔獣が関連してくると感情的に流されず、頭の中で冷静に分析し、思考し動くタイプなのだ。
英次は、それが零の長所であると同時にどうしようもない短所だと考えている。 


流されず、戸惑わず、驚かず、只々目の前の事を冷静に対処するーーーそんな機械のような事を零は・・・


「非情って言葉がピッタリだ。」
本人はそんなつもりは全くないんだろうけどね、と彼は付け加えるのを忘れない。 


「ヘタにそのまま言うと僕も分からない未来・・・・・・・になる可能性が・・・考えたくないーーーーーお?」  


紅蓮の3頭獣が零に襲い掛かろうする瞬間彼の前に水の壁が出現したのが視えた。 




「まあ予想してたよりも早く凛さんが来たみたいだからねーーー彼女が居れば最悪の事態は・・・・・・回避出来るだろ・・・・・・・。」 


このあとの大仕事もねっとニコニコしながら彼は呟いたが・・・不意に目を細めて真剣な顔つきになる。




「けどーーーそれだけじゃ足りない。」




まるで知っているかの様にーーー彼は曇で覆われている空を見上げて言う。


「『紅蓮炎女』篠崎 江梨と『狂骨騎士』篠崎 蓮 
そしてーーー『滅びの魔人』白石 佳奈
あの3人の力が必要だ。」


そこまで言う彼は、今度こそC組がいる教室に戻ろうとするーーーーが
「うッ」


突然目眩でも起こしたかの様に右手で額を押さえながら、膝を付きそうになる。


「ふぅ〜〜〜・・・ちょっと使い過ぎたかな・・・・・・・
やっぱ使い勝手悪なーーーこのチカラ異能


それでも何とか歩けるくらいに回復したのか
彼は下の階へ降りるため階段へ向かう。


途中彼は校舎裏の方へ振り向き 
「頼むよ零?
此処で君がしっかりしないとーーーー今後が大変だよ・・・・・・・?」
疲れ顔で彼は聞こえもしない親友へ向けて呟いた。


校舎裏の攻防へ続く。




おまけ 
発動する異能に名前を付けると効率が上がる? 


零「異能技に名前を付けるとその発動する技のイメージがより明確になるから自然と発動し易くなるんだ。
逆に技名を言わずに発動するタイプは、頭の中で既にイメージが出来てるか、それ程集中しなくても発動できる簡単なタイプかに分かれるな・・・・前者は頭脳派、後者は感覚派だな」 


佳奈「へ〜?そうなんだ?」


零「そう言えば以前溶岩魔獣と好戦してた時、お前は技名言わなかったが・・・大丈夫なのか?」


佳奈「ん〜〜一応あの光の玉にも名前はあるけど・・・私の場合・・言ってもあんまり意味ないから・・・(トホホ・・)」  


零「あ〜〜〜確かに・・・アレ・・じゃな」


佳奈「うううう」


零「此れから大変だな(笑)」


佳奈「うぇ〜〜〜!何か泉君が楽しそうにしてるが怖い〜〜〜〜!(涙目)」 


*佳奈の苦難は、まだまだ此れからである。   

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