オリジナルマスター

ルド@

妖精と魔法使い その3

「ハァァァァァーー」

重い溜息を漏らすのは、この場で一番の苦労人であるキリアだ。
彼女の視界には、こちらの都合など一切考慮していない二人が激突。その戦いもいよいよ終盤戦に入ろうとしていたが、心労が激しい彼女はそれどころではなかった。

ピキピキ……!

「うっ……また」

二人の戦いの余波で訓練場に張っていた結界にヒビが入り始める。すぐに貼り直したが、これが初めてではなかった。

「ハァー、もう四枚目……。一応Aランク相当の魔法までは耐え切れる筈なんだけど」

普段から組み込んでいた訓練場の結界が保たないのは予想の範囲内であるが、まさか自分が得意とする結界魔法分野で何度も破られ掛けている。嫌々引き受けたことであるが、その結果に少なからず落ち込んでしまっていた。

「まぁ分かっていたことですが、やはり悔しいですね」

仕方ないのだと不満はあるが理解はしていた。二人とも彼女よりも数段上の魔法の使い手である。現役の頃がAランク止まりだった彼女では、寧ろこれまで保っていただけまだマシであった。

「………………」

徐々に激しくなる戦闘を見ていくにつれて、悔しかった気持ちが薄れて頬が引き攣り苦笑顔となっていた。

「規格外過ぎて反応に困りますね。なんだか悔しがってる自分がバカみたい」

気付けば皮肉混じりに呟いていた。
次元の違い過ぎる光景は、傷付いた彼女のプライドも無視して蹂躙する。その時点で彼女も諦めて結界の維持に努めようとしたが。

一つだけ、どうしても気掛かりなことが彼女にはあった。 

「あのー、本当にお願いですから本気だけはやめてくださいね? 結界どころか建物そのものが保ちませんから──って、聴こえてませんね…………ハァー」

諦めと疲労が混ざった深い溜息が零れるが、ギルド会館の崩壊はなんとしても避けたい。うっかりやられても困るので、掛けていた魔法の出力を限界まで底上げした。


◇ ◇ ◇


「はーっ!」

叫ぶように息を吐いたシャリアは魔力を放出させた。これまで以上に膨れ上がった魔力を身に纏わせ、無理やり彼の拘束魔法を振り解いた。
ジークも一瞬驚きの顔して僅かに距離を取るが、上昇した魔力の放出を見て納得顔で手を振った。

「んまぁ、そうなるか──『真影から捕縛鎖シャドウ・チェーン』」

この模擬戦で初めて『詠唱破棄』で闇魔法を行使する。『無詠唱』でも発動出来たのであるが、その分効果は高くなり威力も強くなる。彼の場合は苦手としている操作技術を上げる為だ。

「ぬ、縛りが強くなったか」

「はははっ、けどあんまり意味ない感じだ」

鬱陶しそうにしかめ面して自身を縛る黒鎖を睨み付けるシャリア。だが、Sランク級の魔力放出をしている今の彼女には今ひとつ効果はなかった。
彼が掛け直した拘束魔法の端から既に綻び始めていた。

(結構魔力も込めたつもりだけど、このレベルではもうダメか)

内心呟きつつ視界で彼女を拘束する闇の鎖が、脆く紙のように体から毟り取られていた。

「ふー、やっと動けるぞ」

やはり相手は元Sランクの《妖精魔女》である。これぐらいは容易に振り解けるのだと、ジークはシャリアの出方を探りながら分析した。

「じゃあ、次はこちらから行くぞ?」

コクリと可愛らしく首を傾げて尋ねるように言うと、彼女の体からこれまでとは異なる性質をした魔力が溢れ出した。

「──『精霊界に棲みし精霊よ』『光の存在たる光の精霊よ』」

「ッ! 『精霊魔法』! ……いや、『精霊召喚・・・・』っ?」

「『盟約に従い我に力を』『盟約に従い我を庇護せよ』」

「しかも『省略詠唱』かよ!」

目を大きく見開き驚愕する彼を他所にシャリアは詠唱を済ませた。

「『精霊召喚』──【白星剣姫ハクセイケンキ】!」

「ッ! しまっ……!」

──『精霊召喚』。
この世界にいる精霊ではない、精霊達が住む着く精霊界から契約した精霊を現世に呼び寄せ使役する魔法だ。それも精霊界の中でも高位の精霊・・・・・を呼び寄せる為に使用することが多い。当然シャリアも高位の精霊──切り札と呼べる味方を呼び寄せた。

(く、悔やみ切れないなぁ、魔法は意味ないと思って油断した……。相手は『妖精族』なんだ、冷静に考えれば『精霊召喚』を使ってもおかしくなかった筈なのに)

専門外ということもあってか、予想外の事態に僅かな間であるが放心状態となってしまった。慌てて詠唱を止めようとしたジークであるが遅かった。滲み出てきた後悔も遅過ぎた。

「あ、あははは……流石にヤバいかな? コレは・・・

『……』

彼の視界でソレは・・・向かい合って来る。身体全てが白い光の塊で出来ており、背中には白き翼をはためかせて見下ろすようにして、全身から高貴な気配を纏わせていた。
場の空気が一瞬で張り詰めるものへと変わったのをジークだけでなく、立会い兼審判役のキリアも知っているが確かに感じ取っていた。

「“名伏せ”での召喚みたいだけど、絶対高位の精霊だよな?」

「フフフっ、まぁな! 私の自慢の精霊だ!」

額に薄っすらと汗を垂らすジークの問いに、シャリアは無い胸スレンダーを張らして力強く頷く。
表情のない真っ白な頭部。さっきから背筋に悪寒が走り、肌にもナイフが突き刺さるような感覚に襲われ、ジークは自分の勘が残念ながら間違っていないのだと肩を落とした。

(はぁ、まず間違いなく精霊王直轄・・の精霊だ。……勘弁してほしいな)

彼自身それほど詳しく知っている訳ではないが、精霊界にいる各精霊王の周りには精霊王が直々に選び抜いた超が付く高位の精霊が数体、精霊王の守護精霊として付いていた。

先程の詠唱の中に“光の精霊”という単語が含まれていたので、恐らく目の前いる精霊は光と聖に連なる精霊──聖霊王直轄の守護聖霊であろう。

「流石に驚くか……だが、まだだ」

が、シャリアの本領はここからである。自慢の精霊の登場に対し驚く彼を見て嬉しそうに頷くと追撃の詠唱を唱えた。

「『白き星霊は甲冑を纏い』『輝きし翼で天を舞い』『剣姫は武具たる剣を携え闇を切り裂き』『聖霊の庇護たる盾で闇を退き』」

詠唱を唱えていく中、対象である精霊の姿が段階に分けて変化し始めた。

真っ白な光の身体を包むように、白く仰々しい甲冑が姿を現す。背中に付いていた翼が変化して二枚羽であったのが四枚羽に変わり、各部に金色の小さな飾りが付いた。
最後には両方の手から武具が出現。右手には鍛え抜かれた西洋剣が、左手には中心に大きな宝石取り付けた盾が、発光させながら左右で存在を主張していた。

「や、これはヤバ──」

そして、更に追加された『詠唱』で強化された精霊を見て、驚いていたジークは顔を引き攣らせたが。

「──からさっさと倒そう」

面倒になるのは見てれば分かる。その前に倒せば良しと、即決断してジークは手刀を構えた。精霊の見上げる位置に立ち、強化した身体で精霊に向かって跳躍した。

「精霊なら加減は不要だ──『絶対切断ジ・エンド』」

先手必勝で殺傷能力・大の『オリジナル』を使用した。

『──!』

ジークの手刀は精霊の体を身に付けている鎧ごと縦に切り裂いた。
『絶対切断』は一瞬だけ付与したモノを何でも切れる名刀に変える魔法。その効果を手刀に付与して本来切れる筈のない鎧と精霊を切り裂いたが。

「──おっと!?」

切り裂かれた筈の精霊は消えずその場に留まっていると思ったら、剣を持つ右側半分が反転して背後に着地した彼を斬り掛かって来た。
さらに気配に反応して素早く振り下し剣を躱して、距離を取ろうとしたところを迫って行った。

「オイオイ友よ。高位の精霊が真っ二つにされたぐらいでやられると筈がないだろう? 肉体が顕現しても元はエネルギーの塊だ。物質を切り裂いても意味がないぞ」

「だよな」

シャリアの呆れ混じりの声を掛けてくる間も精霊はジークに斬り掛かって行く。振られる剣の刃を避けながら返事をすると、自分の考えが甘かったと彼は反省した。

(もしかしたら倒せるかなと思ってのことだったが、それは甘い考えだったようだ)

「出番だ『神隠し・・・』」

なので確実に倒す選択へと移った。袖をめくり上げて銀色の腕輪に付いている四つ黒色の石──『魔石』を確認した。

「ん? 友よ、それはなんだ?」

左腕の袖をめくり上げて出現した物を初めて見たシャリアが不思議そうに尋ねるが。

「ひ・み・つ・へ・い・き」

悪戯な笑みを浮かべた彼が魔力を解放させた。

(『混沌の暴風カオス・テンペスト』『黒き秘密箱ブラック・ボックス』『駆け巡る影針ニードル・シャドウ』『新闇の侵食ダーク・インベイジョン』)

発動されるのは闇系統の上位魔法。火力が低い闇系統であるが、これだけを一斉に発動されれば相手はタダでは済まない。十分過ぎるほどの過剰攻撃であるが、ジークは念押しとばかりに過剰追加していた。

「おかわりはどうだぁ? ──『再起復活リトライ・リボーン』!」

数秒前に発動した魔法を発動工程を無視して再発動する・・・・・『オリジナル魔法』──『再起復活リトライ・リボーン』を使用した。

これによって先程『神隠し』から解き放った、闇魔法の四連発が再発動となる。訓練場全体を浸食しようと闇のオーラが泡のように膨らんだ。

(『混沌の暴風カオス・テンペスト』『黒き秘密箱ブラック・ボックス』『駆け巡る影針ニードル・シャドウ』『新闇の侵食ダーク・インベイジョン』)

さっきの倍の量の闇が訓練場から溢れる。遮断している筈の結界の外にまで漏れそうな勢いで溢れ返ると、その中心でジークは手のひらを精霊に向けた。

「闇に染まろうかぁ、精霊さん」

光り輝く精霊を黒く墨のように染め上げる。絶対な闇へと沈めていった。
結界があれば回避も出来たかもしれないが、躱すという言葉が出ないほど溢れた闇が精霊を捕らえる。精霊は加護が備わった盾で防ごうともしたが、全方位からでは話にならない。いくら聖霊王から選ばれた高位の精霊でも無理があった。

「ノォ〜〜〜〜!?!?」

主人の悲鳴がフロアに響く中、闇に呑み込まれた精霊が解けるように消失する。せめて真名での召喚あればまだ防げたと思われるが、彼が込めた膨大な魔力と愛称の悪い闇系統は重過ぎた。
波のように何度も襲い掛かる大質量の闇は、相手を縛って串刺しにする。押し潰すと一切抵抗することも出来ない精霊を完全に消滅させた。

「わ、私のヴァーちゃんが!」

「お年寄りみたいなアダ名だな」

苦笑いしながら闇をなんとか回避したシャリアを包囲する。本当に結界が無かったら大変なことになっているが、苦労人なキリアのお陰でなんとか防げていた。

「く〜〜〜っヴァーちゃん……!」

そんな危機迫る中、未だに自身の精霊の敗北に落ち込んで、……というか怒りを露わにしているシャリアがいる。容姿の所為で子供が悔しがっている風にしか見えず、地団駄でも踏んでいたら確定的だったが、さすがにそれはなかった。

「よくも……よくも〜〜〜!」

「あははっ……まぁ終いだね」

代わりに恨めしそうにジークを睨む。そんな幼女の視線が辛いのか、戦闘中なのについ視線を逸らしてしまう男がいるが、そこはしょうがないと思いたい。

なによりこれでもう決着がついた──と少なくとも彼は思っていた。

「……空高く照らせ」

「──!?」

突如右手を上げて詠唱するシャリアを見て、ジークはハッとした顔で手の先の上空を見上げる。するとそこには数多くの大小様々の光球が出現している。光球同士が渦のように円を描くと一点へと光が集おうとしていた。

(あ、アレは、まさか……)

嫌な予感をしつつ脳内で彼女の魔法を予想した。「いや、いくら何でも街中じゃありえないだろう? ……違うよね?」と内心呟くが、悲しいほどに魔力の読みや勘も冴えていた。勘違いという可能性はないと結論が付いてしまった。

(逆鱗に触れちゃったか? 目が濁ってるしこれは本気でマズくないか? 冗談だよねキリアさん?)

「…………」

さり気なく結界の外へ視線を送ると、だくだくと冷や汗が流す苦労人がいる。現実逃避か思考が停止しているのが、大口を開けているのが見えただけ分かってしまった。

と、他所に意識を向けたことで、彼女を止めるタイミングをまた逃してしまった。

「ヴァーちゃんの仇ぃぃぃっ!」

「いや、別に死んでない──って!?」

『省略詠唱』だった為か、ちょうど彼女の『詠唱』が終わり魔法が発現された。



「──天より舞い降りろ『日射天撃ニッシャテンゲキ』!!」



訓練場上空にてジーク目掛けて墜ちてくるのは、特大の光線レーザー
天から流星により敵を滅ぼす光系統最高位の一つ。
【光属性】Sランク魔法『日射天撃ニッシャテンゲキ

「やっぱりSランク魔法か・・・・・・・っ!」

出来れば違ってほしかった。
そんな気持ちを滲み出た彼の声が届いたか、高笑い気味にシャリアは吠えた。

「墜ちるがいいっ! 友よっ!」

「ははははっ! やなこったッ!」

シャリアの言葉を即拒否する。降り落ちてくる光線を前に体内魔力を練り上げた。

「──纏まれ! 守護せよ!」

訓練場を埋め尽くしている大質量の闇を操る。纏め上げると球体状に形態変化させる。特大光線を迎撃させる為に頭上高く覆った。

「っ、保ってくれよ」

これでもかと魔力を込めた質量であるが不安はある。なんせ相手は得意な属性から撃ち出されたSランクの極太レーザーだ。
ジークが解き放った闇魔法はAランクとBランクで構成されていたが、ハッキリ言ってあの極太レーザーを止め切れるか怪しいのが彼の本音であった。

だからこそ、ここは押し負けるわけにはいかない。

「盾となって守護せよ」

魔力を追加で注ぎながら魔力操作に神経を集中させる。盾を意識して衝撃に備えようとした。


これにより幾分かマシになったが、────果たして。


「墜ちろ!」

「防ぐんだ!」


特大極太レーザー大大大質量が衝突した。






「…………『ウロボロス・・・・・』」


◇ ◇ ◇


「ハァ〜、お二人とも少しはこちらの気を使ってくださいよ」

「ハハハッ、スミマセン。キリアさんなら任せても大丈夫だと思って」

疲れたようにキリアが呟く。何重にも掛けていた結界を解いて、グッタリとした仕草で床に座り込んでしまった。
そんな彼女を激励するように優しい声音で話すジークであるが、それでも内心ハメを外し過ぎたと心苦しく思っていた。

「はぁ、というか結界を維持よりも、お二人から放たれている魔力を直に浴び過ぎて失神しそうでした」

「あ〜〜そこら辺は考慮してませんでしたね」

「ですよねぇ? はぁぁぁぁ」

気の毒そうな顔をする彼をジトと見つめて、クタクタの様子で座り込むと軽く不満を吐く。確かに魔力の消費も激しくはあったが、一番堪えたのはジークとシャリア、SSランク超越者Sランク達人の濃密な魔力の激突で起こる余波であった。

特異体質かジークの魔力は感じ取ること出来ないが、寒気や重圧となって周囲の人に襲い掛かる。その余波は激しく彼女の心身に深くダメージを与え、軽い目眩などを起こしていた。

「まあいいでしょう。このような模擬戦も恐らく今回限りでしょうし」

「あー、俺もそうであると助かるんですが……」

チラリと二人は互いに視線を逸らして別の方へと移した。

「ぬ〜〜〜〜〜」

そこでは先程のキリア以上に、不満そうに頬をこれでもかと膨らませたシャリアが……体育座りで睨んでいた。……格好が黒のワンピース姿なのでコメントに困るジークだが、取り敢えず視線をに固定した。

「……あの、シャリアさん?」

「ぬー」

「シャリア?」

「なんだ」

「え〜と? 怒ってる?」

「怒ってるが? なんだ?」

「あ、あははは……いや、別に」

すっかりイジケてしまったシャリアにどう声をかけて良いか悩むジーク。……ちょっと可愛いと思ったのは内緒である。

「気にしないで良いですよジークさん。ギルドマスターはあなたに手加減されたことに・・・・・・・・・、年甲斐もなく不貞腐れてるだけですから」

キリアがバッサリと言い切り、言葉など不要だと彼に説明してきた。さり気なく一部分強調して言ったからか、びくりと座っていた幼女が震えていたが。

模擬戦の結果としてはジークの勝ちで決まった。最後は均衡し合う闇と光であったが、あの後彼が発現させた闇系統の『オリジナル』が光を全て喰った・・・
慌ててシャリアが新たに魔法を発動させようとしたが、その前に一気に接近され組み伏せられてしまい、審判であるキリアから敗北を告げられた。
なのだが、当の本人はこの結果にまったく納得いってない様子で、これでもかと不満そうに膨らんだ顔でキリアを睨んでいた。

「だ、誰が不貞腐れておるかーっ!」

そして、上司に対して遠慮がない部下に我慢の限界が来たか、溜め込んだ不満をぶつけるように文句を──。

「あなた以外にいますか?」

「ぐぐっ、ぐぐぐぐっ〜〜〜〜!」

言おうとするも曇りなき真顔で先手を取られて呻き声を上げるだけとなってしまう。……余程悔しいのか奥歯をギリギリしているが。

「え、えーと……」

そして、若干蚊帳の外に置いてかれたジークはというと。

「あははは……疲れたぁー」

この展開に半笑いで済ませるしなかった。


──その後も。

「だってジーク、ぬしがず〜〜〜とっ! 闇系統しか使わんかったではないか! なんだアレは嫌がらせか!」

「え? だって苦手でしょ?」

「当たり前だ『光の妖精族』だぞ! 視界全部が闇で覆われた時など悪意しか感じんかったわ!」

「相手が苦手とする属性を使うのなんて戦いの基本だよ?」

「少しは相手を敬った行動を取れ! 私の方がずっと年上だぞ!? もっと優しさをよこせぇーー!」

「無茶苦茶な……」

終始ぷんぷんしたシャリアに振り回されて、疲れたような苦笑いを浮かべてお手上げのジークであった。
そんな感じで真夜中の模擬戦は幕を閉じた。


「絶対次は勝つ!」

「もうやりませんよ?」

「私がやらせませんっ!」

やはり負けたことが悔しいのか再戦を誓う幼女に、ジークとキリアが同時に遮るということもあった。
ただ、既に疲労感でくたびれた様子の二人を他所に。

「しかし久しぶりに暴れたぞっ!」

深夜なのに何故かテンション高く元気にスキップする幼女。
結局のその晩は朝まで彼女に振り回されることになるが、それはまた別の話だった。

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