(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

それぞれの対策 前編

第2の故郷である学校(*大袈裟です)。
いつも通り時間……要するにギリギリで学校に到着した俺、泉零。
夜中に異能バトルがあったから寝不足で遅刻しかけた訳ではない。戦闘中はクールキャラな俺であるが、血は加熱し易く滾った血が朝まで冷めず目も冴えていた。


「う、う……」
「零? 変な呻き声出して? どうしたよ?」


冴え過ぎて麻酔効果もないや。
絶賛グロッキーモードに入ってました。


「あー……チョットな」


昨日の夜食純愛と今日の朝食極愛で、俺の内部臓器がほぼ壊滅状態したよ。流石は我が妹だ……愛が深過ぎて……ああ、天に召されそう(真っ白)。


「お、おい! どうした!? 顔なんか真っ白になってるぞ!? 今にも灰になりそうな雰囲気だぞ!?」


はぁ、うるさいなぁ☆
武の奴、少しは静かに出来んのか?


「ウォーイ!? 変なモノローグ出してないでさっさと戻って来ぉい!?」


やれやれだ……(≧▽≦)o(キュ〜〜ン♪)


「誰だよ!? お前そんなキャラだったっか!?!?」
「おっと」


ふむ、イカンイカン流石にキャラが違うなぁ。直さねば。


「切り替えなきゃ☆」
「最後だけなんか変だ!? キャラ崩壊が激し過ぎんぞ!!」


んー? なかなかキャラが戻らん。自覚している以上にダメージが大きいようだ。
結局本調子に戻るまで変キャラが続いたが、クラスメイトもいい具合に慣れているなぁ。とくに気にしなくなって平然と会話してた。流石は俺のクラスだった。




******




パッと時間も飛んで授業後の生徒会室に移るぞぉー。
無事に本調子に戻って以降はクラスの美希が煩かったり、武と隣クラスの久保のバカコンビがバカやってたりして、騒がしい1日であった。……うん、詳しく語る必要もないな。
何故か膨れていた美希が可愛かったのでからかった後、放課後に生徒会室で由香さんの2人だけ・・・・で居るわけだ…………てっ何故に!?
自分で説明して自分で突っ込んだけど、ちっとも分からない。なんでこうなった?


「それでねぇ、行方不明だった人達が見つかったんだよ!」
「ソウナンデスカァー」(虚な目)


驚いたように言っているが、要するに昨日の件である。由香さんからしたら知らずに急に片付いたことだから、それについて説明だそうだ。まぁ頼んだばかりだったから、申し訳なさそうにしているよ。俺が原因なのに。


「警察からの話だとうちの学校の裏手で全員発見されたみたい。気絶してて何も覚えてないらしいけど」


面倒ごとが嫌でその場に放置したけど、やはり悪かったかな。
それ以外にも選択肢はなかった訳ではないが、万が一の可能性リスクがある。顔でも見られたらそれこど大変だからなぁ。 


「ホントビックリしたよ!」


いえ、ビクビクしているのはこっちです。
済んだことはもういい。それよりもどうにかしないといけない事態がたった今発生している!


「それでね! 零くん!」
「は、はい」


───由香さん、近いです。
驚いてるところ悪いですが、超近いですっ!
生徒会室に置いている椅子に座っているけど、どうしてかお隣で話して来る由香さん。超横の席です。普通向かい合って話すのに何故か隣。いや、おかしいよ! 何この状況!?


「……っ」


頭の処理能力が余りの事態にパンクしかけてるっ! ……ていうかパンクしそうですッ! 今にもっ!
難易度が高過ぎでしょう! 裏ボスレベルだよ!
はぁ、素なんだよなぁー、こういう時の由香さんは。意識されてるのか、されてないのよく分からなくなる。……ホント変なことばっか考えてて済みません。


「ハァー……」
「チョット零くん? 聞いてるの?」


───グイ


ギャー!? 足とか肩とかアタッテマス!!(思考崩壊)
マ、マズいですぞぉー。既に危険だけどそれ以外の場所にも当たったら……理性が、俺の中の理性が飛ぶっ! 簡単に飛んでしまう! 昨日の節操なしの魔獣みたいに!


「れ・い・くーん?」


……いっそ目覚めてもいいかな?
なんて邪な考えが数え切れないほど煩悩の数過ぎったが、どうにか他の生徒会メンバーが到着するまで耐えれた……いや、耐えってしまったというべきか。無事に離脱出来たが、学園側と会議中だった沙耶さんが居たら、絶対無理だったろうな(汗)。




******




とあるマンションの一室。
前日の夜で起きた事案の後始末を終えた翌朝。パソコンで映る通信先の上司は、呆れた顔で私に再度訊いて来た。


『では、なにか? 対象者に接触出来なかっただけでなく、“指示があるまで隠密に動け”とあれほど言ったにも関わらずこちらの存在を知られたと言う訳か? そういう訳か?』
「おっしゃる通りです……」


怒声じゃないけど言い知れない威圧感がある声にガックリと頭が下がってしまう。
夜の一件で上司タカさんに報告したきっかけだ。命令無視に加えて単独行動、半ギレ状態の上司からのお説教にすっかり肩を落とす私。うう……(涙)。


『はぁ、まったく君は……。いつも言ってるだろう。好奇心で後先考えずに行動するなと』
「はい」
『しかも、相手に自分の顔を見られた可能性があるだと? 学校で警戒されたらどうするつもりだ?』
「返す言葉もありません」


ああー、画面の向こうで上司からの深〜い溜息が聞こえる。すっごい呆れられてる。当然の反応だから何も反論出来ないけど。


相手がどういう人間か分からないのに、浮き足立って動いてしまった。連絡を聞いた途端耐えられなくなったけど、あの状況なら他にも方法はあったのに。
相手に逃げられて、こちらの存在に気付れて、更には顔も見られたかも知れない……かも。
いや、間違いなく見られた。


あの時、最後に感じた視線殺気が私をそう思わせるのに十分なものがあった。


唯一の救いは野良の異能使いということか。敵対勢力なら致命的であるが、警戒されただけならまだ救いはあると思った。同じ学生ならまだ話せば……。


『何か不穏なことを考えてないか? まさか学生かもしれないから、話せば分かるとか安易なことを考えてないだろうな?』
「う……そ、そんなことないですよぉ?」


ま、まぁどちらにしろミスは変わらないかな。折角の潜入作戦も意味をなくした可能性がある。これじゃあ、上司じゃなくても呆れてしまう。


「もう、撤退した方がいいですかね?」


元々不向きな任務だと思っていたが、これでは任務続行も不可能である。相手に気付かれた以上、引き際は大事なのは自分でも分かっていた。


『いや、任務は続行・・だ。予定通り・・・・明日学校に潜入しなさい』
「え?」


なのに上司からの予想外のセリフに戸惑ってしまった。


「な、何故ですか? もう任務続行は不可能ですよね? 誰か他のメンバーに替えるべきでは?」


上司の考えが理解できず、失礼だけど率直な疑問が口に出てしまった。


『戸惑うのも分かるが、心配するな。実のことを言うと、君が対象にバレることは想定してたことだ』
「はい?」


は? 何を言ったかこの上司は?
想定してた? バレるって分かってたってこと?
じゃあ、さっきまでの説教はいったい何? いや、私がポカしたから叱っていたのは分かるけど、それにしたってあれはどういうことか?


画面の向こうで、呆然とする私の見てニヤニヤしている上司。
ふむ、なるほどなるほど……やってくれたな。この上司は。


『スマンスマン、けど相変わらず良いリアクションだな。うん、良いね!』
「とっとと話せ(ギロンッ!)」
『お、おう』


本当にこの人は、何で毎回こんな風に人を怒らせるのかな? 画面越しでも私の殺気を浴びて本気だと感じたか、上司は額に冷や汗をかきながら話を進めた。


『ハ、ハハハ……学校生活が落ち着いたら話そうと思ったが、任務の度に転校では君も大変だろう? そろそろちゃんとした拠点が必要だと感じてな』
「は?」


いきなり何を言っているの? 意味が分からず変な声が漏れたけど。
確かに立場から転校続きで落ち着きのない生活をしていた。自慢ではないが家庭の縛りが緩く、若いから転校を理由に活動し易かった。戦闘向けな異能持ちで才能も少なからずあったこともこんな生活を送れた理由でもあったが、まさかここでその話を振られるなんて……。


『今後はそこで活動してみてはどうだ?』
「私がこの街に来たのは、対象者の捜索と勧誘だった筈では?」


長期間になるかもしれないと事前には聞かされていた。運よく身元が判明したとしても勧誘に失敗するか、時間が掛かると思われたからだ。
強制的な勧誘は出来ない。他の国では強制的に自分達の機関に加えることも多いが、日本の機関ではこういった強引な方法は、原則禁じられている。基本相手の意思を尊重した勧誘が一般だ。


まぁ殆どお金で解決出来ることもあるが、なんて考えてる間に上司は話を続けた。


『確かに最初は顔見せも兼ねての勧誘予定だったが、どうにかしてこちら側に引き込めないかと考え直してみた』
「なら何故、その時点で言ってくれなかったんですか?」


真っ先に担当の自分に知らせるのが普通ではないか? 当たり前の疑問が頭に浮かぶが。


『そもそもおかしいとは思わなかったのかね?』
「?」


『気付かないのかい? 潜入・・だよ。戦闘向けの君が・・』 


「……あ」
『本来戦闘が専門にしている君が潜入だ。そもそもおかしいだろ?』


言われてみれば。


『正直の最初の段階で気付くと思ったよ。百歩譲って勧誘だけなら分かるけど、潜入は戦闘以外が全然な君・・・・ではどう考えても無理だろ? 現に私の予想よりも早く気付かれてるし』
「うっ」


い、言いたい放題言って〜!
けど、事実なだけに否定出来ない。そりゃ戦闘以外は少し苦手ですが。(*ポンコツです)


「じょ、冗談ですよね? 私がドンミスしたから、咄嗟に作った話ですよね!?」


色々と信じたくない気持ちで一杯の中、嘘であることを願った想いの丈を投げて見るが。
呆れ顔と声音で諭す上司からため息を吐かれた。いや、酷いっ!


『そんな訳あるか。この件ついては既に会議で皆に話してる。それに本当に潜入させるなら江梨えり君かれん君を。時間があれば翔子しょうこ君に行かせるに決まっているだろう』


あ、あの2人と翔子さんか。私みたいな特化型じゃなくて幅広いスキルを持つあの3人なら1人でもいれば安心出来るなぁ。
適任の3人を思い浮かび、認めたくない現実を直視し出した私がいた。う、認める度に辛くなっていくけど、仕方ないよね?


「だ、だったら尚更、なんでそのことを私に言ってくれなかったんですか!?」


それ以前になんで苦手な私が選ばれたの? 他の2人ではなくなんで私なの? 1番適任であろう翔子さんは忙し過ぎて多分無理かもだけど他の2人なら。
しかも、対象と一緒にこの街で仕事? 話がややこし過ぎない? く、ダメだ、頭が回らないよ! 国語は苦手なのにぃ!(*体育以外、全般不得意)


『よく考えたまえ。もし君に言っていたとして、素のまま接触出来た対象とまともに話せたか?」


むっ! 何を言って……!
う……ムリかも。スカウトしに来ただけこのザマだもん。拠点にするなら相手とも仲良くしようとして変に意識したかも。……いや、ヘタしたら空回りして余計に警戒されたかも。


『無理だろう? 返って何かあるのかと思われて、距離を置かれた可能性が……大だな!』
「大って、そこまで言いますか!?」


バッサリ言われましたよ!? この上司、責められると思って開き直ったな!!
じぃーと睨み付けると画面で見辛いが冷や汗を流す上司。視線から逃れるように目線を逸らし咳払いして続けた。


『コホン! 予想よりも早く気付かれたが問題無い。寧ろ相手に気付かれて良かったのではないか? 学校で警戒されるかもしれないが、これで何の後ろめたいこともなく対象に接触出来る』


確かに後ろめたい気持ちは薄れるけど、根本的な問題が解決してないような?


『気付かれたなら話は早い。学校で接触出来た際に自分も異能者だと伝えて協力を求めろ。信頼など共に魔獣を倒していけば自然と築いて行ける筈だ。……たぶんな』
「う、うーん、仮に接触出来ても素直に協力してくれますかね? 誤魔化されてシラを切られたらどうすることも出来ませんよ、この作戦」
『その為に君を選んだのさ』
「はい?」


私? 何で?
また誤魔化されてる気がするんですが。


『以前話したと思うが、【魔獣狩り】について随分前から調べていた』
「突然何ですか? それ任務前に聞いた話ですよね?」
『調べていく中で対象者について分かってきたことがある。恐らく相当腕が立ち非常に頭が切れる人物。……である可能性が高いと考えた』


意外とまともな解説が始まった。
これは本当に事前に調べた内容らしいと、口にはしないが頷いた。


『魔獣への対応やこちら側に気付かれにくい隠蔽手法。とても一般の異能者とは思えない。そして、今回の件で確信に変わった』
「なるほど」


思い返してみればあの現場でもそうだ。協力してくれた警察機関が懸命に調べたけど、犯人に繋がる痕跡は全く見つからなかったって言っていた。


しかも、最後に私に向けられたあの殺気。向けられるまで気付けない程の気配を消すのが上手い相手。一般人に近いただの異能者である筈がない。
なにより、多分あれは……。


『君へ向けたという殺気は、君がどう対応するのか、確認する為に行ったことだろう。今後の為に』


私が思ったことを難しい顔で上司も口にする。
正直に言うとその部分に関する報告は少しオブラートに包んだ。視線を感じただけでは不審に思われるので、殺気に近いものと伝えたが、そこだけは上司も警戒の色を示していた。


『結果、君は反応してみせたが、それが正解かは分からない。少なくても察知出来る人間だとは思っただろうが、それで相手がどう移るかが問題だ』


警戒し過ぎない程度に警戒。相手と交流と求めるなら、これぐらいが丁度いいかもしれないけど、それが1番難しいので上司もハッキリとは言って来ない。


『多少強引なところがあるが、君は予定通り学校に潜入しなさい。どうにか・・・・対象を見つけて交渉出来るように努めるんだ』
「はぁ」


多少どころか、かなり無理があると思う。『どうにか』の部分が1番難しいと言いたいが、やらかしたのは私だし、素直に従い……たくはないが、そこ仕方ないのかな? 仕方ないんだよねー。


「ハァー、分かりましたよ。とにかくこのまま続行して対象に接触と勧誘。あと可能であれば協力してもらえないか訊いてみます。……見つけれたらですよ?」
『ああ、それでいい。こちらも色々と対策を考えておくが、そっちは宜しく頼むぞ佳奈かな君』
「はい」


返事して頷くけど、正直どうなるか不明過ぎるよね(空元気)。
少しどころか内容が大きく変わった気がするが、取り敢えず明日の準備を行おう。ホントどうなるか分からないけど。


『では通信はここまでで……』
「あ、済みません。後1つ訊きたいことがあるんですが」


話したいことを話して通信を終わらせようとする上司を止める。
けどもう1つ。どうしても訊きたいことがある。
非〜常に大事なことが。


だからなるべく優しい声音で、ニコニコと言ったのですが。


『う、うん? な、何だ?』


寒気でも感じたのか、身震いをして声も震えている上司。
風邪でしょうか? 季節も変わり目ですし気を付けないといけませんねー。


「最初から私なら大丈夫だと言いましたが、仮に実力ならさっき言った翔子さん以外の2人でも出来ましたよね?」
『あー、うむ……』


何故でしょうか? 吃るだけの上司に私はにこやかに尋ねているだけだが、先ほど以上に冷や汗を。画面越しでもハッキリ見えるくらいに流しています。……おやおや?


「そういえばー、相手は頭が良いんですよねー?」
『う、うむ、……恐らくな』


額にこれでもかと大量の汗を…………この上司。


「私なら大丈夫。他の2人は無理と?」


上司が言っていたことを呟いていく。首を傾げながら不思議そうに呟きます。絶対に聞こえるように呟きます。


『い、いやー、無理と言う訳では……』


何やら焦っていますね、この上司。


「あの2人と私の違いとは?」




───答えなさい・・・・・
視線で言います。さぁ答えてもらいましょうか? 上司様。




『……』(爆汗)
「沈黙は肯定と言うことでいいですか?」


「『……』」


長い、なが〜い沈黙の後。
耐え切れなくなったか、上司の重く閉じていた口がようやく開いた。いや、開かせた見せると。


『き、君が相手なら……警戒するのも、馬鹿らしいだろう?』


ほう、なるほどなるほど。


色々ありましたが、任務続行で決まりました。大丈夫、責任はあの上司に取らせます。
その後、必要物資買い物を大量に購入した際に、領収書の全てを上司の名義して後日、上司が頭を悩ませることになるが。


“それぞれの対策”後編へ続く。






おまけ───『とある教室での一幕(お昼時間)』


零「あー、やっと落ち着いた」


武「なんかずっと、グッタリしてたよなぁ」


零「まぁな、色々あったんだ」


武「あー何となく予想がつくが、程々にしないと身が保たんぞ。マジで」


零「大丈夫さ、妹からの愛だと思えばこれぐらい」


武「血反吐を吐いてる時点で愛じゃないだろう。……ハァー、もはや尊敬の域だな。お前の妹への想い……キモイけど」


零「フンッ褒めるなよ」


武「全然褒めてねーよ? それより昼飯に…………」


零「うん? どうした武」


武「なぁー零、今から昼だよな?」


零「? それがなんだ?」


武「だ、だから……そのよ? ……弁当は?」


零「あ、あー心配ない。今日は俺が弁当を作った。昨日遅くに夜食を作って貰ったお礼ということにして」


武「ほ、ほー! なるほど考えたな!」


零「ああ……流石に今日も妹の弁当だと死ぬから」


武「───!! ……重度のシスコンであるお前がそこまで言う程か!?(毒素でも上がったのか!?)」


零「偶にさ、時間ある時に妹が夜食を作ってくれるんだが、昨日はストレスかなぁ。……普段の3倍はあった」(真っ白)


武「(え、何が? なんて悲しくて訊けない!)」(真っ青)


零「お陰で昨日は全然寝れなかった。…………ハァ(乾いた溜息)」


武「お、お前」(涙目)


零「飯食うか」


武「おう」(号泣)


*何気ない昼食時間であるが、この日2人の友情更に深まった。
*その後、同じクラスの美希や桜井、隣のクラスの久保などが乱入して来るが、その話はまた後日。




おまけ───『とある教室での一幕その2(お昼時間)』


零「とっとと、食うか武」
武「ああ」


*『その1』でのやり取りなどなかったかのように昼食を取ろうとする2人が居た。


美希「おお、零ー!」
桜井「ちょっと失礼するよ、泉君」
楓「突然すみません、泉さん」


零「お、お前らか、どうした?(相変わらずちっさい美希とボクッ娘の桜井に清純アイドルの藤堂……なんだろう、嫌な予感が)」


美希「むっ! 何か不埒なことを考えておらんか?」(ギロッ)


桜井「ボクも感じたよ〜」(ニヤリ)
楓「あ、あの泉さん?」(おどおど)


零「(こ、こいつらー!? 口だけじゃなくて視線でも攻撃して来やがる!)───気の所為さ。それより何か用があるんじゃないのか?」


美希「むっ! 今の間が気になるところじゃが、仕方ないのぉ。……桜井よ」
桜井「うーん、一緒にお昼でもどうかなぁって」(ニヤリ)
美希「そうじゃ、有り難く思うのじゃぞ?」(ドヤァ〜!)
楓「あ、あははは……済みません、泉さん」(ペコペコ!)


零「あーうん、まぁ問題ないか。俺達も今から食べようと思ってたし(断ると絶対面倒になるから言わないが、厄介な連中が来たなぁー。藤堂以外)」


桜井「そうかい? それじゃあ、遠慮なく」
零「(最初から遠慮してないだろう、このボクっ娘が)」


美希「そうじゃ、楓よ。お主も遠慮するでないぞ?」
零「(お前は顔だけでも少しは遠慮しろ、ロリじゃ)」


楓「はい、美希さん……泉さんも失礼します」
零「(唯一の良心だよ、君は)」


零「ああ、別にいいが、人数が多いからさすがに教室だと厳しいなぁ。……食堂なら皆座れそうだがどうだ?(出来れば断ってほしいが)」


美希「うむ、行こうぞ!」
楓「はい」
桜井「だね」


零「はぁ、行きますか(視線が大変なことになりそうだけど)」


*そして零の他、美少女な女子3名は教室から食堂へ向かう。……あらゆる感情が含まれた周囲からの視線を集めながら。






武「───チョッ!? チョット待って〜〜〜!?!?」






*ちなみに途中から忘れられた武も、何とか同行することを許されました。



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