(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

孤独の戦い 後編

零視点 
時間を遡り夕方、とある店 


「来たか零」
「はい」 


零はメールから言われた通り、喫茶店【猫まんま】へ来ていた。


「ご用件は何ですか?、例の潜入している異能者については、報告した筈ですが?」


「やはり気付いてなかったか・・・」


気付いてない? 
何にだ?  
「?・・・どうゆう?」


理由を聞いてみます。


「いやなに、君の感知能力なら気付くとと思ったんだが、それすら狂わすのか・・」


俺の感知を狂わす?・・・・!


「!?・・・敵ですか?」


「あぁ・・魔獣だ」


俺は柊さんから今起きている事態について聞かされた、敵の能力、この異常気温と異能者の感知能力を狂わすチカラ、そしてBランクである事、ここまで聞いただけで、ウンザリしそうになる・・・オマケに


「何処にいるか分からないと・・」


「うむ・・」


俺の言葉に口を閉じそうになる柊さん、別に貴方を責めてるわけでは無いですよ?


「さっきから衛星を使っているが、分かるのは街を覆うバカデカイ瘴気と、その異常な濃度から対象が、Bランクだと分かることだけだ、、位置を特定しようにも、広範囲の瘴気の所為で分からないのだ。」


「・・・・・」


柊さんがここまで困っているのは、久し振りだ、それだけ現状こちらが不利という事か


「いや〜勘弁してほしいですね」


「同情するよ」


俺の立場を考えているからだろう。
けど同情はもっと勘弁だが、


それよりも
「仕留めたくても、居場所が分からないんじゃな、ハァ〜やっぱ、が原因?この異常な出現は」 


「かも知れないが、出現したと言う話は無いが、」


ですよね、さすがにそれは無いか?いや安易に決める事じゃない、少なからず影響してると考えるべきだ。


それよりも問題は居場所だ


「うーん、困ったなぁ」


「ふふ」


「何ですか?」


突然笑う柊さんに疑問を覚えていると、


「いや済まない、頼もしくてね。」


「?」


何が?


「敵の場所を探すのに困っているのに、魔獣の難易度については恐れていない。」


「・・・・・」 


「見つければ倒せる、そんな風に見えるよ?」


ハァーまたですか・・・・


「倒せるかどうか分かりませんが、見つけないと意味がありません」


こんな話をしてもしょうがないのだ、


「既に、被害が出ているのなら、急がないと・・・・あっそう言えば、あいつには言っているんですか?」


ふと思い出した俺は、柊さんに尋ねてみます。


柊さんは、苦虫を噛み潰した見たいな顔で、
「・・・あー一応零の時に一緒に連絡したが」


何て言っています。はぁ〜 


「相変わらずですね、あいつの怠癖は、」


「怠癖じゃなくて、臆病なだけだよ。」


「息子の話では無いですね」


「元だよ、遺伝的な繋がりあっても、それだけだよ。」


容赦無いですね、まぁしょうがないですが、しかし 


「・・・・まぁそっちの事情にとやく言いませんが、」


こっちが言いたい事が分かったのか。
柊さんは頷き、
「分かってる君に迷惑はかけない。」




幾ら恩があるとはいえ、親子ゲンカに巻き込まないで欲しい。


その後も打開策が見つからず時間が過ぎていった。


********
それから1時間半が経過して変化が起きた。
魔獣が動き出したのだ。 


「正直ビックリだよ、」


「はい、出てこないと思いました。」


この情報に俺と柊さんは少なからず驚いている、てっきり出てこないと思っていたのだ。


しかしこれは、
「チャンスですね、今なら仕留めれる。」


「ほー大きく出たね。自信があるのかい?」


柊さんはニヤニヤした顔で、コチラを見てきます。
少し文句を言いたいですが、今回はその通りなのだ。 


「このまま出てこず、チカラを溜め続けられたら、やばかったですが、今の状態ならイケる筈です。」


中途半端の可能性が高い、上手くいけば倒せるだろう。


「まぁ最初から心配してないがね、私は」


少しぐらい心配してくれてもいいのでは?
まぁ倒しますが、複雑です。


「ただね、動くのはもう少し後の方がいいよ?」


「何でですか?」


早いうちに倒すのに限ります。
何故なのか?柊さんは、厳しい表情で言う。 


「もう一度調べたら、現在魔獣の近くに例の異能者がいるんだ。」 


「・・・・え?」 


マジですか?


「恐らくこちらと同じで魔獣の討伐する為だろうが・・・・待つべきだ」


・・・・柊さん?
 

「まだ相手が何処の機関に所属しているか分からない、どの様な異能か、本人がどんな人間か、情報がまだ集まっていないのだ」


「・・・・」


「確かに協力して倒すという選択もあるが、まだ不安要素が多過ぎる。」


言いたい事は分かります、ですが、それでは  


「あの異能者が死ぬまで、待てという事ですか?」


さすがにそれは了承出来ません、最悪の場合はそれもありますが、現在はそこまで追い込まれていない、死なせるのには、賛成出来ません。


「誰もそうは言っていない、相手もそれなりに出来ると言ったのは君だろう?」


柊さんは、違うと言いますが、それではどうしろと? 
そりゃ出来ますが、だからといって、Bランクに勝てるとは・・・ 


「異能者の意識が失ってから救出すればいい、その後魔獣を討伐して、異能者の意識が戻る前にその場から離脱すれば、全て解決だろう。」 


確かにそれなら、イケるかも知れない、俺が速攻で魔獣倒せばバレる可能性が低くなる。


「あぁ、なるほどそれなら・・・ですが、」


イケそうな気がしましたが、よく考えたら難しくありませんか?


だってこの作戦・・・  


「もし異能者が殺されそうに、なったらどうしますか?」


「・・・・・」


黙り込みましたよこの人


「それに都合良く意識を失ってくれますかね?」


「・・・・・」 


・・・まさか・・・・柊さん? 


「本当に大丈夫ですか?、この作戦」


「・・・・・」 


気付いて・・・なかった・・・と?


「・・・・・」


俺も黙り込んでしまいます、長い沈黙の末、柊さんは沈黙を破る。


「・・・その時は・・・・その時だ!」


なんか背景にドンッ!!!みたいなのが見えそうですが、
これは・・・・ 
 

「・・・・・」


いい加減過ぎません? 


********
時は現在に戻り


俺は現場で魔獣と対峙している。
・・・予想してたが、作戦は失敗だった。
ギリギリまで待ったが、死にそうになったから、出て来た。


「・・・・」


「え、えーと・・」


普段と全然違う俺に戸惑っている転校生
何か言おうとしているが言葉が見つからない様だ・・・・面倒くさい。 


「グゥー・・・」


「・・・・」


岩の魔獣がこちらを睨んでいます、奴の足裏は、俺が片手で持つ槍の上に乗っている、こうしないと転校生が死んでいたのだ。


「あっいず」


「黙れ」


「ッ!」


何か喋ろうとした転校生に殺気異圧 を飛ばして黙らす俺、チラリと転校生に視線を向けるとビクッ!と震えるので、すぐ戻して言う。


「そこで黙って見ていろ。」


「え?あの・・」  


何か言いたそうにしているが、また後だ。


「グゥー!」 


魔獣が戦闘態勢に入ったので
これだけ言っておく。


「俺が・・・」


さっさと終わらせる。


「こいつを倒すまで」


俺の意識が深くなっていく・・・・・・・のが分かる。


「グゥー!!」


魔獣の雄叫びと同時に 
零と魔獣の戦いが始まった。


********
佳奈視点 


誰かこの状況を説明して!
心の中で私は叫んでいた。


「いったい・・どうなって・・」


自分の想像を超えた異常事態が、今起きてる。
魔獣と彼、泉君が戦っている。
「グゥー!」


ガキ!!!! 


「・・・・」
彼は持っている槍を横に振り、攻撃を加えるが、魔獣は体を丸めてガードして均衡する。 


見ている私も受けている魔獣もそう思ったが、  


「え?」


「グゥー!?」


吹き飛んだ・・・魔獣が、
五百キロはあるであろう魔獣の巨体が、彼の槍に衝突して、廃墟の壁へ吹き飛ばされた。 


・・・・信じられないパワーで、 


ガラッガラッー!!!   
壁が崩れて魔獣が埋めり煙が上がる。


「・・・・」


その光景をつまらなそうに槍を肩に掛け、泉君は眺めている。 


「グゥー!!!」 
瓦礫の中なら黒い影が走る!・・・・魔獣だ。
泉君に向かって、巨体とは思えないスピードで前方へ跳躍し襲い掛かる。
あっという間、泉君の目の前まで来た!!!ッいけない!!  


「あ、あぶな!」


ドンッ!!!!!


衝撃音が辺りに響き、つい目を瞑ってしまう
静寂のなかで、恐る恐る目を開けてみる、
もしかしたら、もう・・・  
怖ろしい事を考えてしまい、ブルッ!と体を震わせるが、目に映った光景に


「・・・へ?」   


あまりの光景に変な声が出てしまった。


私の目には泉君に、もの凄いスピードで襲い掛かった魔獣と泉君との間に、バカデカい黒く分厚い壁が、いつの間にか出現していたのだ。
 

「グゥ!?」
「・・・・」 


受け止められた魔獣はそれでも壁に、両手の岩の爪で攻撃しするが、ビクともせず、幾ら攻撃しても、1ミリも傷がつかないのであった。


「・・・・」


「!?」


魔獣には見えない壁の向こう側で、泉君が次の行動に移り、私は驚く  。
彼の両手に、1本しかなかった槍が、2本に増えており、片手ずつで持ち、そのまま、高さ5メートルはある壁の上に跳躍する、これだけでもありえない事だが、頂上に到着した彼は次に、両手の槍の先を下に持ち替え、魔獣に向かいジャンプする。


「グゥ!?」


上から降ってくる泉君に気付いた魔獣だが、もう遅い。
咄嗟に体を丸めて防御とる魔獣に泉は、両手の槍を振り下ろす容量で、魔獣の背中に2本槍を意図も簡単に突く。


「グゥー!?!?」 


この状況に私は呆然とする。
あれだけ、私が攻撃しても、ダメージを与えられなかった魔獣に、自分でもハッキリと分かる程の大ダメージを・・・ 


「これなら・・・」


勝てる、そう思いかけた私だが、魔獣の変化によって、その考えが打ち消される。


「グゥー!!グゥー!!!」 


魔獣が雄叫びを上げる、泉君は槍を刺したまま距離を取る、すると、槍で突き刺された部分から炎・・・いやマグマが噴き出す、翼のようになって、その影響で背中に突き刺さっていた槍が消滅してしまった。


それだけでは無い、周囲の温度がこれまでにない程上昇している。 


「え、これが本気?じゃさっきまでは」


熱のせいで顔が熱い筈なのに寒気を感じる、感知能力が狂わされている状態でも分かる、魔獣のチカラが跳ね上がっている!!!  


「グゥー!!!!」


魔獣の表面の赤い血管模様が、大きくなり、体全体に広がっっていく、遠くからでも明るくよく見える程に、それと同時に周囲の地面から煙が上がり始めた、私や泉君の立っている地面からも煙が、


これでは・・・もう!


「泉君!」


逃げて!!!そう叫びそうになる私であったが、


「・・・・」


恐るべき変貌を遂げている魔獣に対し、この戦いが始まった時から、ずっと変わらない、つまらなそうな表情をしていた泉君だが、次の瞬間、無表情になり、一言呟く。
 

アウトだ・・・・


彼のチカラが一気に高まった。
それと同時に彼の周囲から無数の黒い槍が、一瞬で出現して浮いている。


「グゥー!?!?」


「うそ」


あまりの事に魔獣は驚きの声を上げ、私も目の前に出てきた千を超える無数の槍に口をポカンと開けて、呆然と呟くのであった。




********
魔獣視点 


「グゥー!グゥー!グゥー!」


数が多過ぎる!!!、自分の表面岩の体を貫く程の槍が、無数に浮いている!!!! 


魔獣は後悔していた、自分が襲った相手は、自分より遥か上にいる存在だと、決して襲ってはいけない者と!!!!


もし一斉に襲い掛かれたら!!!! 


これでは絶対勝てない!!!、そう確信した魔獣は戦闘態勢を解き、一生懸命異能者に、何かを語り掛けようとする。 


「命乞いか?」


魔獣が何が言いたいのか読み取り、冷たい口調で確認をする泉に、


「グゥー!グゥー!」 


相手の言葉が分かるのか、魔獣は何度も頷く。
戦闘の意思がない事を示す様に、背中から噴き出していた、マグマの翼を解き、体の温度を下げる魔獣、


それを見た零は、
「・・・・」


異能者が目を瞑るのを見て、考えてくれていると魔獣は考えると、  


「グゥー!」


もう一度頷く魔獣、何としても生き延びてこの場から逃げたいのだ。 
・・・だがこれで終わらない!、また別の場所でチカラ溜めて、再びこの地に舞い戻る!!!


そんな野心を心の中で叫んだ魔獣に
零は目を開けて、何もかも見透かした様な、冷たい眼差しと口調で言う。 


「くだらん」


彼の宣言と同時に無数の槍が、魔獣に槍の先を固定した。


「グゥー!?」


何故!?!?
そんな風に魔獣は叫ぶが、零は続けて言う。


「お前達が、どれだけ自分の存在を、正当化しようと変わらない」




彼は裁きを下す死神の様に、  




「俺の街、俺のエリアで勝手な事をし」




右腕を上げて手の平を夜空へかざす




「俺の護るべき人達に危害を加え・・・そして」  




無数の黒い槍から更に黑いオーラが噴き出す 




「俺の日常を脅かした貴様ら魔獣を」




ここまで成り行きを見て魔獣は思った、この異能者は、初めから・・・・  




「俺は決して許さん」 




逃がす気など無かったのだと




彼が手を振り下ろすと
・・・千を超える槍が魔獣に降り注いだ。 




【一始槍しそう黑槍貫通こくそうかんつう


 



暫くして・・・魔獣の存在が絶った。  


後始末 前編へ続く。


おまけ
とある家の暑さの悩みその2 石井家(姉弟) 


「ふ〜暑いわね。」パタパタ 


「姉貴だらしないぞ。」


「良いじゃない、暑いんだもん」パタパタ 


「いや、もんじゃなくて、家だからって、もっと慎みをだなぁ・・・」


「ふ〜んなになに?、お姉ちゃんの体に興奮しちゃう?(ニヤニヤ)」


「単純に弟として、こんなグータラな姉を何とかしたいだけだ。(バッサリ)」


「ぶぅー(ぶぅー)」
 

「膨れてるとこ悪いけど、もし零が知ったらどうするんだ?」


「うっ!」


「俺は言う気はないが、姉貴は天然だから何か拍子に、って可能性があるぞ。」


「うー」


「日々の生活は、体に染み込む、それがどの様にして、日常に出てくるか分かんないぞ。」


「う・・・う・・う」 


「暑いの分かるけど、もう少し気を付けても良いだろう?」 


「・・・・はい」  


*由香は時々、武に頭が上がらない時があるのだ。(こいう時、武はお母さんみたいになります。) 
 

******** 
「そう言えばさー」 


「うん?」 


「零君達は暑いがダメだったよね?」


「あー、妹さんは知らないけど、兄の方は、相当ダメだなぁ。」


「へ〜、そうなんだ。」


「あぁ、学校でも、自分の席で潰れてるしよ。(ありゃぁいつも以上に重症だったな)」 


「なるほど、なるほど・・・(キランッ!)」 


「?・・・どうした姉貴」


「ふふふ、ここはお姉さんの出番かなぁって!」


「え?」ビクッ!


「ふ・・ふ・・ふ、お姉さん特製の栄養ドリンクで・・」


「・・・・」ガタガタ!  


*零の身に、危機が迫る!?!?  

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