居候人は冒険者で店員さん
【作戦決行その1】
試合前に遡る────。
「ってことはオレがターゲットなのか。その、暗殺者の」
「──“魔弾の瞳”。なんでもお前と同じAAランクの女だそうだ」
控えのテントで伸びていたカインが起こしたところで、おれは現状を伝えつつテーブルに資料を並べながら、まだ実感が薄そうなカインに説明している。
あいにく人物写真や本名まではないが、最低限の情報は集まっていた。
「基本はブラックリストに指定された指名手配の奴ばっか狩ってるが、依頼されればお前のようなイケメンでも殺すプロの殺し屋だ」
「なんでオレがそのブラックリストの方々と同じ扱いなんだ?  そもそもなんでお前が暗殺のこと知ってるんだよ?  この資料も何処から……」
「私が説明しよう」
「ん!?  ──アーバンさん!?」
と、おれが答えようとしたところでさらに来客。
アーバンさんだ。
憲兵のリーダーの為忙しい人だが、今回ばかりは呼ぶしかなかった。
情報収集や資料の用意もそうだが、捕らえるのなら憲兵を動かせれるアーバンさんが絶対必要だ。
ここに来たってことは、頼んでいたことは済んだようだ。
「つい週間ほど前だ。“セイリュウ”の方から情報が入ってな。お前の存在を危惧している連中が依頼を出した」
「セイリュウ?  なんでそこから…………あ」
不思議に首を傾げていたが、セイリュウの単語になにか思い当たる節があったようだ。
頰を引き攣って申し訳なそうにおれを見てきた。
そこでおれも思い出した。
というか、結構最近のことだ。
「そういえば、半月くらい前セイリュウのお偉いさんがスザクに来て、お前らとトラブルを起こしたって聞いたが」
「セイリュウでも有名な武器商人でスザクには商売で来たらしい。で、商売も終えて夜の街で飲んでいたんだが、そこで偶々街を歩いていたミオたちに目を付けて…………え、ええと」
と、最後まで口にしようとしたところで口ごもり出したカイン。
その時のことを思い返しているのか、凄く後ろめたそうな顔で言い淀んでしまっているの見ておれは……。
「やっちゃったと?」
「は、半々かな?  オレ半分、彼女らが半分」
「違うよな。アイツらが半分を3分けして、お前がちょうど半分やったんだろ?  完全にお前の方が多いよな?」
「──うぐっ!」
なんだか惚けたこと言い出しているよこいつ。
ぶっちゃけて訊いて見たが、どう見てもそれが理由ぽい。何がどう半分やったか聞きたくないが、酔っ払いで有頂天になっていた男からすれば、間違いなく屈辱的な何かだろう。
雇ったのはそのお偉いさんなのも間違いない。
だけど。
「金の出処はおそらくその武器商人だが、酷く恨み辛みを持った男が裏の殺し屋を雇うというのは、ちょっと綺麗過ぎないか?」
「ん、綺麗って?」
「スマート過ぎるんだよ。その程度のことで仕掛けるクソみたいなプライド持ちなら、もっと野蛮な連中をゴミのように雇うさ」
「け、けどよ。ここ最近のセイリュウ関係ならそれしかないぞ」
「そもそもそんな下らん理由なんかでAAランクの殺し屋は動かない」
あの殺気からして相当厄介な奴だ。
情報を整理してみると怪しい点が多過ぎる。
「理由付け欲しかったってところだ。本命はやはりセイリュウの貴族か、もしくはブラックリストの組織。──ちょっと待て」
そこへ、おれたちの会話を聞いていたアーバンさんが思案顔で動く。
懐から通信機のマジックアイテムを取り出して操作し出した。
普段使っているのとは別の機だ。
多分強力な通信傍受を妨害する機能が付いているタイプ。他の機能も高い高級なマジックアイテムで数機のみ貴重な物だ。
だとすれば。
「私だ。至急セイリュウの口座に問い合わせて、今から名をあげた人物の引き出し履歴を────」
おれがある程度予想していると早速通信が行われている。
なんだがブラックな会話に入り出したので、早々にカインに向き合うことにする。
だって怖いし。
ブラックな世界とか知りたくないし。
知り過ぎて介入させられたらたんまんないからな。
ああ、なんか“必要なら使え”、“奴を向かわせろ”、“吐かせたら知らせろ”とか聞こえるけど。怖いので無視です。
ああ、ホント怖い。
「で、実際のところどうすればいい?  というかその暗殺者を見つけられないのか?」
カインもアーバンさんの会話を聞いて悪寒が走ったか、ブルッと肩を震わせて意識を反らすつもりで話を続けたので、おれもそれに乗っかることにした。
「人が多過ぎて無理だ。何より本当に“魔弾の瞳”なら遠距離タイプ。魔銃使いだから範囲を絞れん」
いや、明確には範囲を絞れない訳ではない。
この街の構造はアーバンさんと共によく知っている。狙撃に有効なポイントもある程度は捕捉も可能だ。
けど、どうしても人が多い。
感知もおれ自身に向けられているならまだ気付けるかもしれないが、カインへの殺気だとすれば。
…………。
…………うん。
「いや、もう女に殺される未来は確定してるし。ならいっそ…………なぁ?」
「“なぁ?”じゃないよ!?  ていうか言い方ーー!!  女性にやられちゃう未来は確定なのか!!」
確定に決まってるだろ?
唖然とするカインに何を言いだすんだ、という意味も込めて肩を叩くとちょうど話し終えたアーバンさんとも話を進めることにする。
その際、肩を叩かれたカインが真っ青な顔で肩を落としていたが、“まぁ今回は守ってやるから今後は自力でな”と言ってさっさと話に混ざらせた。
早くしないと試合が始まるから急いで進めた。
「ってことはオレがターゲットなのか。その、暗殺者の」
「──“魔弾の瞳”。なんでもお前と同じAAランクの女だそうだ」
控えのテントで伸びていたカインが起こしたところで、おれは現状を伝えつつテーブルに資料を並べながら、まだ実感が薄そうなカインに説明している。
あいにく人物写真や本名まではないが、最低限の情報は集まっていた。
「基本はブラックリストに指定された指名手配の奴ばっか狩ってるが、依頼されればお前のようなイケメンでも殺すプロの殺し屋だ」
「なんでオレがそのブラックリストの方々と同じ扱いなんだ?  そもそもなんでお前が暗殺のこと知ってるんだよ?  この資料も何処から……」
「私が説明しよう」
「ん!?  ──アーバンさん!?」
と、おれが答えようとしたところでさらに来客。
アーバンさんだ。
憲兵のリーダーの為忙しい人だが、今回ばかりは呼ぶしかなかった。
情報収集や資料の用意もそうだが、捕らえるのなら憲兵を動かせれるアーバンさんが絶対必要だ。
ここに来たってことは、頼んでいたことは済んだようだ。
「つい週間ほど前だ。“セイリュウ”の方から情報が入ってな。お前の存在を危惧している連中が依頼を出した」
「セイリュウ?  なんでそこから…………あ」
不思議に首を傾げていたが、セイリュウの単語になにか思い当たる節があったようだ。
頰を引き攣って申し訳なそうにおれを見てきた。
そこでおれも思い出した。
というか、結構最近のことだ。
「そういえば、半月くらい前セイリュウのお偉いさんがスザクに来て、お前らとトラブルを起こしたって聞いたが」
「セイリュウでも有名な武器商人でスザクには商売で来たらしい。で、商売も終えて夜の街で飲んでいたんだが、そこで偶々街を歩いていたミオたちに目を付けて…………え、ええと」
と、最後まで口にしようとしたところで口ごもり出したカイン。
その時のことを思い返しているのか、凄く後ろめたそうな顔で言い淀んでしまっているの見ておれは……。
「やっちゃったと?」
「は、半々かな?  オレ半分、彼女らが半分」
「違うよな。アイツらが半分を3分けして、お前がちょうど半分やったんだろ?  完全にお前の方が多いよな?」
「──うぐっ!」
なんだか惚けたこと言い出しているよこいつ。
ぶっちゃけて訊いて見たが、どう見てもそれが理由ぽい。何がどう半分やったか聞きたくないが、酔っ払いで有頂天になっていた男からすれば、間違いなく屈辱的な何かだろう。
雇ったのはそのお偉いさんなのも間違いない。
だけど。
「金の出処はおそらくその武器商人だが、酷く恨み辛みを持った男が裏の殺し屋を雇うというのは、ちょっと綺麗過ぎないか?」
「ん、綺麗って?」
「スマート過ぎるんだよ。その程度のことで仕掛けるクソみたいなプライド持ちなら、もっと野蛮な連中をゴミのように雇うさ」
「け、けどよ。ここ最近のセイリュウ関係ならそれしかないぞ」
「そもそもそんな下らん理由なんかでAAランクの殺し屋は動かない」
あの殺気からして相当厄介な奴だ。
情報を整理してみると怪しい点が多過ぎる。
「理由付け欲しかったってところだ。本命はやはりセイリュウの貴族か、もしくはブラックリストの組織。──ちょっと待て」
そこへ、おれたちの会話を聞いていたアーバンさんが思案顔で動く。
懐から通信機のマジックアイテムを取り出して操作し出した。
普段使っているのとは別の機だ。
多分強力な通信傍受を妨害する機能が付いているタイプ。他の機能も高い高級なマジックアイテムで数機のみ貴重な物だ。
だとすれば。
「私だ。至急セイリュウの口座に問い合わせて、今から名をあげた人物の引き出し履歴を────」
おれがある程度予想していると早速通信が行われている。
なんだがブラックな会話に入り出したので、早々にカインに向き合うことにする。
だって怖いし。
ブラックな世界とか知りたくないし。
知り過ぎて介入させられたらたんまんないからな。
ああ、なんか“必要なら使え”、“奴を向かわせろ”、“吐かせたら知らせろ”とか聞こえるけど。怖いので無視です。
ああ、ホント怖い。
「で、実際のところどうすればいい?  というかその暗殺者を見つけられないのか?」
カインもアーバンさんの会話を聞いて悪寒が走ったか、ブルッと肩を震わせて意識を反らすつもりで話を続けたので、おれもそれに乗っかることにした。
「人が多過ぎて無理だ。何より本当に“魔弾の瞳”なら遠距離タイプ。魔銃使いだから範囲を絞れん」
いや、明確には範囲を絞れない訳ではない。
この街の構造はアーバンさんと共によく知っている。狙撃に有効なポイントもある程度は捕捉も可能だ。
けど、どうしても人が多い。
感知もおれ自身に向けられているならまだ気付けるかもしれないが、カインへの殺気だとすれば。
…………。
…………うん。
「いや、もう女に殺される未来は確定してるし。ならいっそ…………なぁ?」
「“なぁ?”じゃないよ!?  ていうか言い方ーー!!  女性にやられちゃう未来は確定なのか!!」
確定に決まってるだろ?
唖然とするカインに何を言いだすんだ、という意味も込めて肩を叩くとちょうど話し終えたアーバンさんとも話を進めることにする。
その際、肩を叩かれたカインが真っ青な顔で肩を落としていたが、“まぁ今回は守ってやるから今後は自力でな”と言ってさっさと話に混ざらせた。
早くしないと試合が始まるから急いで進めた。
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