居候人は冒険者で店員さん
【作戦決行その2】
“本当に大丈夫か? それで大丈夫なのか!?”などと何度も訊いてくるカインに適当に相づちを打った後、おれはアーバンさんにあるお願いをしてリアナちゃんたちがいる観戦エリアまで戻った。
そして作戦が決行5分前まで遡る────。
試合も始まりそろそろ動き出してもいいか。と思ったところで、おれの能力を敏感に察知したリアナちゃんが見回り場所から離れてずっと引っ付いて来ていた。
明らかに見張られている。
どうしましょう?
「何が起きているんですか?」
能力のことだろう。この姉妹たちは特殊だからおれの能力を察知することができる。
それに兄も関わっているということもあり鋭い眼差しで訊いてくる。
「何のことだ?」
けど、巻き込むわけにはいかないので惚けておくことにした。
オレの言葉にリアナちゃんからさらに強い詰問の目を向けられるが、大好きな兄が狙われているなんて話すのは絶対に控えたほうがいい。
パニックになっても冷静になって関わって来られても困る。
なるべく表情は穏やかにして大丈夫だよ。と笑みを浮かべおれは優しく接するが。
それが余計に不味かった。
おれの顔を覗き込むように見たリアナちゃんは確信の声音で踏み込んで来る。
「兄さんに繋げている共感もいつになく強く感じます。それこそ私たちに常に繋げている物に近いほど強力な。それほどの事態が今起きているんですね?」
何か手繰るように手を動かして彼女は告げる。
それを見て思わず引きつりそうになる頰を維持するが、そこまでバレている以上。もう誤魔化しきるのは困難だった。
「ヴィットさん!」
「……」
これ以上は厳しいか。
より強い目つきで詰めてくるリアナちゃんに困り果てていた。
──その時だった。
「っ!!」
「え?」
それぞれ反応は異なる。
突然試合の方へ振り返ったおれにビックリして驚くリアナちゃん。
対しておれはそんな彼女を無視して、剣技をぶつけ合う2人の試合へ意識を向ける。若干目つきが鋭くなっているだろうが、この際それは勘弁してもらう。
本来この人混み中から探るのはいくらおれでも困難だが、標的でもあるカインを通してその針のように刺す微かな気配を、人混みの先から感じ取ることに成功した。
「──失礼。どうやら時間だ」
「っ、ヴィットさん!!」
「ごめん」
リアナちゃんが怒ったように声を上げるが、おれは意識をすべてカインへと向ける。
意識を繋げるスキル────“シンクロ”。
おれの能力の基本系統で意識と意識を繋ぎ合せて交信が可能になる。そして繋がりを強めると互いに相手の意識に自分の意識を移すこともできる。
……つまり、こんなことも可能になる。
(あーあー、テステス)
(ん!  ヴィットか)
詰問するリアナちゃんの声も遠のく中、おれは意識をカインへ完全に繋げた。
それによっておれの方が若干無防備になるが、そこはまぁ……問題ない。
(っ、今、ちょっと忙しいんだが!?)
(すぐ済む。少し能力を使わせろ)
(ここでか!?  さすがにやり難いぞ!)
今度こそ見つけれるかもしれない。ヴァルキリーのお嬢ちゃんの相手で大変なカインには悪いが協力してもらう。……というかしないと命がないぞ多分。
若干強引にではあるが、意識を集中させる。元々このスキルは対象から拒絶されると使えないものであり、相手が承諾姿勢であればどこまで干渉することができる。
先ほど一時的にカインがおれの体でミオに対話したのように。
つもりこのスキルはその気になれば────。
(よし──今だいくぞ!!)
(──たくっ!  しょうがない……)
***
「「なぁ!!」」
「ふにゃ?」
そこで視界が暗転するとおれは舞台上に立つ。迫っていた光の刃を弾くと一度その刃から距離を取った。
いや、正確には乗り移るようにカインの体を借りて肉体を操作。眼前に金髪のポニー少女【ヴァルキリー】エースのリリィちゃんと対めn…………って、がががががががががががっ!?
「…………」
「え、なに?  急に固まってどうしたの?」
突如立ち尽くしてしまったおれを見て、リリィちゃんも攻撃の手を止める。
本来彼女は今カインと戦っている真っ最中。相手が無防備であれば仕掛けるのが当たり前だが、あまりの雰囲気が変化の所為か。攻めるべきか迷った顔でこちらを見ている。
激しく戦闘を繰り広げた為に全身汗をだくで息も少し荒れているようだが。
「ス……」
「す?」
おれはそんなことよりも間近で見た彼女を。
【ヴァルキリー】ファンでもある。おれは……!!
「ストライクゥーー!!」
「なにがにゃ!?」
叫んでいた。借りている体の主のことも考えずに。
(おおおおおおいいいいいい!?  人の体で気色悪い声を上げるなぁぁ!!)
──あ、いけねいけね。
思わず欲望のままに絶叫してしまったが、胸の奥で悲痛の叫びを上げるカインの声に正気に戻った。
そういえば戦闘中だったわ。
カインの体に入り込んだことで微かだったあの気配をしっかり感じ取りながら、片手の剣を握り締めて彼女に向かい合う。
「おい」
「な、にゃに?」
とりあえず……。
「サイン頂けませんか」
「へ?」
(ちゃんとやれぇっ!!  馬鹿たれがぁああああ!!)
あ、でもサイン色紙が無いや。
なんか叫び声が聞こえてくるが、リリィちゃんのサインゲットの為。
──おれ、頑張りますっ!!
「おっしゃーー!!  ここからが本番だぞリリィちゃん!  勝ったらサイン頂戴ね!?」
「にゃーー!?  なんだにゃ!?  急にキャラが変貌したにゃ!!」
(ああああああああああああああ!!  やっぱ体預けるんじゃなかったーー!!)
アレ?  なんかカイン泣いてね?  なんで?
まぁ、いいや、この状態の時間も限られる。
おれはカインの体を通して感覚強化スキル“カウンター・センス”を使用。カインの肉体の為少々扱いに苦戦しつつ、強化のすべてを聴覚へ注いだ。
そして作戦が決行5分前まで遡る────。
試合も始まりそろそろ動き出してもいいか。と思ったところで、おれの能力を敏感に察知したリアナちゃんが見回り場所から離れてずっと引っ付いて来ていた。
明らかに見張られている。
どうしましょう?
「何が起きているんですか?」
能力のことだろう。この姉妹たちは特殊だからおれの能力を察知することができる。
それに兄も関わっているということもあり鋭い眼差しで訊いてくる。
「何のことだ?」
けど、巻き込むわけにはいかないので惚けておくことにした。
オレの言葉にリアナちゃんからさらに強い詰問の目を向けられるが、大好きな兄が狙われているなんて話すのは絶対に控えたほうがいい。
パニックになっても冷静になって関わって来られても困る。
なるべく表情は穏やかにして大丈夫だよ。と笑みを浮かべおれは優しく接するが。
それが余計に不味かった。
おれの顔を覗き込むように見たリアナちゃんは確信の声音で踏み込んで来る。
「兄さんに繋げている共感もいつになく強く感じます。それこそ私たちに常に繋げている物に近いほど強力な。それほどの事態が今起きているんですね?」
何か手繰るように手を動かして彼女は告げる。
それを見て思わず引きつりそうになる頰を維持するが、そこまでバレている以上。もう誤魔化しきるのは困難だった。
「ヴィットさん!」
「……」
これ以上は厳しいか。
より強い目つきで詰めてくるリアナちゃんに困り果てていた。
──その時だった。
「っ!!」
「え?」
それぞれ反応は異なる。
突然試合の方へ振り返ったおれにビックリして驚くリアナちゃん。
対しておれはそんな彼女を無視して、剣技をぶつけ合う2人の試合へ意識を向ける。若干目つきが鋭くなっているだろうが、この際それは勘弁してもらう。
本来この人混み中から探るのはいくらおれでも困難だが、標的でもあるカインを通してその針のように刺す微かな気配を、人混みの先から感じ取ることに成功した。
「──失礼。どうやら時間だ」
「っ、ヴィットさん!!」
「ごめん」
リアナちゃんが怒ったように声を上げるが、おれは意識をすべてカインへと向ける。
意識を繋げるスキル────“シンクロ”。
おれの能力の基本系統で意識と意識を繋ぎ合せて交信が可能になる。そして繋がりを強めると互いに相手の意識に自分の意識を移すこともできる。
……つまり、こんなことも可能になる。
(あーあー、テステス)
(ん!  ヴィットか)
詰問するリアナちゃんの声も遠のく中、おれは意識をカインへ完全に繋げた。
それによっておれの方が若干無防備になるが、そこはまぁ……問題ない。
(っ、今、ちょっと忙しいんだが!?)
(すぐ済む。少し能力を使わせろ)
(ここでか!?  さすがにやり難いぞ!)
今度こそ見つけれるかもしれない。ヴァルキリーのお嬢ちゃんの相手で大変なカインには悪いが協力してもらう。……というかしないと命がないぞ多分。
若干強引にではあるが、意識を集中させる。元々このスキルは対象から拒絶されると使えないものであり、相手が承諾姿勢であればどこまで干渉することができる。
先ほど一時的にカインがおれの体でミオに対話したのように。
つもりこのスキルはその気になれば────。
(よし──今だいくぞ!!)
(──たくっ!  しょうがない……)
***
「「なぁ!!」」
「ふにゃ?」
そこで視界が暗転するとおれは舞台上に立つ。迫っていた光の刃を弾くと一度その刃から距離を取った。
いや、正確には乗り移るようにカインの体を借りて肉体を操作。眼前に金髪のポニー少女【ヴァルキリー】エースのリリィちゃんと対めn…………って、がががががががががががっ!?
「…………」
「え、なに?  急に固まってどうしたの?」
突如立ち尽くしてしまったおれを見て、リリィちゃんも攻撃の手を止める。
本来彼女は今カインと戦っている真っ最中。相手が無防備であれば仕掛けるのが当たり前だが、あまりの雰囲気が変化の所為か。攻めるべきか迷った顔でこちらを見ている。
激しく戦闘を繰り広げた為に全身汗をだくで息も少し荒れているようだが。
「ス……」
「す?」
おれはそんなことよりも間近で見た彼女を。
【ヴァルキリー】ファンでもある。おれは……!!
「ストライクゥーー!!」
「なにがにゃ!?」
叫んでいた。借りている体の主のことも考えずに。
(おおおおおおいいいいいい!?  人の体で気色悪い声を上げるなぁぁ!!)
──あ、いけねいけね。
思わず欲望のままに絶叫してしまったが、胸の奥で悲痛の叫びを上げるカインの声に正気に戻った。
そういえば戦闘中だったわ。
カインの体に入り込んだことで微かだったあの気配をしっかり感じ取りながら、片手の剣を握り締めて彼女に向かい合う。
「おい」
「な、にゃに?」
とりあえず……。
「サイン頂けませんか」
「へ?」
(ちゃんとやれぇっ!!  馬鹿たれがぁああああ!!)
あ、でもサイン色紙が無いや。
なんか叫び声が聞こえてくるが、リリィちゃんのサインゲットの為。
──おれ、頑張りますっ!!
「おっしゃーー!!  ここからが本番だぞリリィちゃん!  勝ったらサイン頂戴ね!?」
「にゃーー!?  なんだにゃ!?  急にキャラが変貌したにゃ!!」
(ああああああああああああああ!!  やっぱ体預けるんじゃなかったーー!!)
アレ?  なんかカイン泣いてね?  なんで?
まぁ、いいや、この状態の時間も限られる。
おれはカインの体を通して感覚強化スキル“カウンター・センス”を使用。カインの肉体の為少々扱いに苦戦しつつ、強化のすべてを聴覚へ注いだ。
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