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(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

お話という名の尋問

異能者同業者だろう?
零の言葉に周囲に緊張が走る。 
「「!?」」
「泉君ちょっとストップ!」 
これ以上はマズイと本能で感じた佳奈は零を止めようとするが 


「ストップって、お前な、初対面だろう?挨拶がマナーだ。」


「ぐ、ググググッ」
やれやれと首を左右に振り、呆れる零に確かに正しいのに何故か怒りを覚える佳奈であった。 




「そうですか・・貴方があの【魔獣狩り】ですか」
どこか得心した表情で呟く蓮 
「魔獣狩り?」 
「有名ですよ? 『魔獣を何体も陰で討伐している謎の異能者』と」  
「マジか〜」 
(何か知られてるとは聞いてたが・・・そんな通り名が付けられてるとか) 
蓮の説明に地味にショックを受けた零であった。 






「自己紹介が遅れました。ぼくたちは、異能機関『四神』より来た者です。
ぼくは篠崎蓮です。・・・隣の彼女は」
「篠崎江梨」
蓮に促されて、何故か渋々名乗る江梨
どういう訳か、先程から蓮が零に話す中一言も話さず、ジトっとした目で零を睨んでいた。
(何だこいつ?) 
もちろんその視線に気付いていた零であるが、どうしたものかと考え、取り敢えず放置している。 
「ふ〜ん・・・双子か?」
零が2人も見比べてそう呟く。 
「えぇ、一応ぼくの方が兄と言う事になってます。」
「俺にも妹がいるぜ?」  
「妹さんがいらっしゃるんですか?」
「まぁなーーーー超可愛いのが」
「え?」
「気にしないで蓮君、泉君はこう言う人だから」
「はぁ」
零の言葉に疑問を抱く蓮であったが佳奈に言われて一旦その思考を外に出した。




「それより転校生〜?」
「う」ビクッ!
佳奈に対して普段はなかなか見せない笑顔で尋ねる零とそんな零を見てビクビクしている佳奈という絵図ーーーー弄りタイム開始  




「「転校生?」」 
不意に蓮と江梨の疑問の声が零には聞こえたが無視する。


「どういう事か説明してくれるよな?」(ニコニコ)  


「いや〜あの私もイマイチ理解し切れてなくて・・・」(フルフルッ)  


「ほ〜理解し切れてない?ーーーーーー忘れてただけじゃ?」(ズバリ)  


「な、ないわよ!?」(ギックーーーーー!?) 


「本当か?」(疑いの眼差し)  


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・朝・・メールが」(チラッチラッ)  


「ほうほう」(ふむふむ)  


「う、う、う、うッ」(ビクビク)  


「・・・・・。」(ほ〜う?)   


「そ、え、あ、う」(おろおろッ) 


「・・・・・。」(・・・・とっとと言えやコラ?) 






「スミマセン言い忘れてました。」(自首します。)  
「修業の時間が楽しみだなぁ〜♪」(はい、おしおきコースへご案内〜♪) 


そんなお話タイム尋問タイムも終わり、今度のトレーニングおしおきコースをどんな内容にするか楽しそうに考える零だった。 






その間佳奈は   


「ううう〜〜〜〜お手柔らかにお願いしまうぅ(涙目)」
因みに零が楽しそうにトレーニングおしおきコースのメニューを考えてる間、この世の終わりのような表情で涙目になっていました。
弄りタイム終了






「まあーーーこんなもんか?」
ひと仕事終えたかの様に言う零に 
「う〜〜やっぱドSだーー泉君は」 
唸りながらそう呟く佳奈
「心外だな?こんなに寛容な人間なんてそういないぞ?」
ニヤニヤして反論する零 
「ぐぐがががッどの口が〜」 
先程以上の怒りで美少女とは思えない表情になってしまっている佳奈 
今すぐ突っ掛かりたい気持ちで一杯だが、自分に非があるのは変わらないと、自問自答して怒りを抑える佳奈であった。
「(落ち着け私〜〜〜ッ!このストレスを修業で発散すればッ!)」
どうにか抑え込む佳奈である。
  





「それは置いといて「置いとかないでよッ!」」
当然放置する零であるが、彼には先に聞かないといけない事があった。
「「・・・・。」」
この2人ーーー蓮と江梨と呼ばれる兄妹がどうして此処に来たのか?
薄々感付いてはいるがーーーそれでも念の為、聞かねばならない。
「(最悪の場合は、協力してやらないといけないなぁ・・・)」 
そう心の中で納得して2人に聞く零であった。
 

ーーーしかし


「なぁ?何でお前らがこの街「泉零・・」ん?」
さっきから余り好印象を持たれてない江梨に聞いても話してくれるか怪しいので、話慣れてきた蓮に聞いてみようとしたがーーーーー江梨に阻まれた。  
「あなたに一つ聞きたいことがあるんだけど?」
真剣な表情で聞いてくる江梨に妙な気迫の様なもの感じ取った零は
「・・・何だ」
自然と真剣な表情になり耳を傾けている。 


「「「・・・・・。」」」 
心なしか少し重い空気になっている場で黙ったまま江梨が話すのを待っている零、佳奈、蓮の3人であったが 
「・・・・あなた」 
彼女が話し出す瞬間、周囲に緊張  
「佳奈にーーー変な事してない?」   
ーーーー走らなかった・・・   
「・・・・は?」  
「ちょっと江梨ちゃん!?何言ってるの!?」
「と言うか何?転校生って?私の佳奈をそんな風に呼んでんの?ね?ね?」 
「え?」
「さっきのやり取りも何!?あの佳奈が男に従順になってーーーーあんた!一体私の佳奈に何したのよ!?」 
「いや?特にはないと・・」 
「ウソねッ!あのバカで天然でオッチョコチョイで戦い以外は役に立たないーー私の佳奈をあ・そ・こ・ま・で!!」 
「別に変な事何てされてないってば!!
て言うかバカで天然でオッチョコチョイ!?戦い以外は役に立たない!?
江梨ちゃん普段私をそんな風に見て来たの!?」
「まさかッ!?調教ッ!?調教なの!?
私の佳奈が再教育されちゃった、ってこと!?」   
「江梨ちゃんてば〜〜〜!!」
次々と爆弾発言を連発していく江梨 
 そして、そんな彼女を顔を真っ赤にして止めようとする佳奈 
「・・・・・。」
こんな2人を見て零は思った。
「(?????)」
頭の中の思考回路が狂っていた。
余りそっちの方面の知識が無い零にとって、この状況は、酷く頭を悩ませていた。
それも当然か? 
自身の恋愛についても、全然駄目駄目だと言うのに、他者のーーーしかも、若干奇妙な関係図に零の思考能力では、処理する事は出来なかった。  
「(どういう事だ?調教?再教育?私の?何が彼女を?そこまで?させる?何故怒る?友達だから?好きだから?同性だぞ?ココまでする事か?転校生の方はあんまりそ表情からして違うようだがーーー分からないーーッ頭が)」 
本人は自覚してないが考え方がコンピュータの様なーー機械の様な感じになっていた。 
「ね?聞いてる?」 
そのせいだろう 
「あ〜〜聞いてる聞いてる。」
江梨から声を掛けられても、頭の回転が回らず、上の空でーーーー思考の殆どが停止していた。




ーーーーその結果
「そうだな確かに俺は転校生を名前ではなく、アダ名で呼んでいるがーーーだからなんだ?」


「はぁ?」


とんでもない地雷を 


「お前には関係ないだろ?」


踏み抜けようとしている事に 


「あるわ。
私は佳奈の親友、何処とも分からない土地で1人で頑張ってるこの子をーーー守る義務があるの!」  


零はーーー気付いていなかった・・。 
「アナタが佳奈のパートナーなら尚更ね。」
「江梨ちゃん・・」 


「違うぞ?」
「え?」
「?」
「・・・・何が?」
疑問を浮かべる3人、代表として江梨が訝しげながら零に答えを聞く。






この時ーーー零にとっては本当に何気無い一言だった。 
「転校生は確かに俺と協力関係を築いているが別にパートナーとかそんな深い仲じゃないぞ?
ただの利用し合うだけのーーーー都合の良い協定だ・・・・・・・・。」 
だがその言葉この場で聞いていた者達にはーーーー余りに悲痛なセリフだった。 
「「「!!!」」」
ーーーーーーーー特大の地雷を踏み抜いた。


当の本人はそんな自覚もなく 
「俺たちはただ利害が一致したから協力してんだ。」
お互いにWinーWinにーーーそんな大人の社会がある。
「俺がそっちを利用する様にーーそっちも俺を利用する」
零はそれが当たり前だと3人に説明したかったんだ。
「一般的なマナーのひとつだろう?ビジネスの」 




「「「・・・・。」」」
だがこの3人は零が思っているよりーーー大人ではなかった。
いや蓮に関しては、確かにそれもそうだ、と渋々ではあるが納得していた。


他の2人は別だが 
「・・・・泉・・君。」
零の表情を見れば分かる、まだ知り合って間も無いけど
彼の表情はーーーー真剣だった。
これが彼の本音
「ッ?」 
そう思った途端、佳奈の胸の奥が締め付けられる様な感覚に襲われた。
酷く苦しいくて・・・痛くてーーーー悲しい。
「うッ!」
不意に佳奈の目から涙が流れてきた。
少しずつ小さな雫で 




「ん?転校生?」
さすがに不審に思った零が彼女に近寄ろうするが  




彼の前にーーーー怒りで顔を真っ赤にした江梨が立ち塞がる。


「・・・・・謝りなさい・・・・・」 
「は?」 
「江梨ちゃんッ!?」
「江梨!?」 
怒気のある声にーーーー違う彼女の周囲の心力の上昇に驚く零 
そして彼女が本気でキレている事に瞬時に理解して焦りの声を出す佳奈と蓮


咄嗟に蓮が江梨の肩を掴んで抑えようとするがーーーー遅かった。




「・・・・・。」 
「ッーーー謝れって言ってんでしょうがッーーーーー!!!」 
無言のまま彼女を見ていた零に遂に堪忍袋の尾が切れた江梨が






能力紅蓮の炎を発動した。




「ッ!?」 
零にとってもこれ予想外であった。
心力が高まっていたから警戒はしていた零であるが
「(幾ら何でも人間・・相手に本気でッ!?)」 
この熱量と炎の大きさ
これはーーーどう考えても脅しレベルではない!!
「くッ、やべッ」
炎が3頭の首を持つ獣の姿となって零を包もうとする。
遠くから佳奈の悲鳴や蓮の制止の声が聞こえた気がするがーーー聞こえない
いや 
「飲み込め獄炎の猛獣ケルベロス!!」
炎を操るーーー江梨の声はハッキリと聞こえた
「仕方ない」
零もこのまま殺られる訳にはイカない
零の異能ーーー【黒夜】を使って防御を! 






水蓮の包アクア・ウェア」  


透き通る様な声が聞こえたと思ったら獣と零との間に無数の水色ーー水の花弁・・・・が現れて衝突を防いでくれた。


その瞬間、水と炎がぶつかり、大量の水蒸気が発生する。 


「間に合いました。」
蒸気が発生して曇る視界の中ーーー先程と同じ声が  
「ご無事ですか?零さん・・・」 
煙が晴れる中ーーー零は見た。
清楚な印象のある白いブラウスと少しだけ短なスカート
以前あった時より少しのサイドテールの黒髪ーーー何処か覚えがあるヘアゴム
「改めてーーー久ぶりだな?りん
「はい!お久し振りです。零さん」


さかき りん 
零が待ち合わせしていたーーーカワイイ後輩だ。


第2章 苦労人と球技大会 上 完。 
第3章 苦労人と球技大会 下へ続く。   




おまけ 
栞「く〜〜〜〜や〜〜しいいいいいいいい!!」  
莉緒「どうどうっす、落ち着いて栞っち」
栞「だから栞っちって言うな!」
莉緒「負けたものはしょうがないっすよ。」
栞「く〜〜!」
莉緒「それにまだ決着が着いたわけじゃないっす。」
栞「・・・・そうね。午後は最初から全開で行く。」
莉緒「始めから全開でいったら、体力保たないっすよ?」
栞「平気鍛えてるからーーーそれに最終戦殆ど何も出来なかったから体力があってるの。」
莉緒「お〜怖いっすね?」
栞「気を抜いてるとーーー痛い目見るから」
莉緒「分かったっす♪」
栞「ーーーそれから覚悟してなさいよ泉!!次はギッタン!ギッタン!にしてやるから!!」
莉緒「(・・・・タブン零っちの相手は栞っちかあの人姫将軍だと思うっすけどーーーーどっちも修羅場っすね。零っち♪)」 


*零の未来がどんなルートを辿っても地獄だと莉緒はこの時確信した。
 


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