(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

軽い訓練です。 パート2

地下の訓練場 


現状の報告をしよう。


訓練中です・・・以上


「だからちょっと、って!またーー!?」


地下の訓練場に響く声に俺は耳を塞いで叫んだ相手に答える。


「言っただろ?またやるって」
「けど明日球技大会なのよ!?」 
「だからさ」
「え?」


俺の意図が掴めず頭から”?”マークが出ている転校生
そんな彼女に対しプッと笑いが噴き出そうになるのをどうにか堪えて、俺は簡単に理由を話す。  




「明日は球技大会があるから無理だろう?
だから今日のうちにやっといた方が楽だと思ったからに決まってるだろ?」 
「・・・・・」 
「よしそれじゃ、そろそろ行くぞ〜!」 


俺が話した理由にボー然と固まる転校生を置いて俺は、異能で左手に盾を右手で普段から・・・・鞄に入れている・・・・・・・ハリセン・・・・を取り出し、転校生に呼び掛けた後それらの武器?で転校生に仕掛けに行きました。 


「(攻撃系の武器だと色々と面倒だからな、コレハリセンで様子を見るか!)」 


*零の異能により攻撃武具は、対象に接触すると相手の瘴気あるいは、異能者の心力を消費させてしまいすぐに終わって訓練にならないので、手持ちのハリセンを使うことで長期戦での模擬戦を行おうと零は考えたのである。(さすがに防御無しでは、厳しいので盾も用意している。)  






その結果 




「うっうわわぁぁぁぁぁ!!!」 


号泣して地面伏してる転校生とその隣で彼女を慰めている柊さんの絵図が・・・・・あれ? 
おかしい・・・なんか俺がイジメっ子みたいな状況になってるような気が・・・


「なってるような、じゃなくて、本当になってるんだよ零」 


何故か心を読んだ柊さんの表情は呆れ顔4割、苦笑顔4割、怒った顔2割で俺を見てきます。(見た目は笑顔だけど) 
 

な、なんで!? 


「え!?お、俺はただ普通に訓練をしただけで」 


柊さんも見てたでしょ!?
俺は開始の合図と同時に心力による身体強化を行い、一気に接近してボーとしている転校生に、まずハリセンで1発!
それでやっと現実に帰ってきた転校生は何故か構えずに”痛いじゃない!!”と怒鳴ってきて一向に構えないのでもう一度ハリセンで1発!
2発目でやっと現状を把握したのか、文句を言いながらも、指輪を付けて構える転校生、異能で光の玉を作り攻撃してきたので、盾でガード、それと同時に身体強化で背後に移動して後頭部にハリセンで1発!
痛がりながらも、背後にいる俺に直接光の玉をぶつけようとするので、身体強化で背後に移動してハリセンをもう1発!
今度は涙目になって”ちょっとは手加減してよ!!”とか言ってきたが無視して再び背後に移動してハリセンで1発! 


転校生が攻撃してきた時は盾でガードするか身体強化で避けるかして流しその後背後に回ってハリセンで1発!


まぁこんな感じなことを30分程繰り返していきましたが・・・・どこかにおかしな所なんてあったか?       




「(柊さん、何か変なところありましたか?)」


柊さんに視線で尋ねてみます。すると 


「はぁ〜」 
「(うわっ!完全に呆れらてます!!ひ、ヒド!! 
何!?何その目は!?
その分かってないな〜みたいな目はなんですか!? )」 
 

 

俺が柊さんの呆れ顔に少しショックを受けているとさっきまで泣きじゃくっていた転校生、俺に向かって   


「グス・・グス・・あんまりよ〜」
「・・・・・・」


・・・やっぱり俺が悪いのでしょか?
俺のそんな視線に柊さんコクリと深く頷くので俺はガクッと首を下げて、ドンドン大きくなっていく罪悪感に苦しみ出したのである。
 



しばらくすると転校生も落ち着きをだしどうにか話せるまで回復するのだが、


「あ・た・ね〜!少しは女性に対する気遣いとかは無いわけ!?」


話せるようになって早々俺に猛烈な抗議してくる転校生 
”転校生に気遣ってるのか!”と聞かれた俺は  


「ん?気遣ってるつもりだが?」


正直に答えます。
すると転校生は、ぽか〜んと口開けたまま固まり、柊さんは手で顔を覆い、ダメだこいつみたいに首を左右に振る。 


「アレで!?」


やっと思考が追いついたのか俺にキスしそうなくらい近づく転校生・・・・近いぞ? 


「ジ〜」ジト 
「・・・・・(それにしても、まじかで見ると・・・・結構・・・)」  




ま、そんな事は置いといて・・・ 


「まぁ大体見せたことは見せたが・・・」 
「だ・か・ら!勝手に進めないでくれない!?」 
「あのスピードに全然ついてこれなかったな〜・・さてどうしたもんか?」  
「ねぇ!?お願いだから石井君みたいに無視するのやめて!?(半泣き)」  
 

やべっまた泣き出してきたぞこいつ・・・・
しかし、時間も惜しいんでとっとと進めます。




「それどうだ?モノにできそうか?」


俺は涙目になってまた泣き出しそうになってる転校生に聞いてみると 


「だからサラッと進めないでくれる?・・・さすがにすぐにはムリよ。」


ジト目になりながらも答える転校生 
・・・やっぱ難しいか? 
 

「心力での身体強化・・アレ、コントロールが難しいの。見ただけじゃ」  


と言うか全然出来てなかったよな?
以前俺が一応教えたから今日試してみたようだが、 




「コントロールが下手すぎねーか?その指輪があるのによ。」 


あの指輪である程度は心力をコントロール出来るはずだが・・・・ 
 



「だって〜!普段はこんな心力の扱い方なんてしたこと無いわよ!」  


転校生の言い分も、もっともであるのだが、


「にしてもよ。」


ちょっと下手過ぎる気か・・・ 


「異能を使う時は割と出来てるよな。」
「異能を使う時は、この指輪で補ってるから・・」
「アレって『純光石じゅんこうせき』だよな?」
      

純光石は、魔獣が倒された時に周囲に充満する瘴気を心力として変換して出来た石のことである。(特殊機器とこの技術を持つ技術者が行っている。) 
この石に異能者の心力を流し込むことにより自分専用の補助具として使用ができる。(注ぎ込んだ心力によって色が変わることから『七光石』または『虹の欠片』とも呼ばれている) 
効果としては種類によって違うが、基本は異能者の異能の能力強化やその操作の精度アップなどが出来るのだ。  




「うん、ランクは聞かないでね?聞かれると色々と困るから・・」


純光石には魔獣と同じでランクがあるのだが、高純度な心力のモノほどランクが高く量が少ないので大変高価であり(倒した魔獣によってランクが決まる。高濃度の瘴気ほど高純度の心力の石が作れる。ただし高濃度であればある程加工が難しい。)、モノによっては、一生遊んで暮らせるほどの値のあるモノもあるので狙われることがあるのだ。したがって、持ち主には厳重な管理を求められている。


自分が所持していることもだが、持っているランクの公表も絶対にあってはならない。 




だがランクついては、本人もしくは知っている誰かによって情報漏れがない限りバレる事はないのである。
指輪は一般の指輪と見た目が同じで、瘴気から心力に変わっているので感知も出来ず、それによって仮に分かったとしてもランクが測れないので、殆ど心配がないのだ。  


・・・だがそれは
 

「言わなくても大体わかるぞ?ランク」  
「え!?」


相手が零でなければ・・・・・・の話であるが・・・
零は本来異能者が出来ない心力の感知ができるので、指輪を見ればどの位のランクの指輪か大体分かってしまうのである。




「まぁよくそんなもん持ってるな〜って思っただけさ。」ジ〜 
「は、ははは(汗)」


・・・うむ、少しイタズラ心が抱いてきたな・・
・・・・ちょっとだけ 
俺ってやっぱドSかな〜?と思いながら少しだけ、からかってみることにしました。  


「しかし、アレがないと全然ダメだなお前」
「うっ」


「戦闘能力が高いとか言いながら、俺に手も足も出ないし」
「うっうっ・・」 


「もし補助具の『純光石』がなかったらどうするつもりだよ?」
「うううう〜」 


「俺の手伝いをするために来たのに、
俺に教えて貰って恥ずかしくないのか?」
「・・・・・グスッ」  
「零」 


済みませんやり過ぎました。(汗) 
転校生にまた泣かれそうになるだけなく柊さんに睨まれてしまった。 


・・・・俺のせいですね。ホントスミマセン。 


*この後零は、ふざけるのもからかうのも止めて、誠心誠意、佳奈に謝り、慰めたのである(具体的には頭をナデナデして許してもらったのである。)


 

「取り敢えずこれまで教えたのをひたすら練習だな。」
「う、うん、けどさ、何もこんな急がなくても」


”急過ぎるのではないか?”確かに彼女言う事も分かるが・・・ん?


「どうした顔が赤いぞ?」 
「・・・・・きにしないで」


なんか拗ねた子供みたいな声が出てるぞ?顔も合わせないし・・・
何故か柊さんがあっちゃ〜と手で顔を覆ってる・・・なにそのやっちゃったよこいつ、みたいなリアクションは?   


・・・まぁいいか 


「お前の言いたいことも分かるけど、何ごとも、急ぐくらいが丁度いいんだよ。・・・それに」
「ん?なに?」
「・・・・いやなんでもない。」


あくまで勘だからな・・・・
一旦隅に置いておこう。 




「とにかく時間も無いし続けるぞ〜!」
「あ〜〜〜〜!」  


俺の宣言に再び顔を伏せて、この世に絶望したかのような悲鳴をあげる転校生とその隣で柊さんが苦笑いする。 


そんなにキツイかな?
俺は心底不思議で仕方なかった・・・・・・ホントにキツイか?   


********
とある連絡
『例の新種は未だに見つからないのか?』


『はい、捜索範囲を広めてますが今のところ』


『・・・』


『もしかしたら・・・あの街に』 


『それは即決だよ。翔子君』 


『しかし・・・これまでのあの街で起きた事を考えると、この考え方も仕方ないと思います。』    


『・・・・』 


『高林隊長、私にあの街の調査に行く許可を』


『それは出来ない。それは言わなくても分かるだろ?』 


『・・・・』 


『今その街には君が必要不可欠だ。【海鳴り・・・】が解決できてない現状、君を行かす訳にはいかない。』


『で、ですが!佳奈だけでは!』 


『心配無い手は打ってある。』


『?』


『さっきあの双子・・に連絡した。』


『ーー!え、ていう事は・・』


『ああ、明日には到着するはずだ。』 
********
とある双子


「行くわよ!蓮!」


「待ってよ〜江梨」


「おっそいわよ!新幹線に遅れる!」


「随分嬉しそうだね?」


「当たり前でしょ?」


「?」


「久しぶりに佳奈に会えるんだから!楽しみで興奮が止まらない!!」 


「うんそうだね。」


「それに・・・」


「?」


「あの子バカだから!悪い虫に引っ掛かってないか心配なのよ!」  


「・・・・え?」 


「あとタカさんからの情報だと、向こうにはあの【魔獣狩り】がいて、今一緒に動いてるらしいけど相手は男だそうよ!変なことされてないか心配だわ!!あの子可愛いから!!」   


「え、えーと江梨?」


「あ〜!もし変な事されてたら私が滅ぼす!!【魔獣狩り】!!」 
 

「ダメだからね?滅ぼしたら、一応味方らしいから」


「あーも!!こうしちゃいられないっ!! 
待ってね佳奈!今行くわ!!」  


「・・・・・」 


「誰にもーーー佳奈をあげない!!」  


「もう勝手にして・・・(いざとなったら、ぼくが責任を持って対処しよ)」   


********
とある会話


「やぁ」 


「・・・どうもお久しぶりです。」


「うん久しぶり」


「どうしたんですか?急に」


「うん?いや〜そっちはどうしてるかなって思ってね?」 
 

「はぁ?此方はいつも通りですよ。」


「ふ〜ん・・」


「・・・・あの〜英次さん?」 


「いや、そっちが手が空いてるなら、ちょっとこっちを手伝ってもらおうかなって思って」


「お手伝いですか?・・・・それって」 


「うん、君の能力・・・・が必要なんだよ。」
 

「ですが、私は零さんから」


「大丈夫お願いしたいのは、今週の土曜だから」


「え?それって・・・・・明日・・・ですよね?」 


「うんそう」


「急過ぎません?」


「僕もそう思うよ?けど本当に急なんだ。」


「・・・・・」 


「・・・零のためなんだけどな〜?(ボソ)」 


「ーーー!!!零さんの!?く、詳しくお話を!英次さん!!」 


「分かった・・分かったから落ち着いて(零の事になると暴走する癖、治ってないのかぁ)」(汗)  


********
???視点
暗がりの中・・・ 
「・・・・」 


その中に浮かぶ二つの赤い光・・・  


「・・・・」


本来であれば見つかっているはずのそいつは ・・・ 


「シュ〜」 


夜の街に溶け込んで消えていった。


朝の連絡へ続く。  


おまけ
異能者の感知能力について


零「一般の異能者は、魔獣が発する瘴気の感知と自分の心力以外、・・・・そう他者の心力の感知ができないのだ。」


転校生「それはどうして?」


零「瘴気と心力の純度の差だ。
分かりやすく一つずつ言うと、まず高濃度の瘴気ついては、その周囲の空気が淀んでるもしくは濁ってるという表現が正しいか?とにかく人間の害あるモノが周囲にあるため俺たちは本能でそれを察知してるんだよ。感覚は次第に慣れていき近くに魔獣が現れた時はそれを感知するんだ。」


転校生「へ〜」


零「・・・・どうしても分からない人は、瘴気はガスとか毒とでも認識してくれ。」 


転校生「な!、わ、わかってるわよ!」


零「続いて、逆に純度の高い心力についてだが・・・これは高純度に成る程感知が困難になるが、まぁ普通の純度の心力にも感知できてないのが現状である・・・・・・・簡単に言うと心力は空気に溶け込んでる気体とでも考えてくれ、触れようとしても触れないイメージだ。」


転校生「それって空気みたなもんでしょ?」


零「・・・・まあそれいいか・・お、そういえば、なぜ感知できないのに自分の心力を把握できるかと言うとこれは・・・・日常生活での成果?かな?・・・・異能者は最初は自分の心力を把握できていない、だが異能の暴走あるいは指導のもとで異能が発動した際体から心力が抜ける感覚に襲われる。これによって異能者は自分で中にある心力を感じ取ることが出来るようになるのだ。」 






転校生「・・・・そうね私もそうだった・・・あの時は一気にチカラが出てしまって気絶しちゃったけど・・」


零「転校生?」


転校生「ッ!ううん何でもないッ!」


零「・・・・そうか・・・まぁ以上が異能者の感知についてのお話だ。
・・・・・まぁ色々と端折ってる部分もあるがな(ボソ)・・・」 


転校生「え!?それいいの!?」
  

   


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