元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。
走馬灯のような思い出であった。
死の淵にいた幸村大地は夢を見る。
走馬灯と呼ぶものかもしれないが、彼の脳裏に映ったのは彼女との始まりだった。
「紹介するねぇ! この子がソラのトモダチィー!」
「どうも……小森麻衣です。お邪魔します」
初見は大地の家である。
小学生の頃、両親が再婚してしばらくした後のことだ。
当時友達を兄に紹介したがる空を通して、低学年で同級生だった麻衣が家に遊びに来た。
警戒していたのか初対面の大地とはやや距離を感じられたが、既に色んな友達を沢山紹介されていた大地も慣れた感んであった。
「ああ、ゆっくりして行ってくれ」
長々とした会話が難しいと挨拶を早々に済ませて、台所の方へ行き飲み物とお菓子を用意する程度で接触は控えた。中には一緒に遊びたがる子供もいたが、麻衣の反応からそれはないと判断。大勢の時以外は自分から近寄ろうとはしなかった。
2人の関係に進展が起きたは、共通点である空の誕生日である。
大地は妹が好きそうな動物の巨大ぬいぐるみを買って、お店を出ようとしていた時だ。
彼が寄ったぬいぐるみ屋の近くにある本屋で見慣れた小柄な少女が見えた。
「ああ……どうしよ……」
小さくて可愛らしいお財布の中を見て落ち込んでる麻衣がいた。
気になって背後から近付くと彼女の視線の先で動物の絵本が置かれている。クイズも混じって空が好きそうな本だが、分厚く大きい為に値段もそれなりにしていた。小学生が買うには少々背伸びが必要なものだ。
(チラリと見えた限りギリギリ足りない感じだな。税込みまで考えてなかったってところか? しっかりしているようで意外と抜けてるな)
家で行われる誕生日パーティーには麻衣が参加するのも知っている。ここしばらくの交流ですっかり仲が深まっているのを空からの話で察していた。
今日の空の誕生日は2人にとって初イベント。友達の麻衣は絶対に妥協したくない筈。絶対に無理をしても空の好みの本を買って帰りたいのだろう。一旦家に戻るか悩んでいたが。
「やっと見つけた一冊なのにもし戻った時に無くなってたらどうしよう……」
絵が可愛いからか残っていたのはたったの一冊のみ。表紙が見えるように目の入るところに置かれていたので、店員が補充し忘れたとは考えづらい。
あっちこっち見て回ってやっと見つけたからか、家に帰っている間に無くなっていないか不安でしょうがない様子だ。若干涙目になって体がふるふると震えていた。
「これが欲しいのか?」
「え?」
「税金分が足りないならこれでいけるな」
大地としては妹が喜んでくれるなら大歓迎で、それに少しでも自分が手助け出来たのなら満足であった。困惑する彼女に足りないであろう分を手渡して彼はその場を後にした。
「あ、あの!」
誕生日パーティーが無事に終わって、夜の片付け中の時だ
手伝うと言って聞かない麻衣が大地と一緒に片付けている最中、少し怯えた様子で決心したように声をかけた。ちなみに麻衣はお泊まりが決まって家に残っている。大地たちの親は他の親たちと誕生日会の後に飲みに行って、今は2人しかいなかった(はしゃぎ過ぎた為に疲れた空は先に寝ている)。
「その、お金……」
「気にするな。足りないと言っても少しだったんだろ? そのくらい年下にいちいち請求しない」
「で、でも!」
「空の為に買おうとしたんだ。なら結果として空が喜ぶことだ。助けた理由はそれだけで十分」
一旦片付けを止めて、怯えさせないように大地はゆっくりと麻衣に近付いてしゃがむ。
目と目を合わせて怖がらせないように、妹にしているように頭を優しく撫でた。
「だからそんな顔をするな。空の親友を俺は見捨てたりしないから」
「――っ、は、はい……!」
ビクついていたが、顔を真っ赤にして何度も頷いていた。
まだまだ距離がある感じはするが、大地は満足そうに笑顔で頷くとしばらく彼女の頭を撫で続けることにした。
「気が付いたようだな」
「っ……れ、零さん?」
頭がフラつく。思考がぼんやりしてまるで徹夜明けの気分だ。
「ここは……俺の部屋」
ていうかベットの中だ。暗いから夜なのか薄灯しか付いてなく、近くで零さんがこちらを見ていた。
「そう、お前たちが利用してるマンションの一室だ。……で、どこまで覚える?」
「どこまでって……――ッ!」
ぼんやりとしていた意識が覚醒する。脳内の電気が全身へ駆け巡った感じだ。
同時に蘇るのはぶざまに負けた記憶。再び襲来した機械兵を倒して勝利した筈が、何故か倒した魔王がゾンビのような姿で乱入。あっという間に捕まえた俺をレスラーみたいな技で殺し……
「なんで生きているの俺?」
「納得の反応だが、もう少し他にないのか?」
椅子に腰掛ける零さんから呆れた眼差しを向けられた。
冗談のつもりはないが、零さんが求めているリアクションとは異なっていたらしい。不覚。
「お前はオレに似ていると思ったがな……後輩や魔王のことはいいのか?」
「……零さん」
何を言い出すのかと俺は鉛のように重たい体を起こす。不思議なことに怪我はないが、一々そんなこと気にしたりしない。
「逃げた魔王がどうなったかまでは知りませんが、麻衣は俺の相棒です。助けてくれたことには感謝してますが、そんな試すような言い方はやめてもらいたい」
「見てた……いや、視えてたか。ふっ、あの状態でも意識が完全には飛んでなかったのか」
苦笑い顔を消して無表情で呟く。そして少し困ったように笑うと素直に謝ってくれた。
「いや、すまんすまん。少し意地の悪い言い方だったな。お前はオレっと違って薄情者じゃないもんな」
「十分意地の悪い言い方ですけどね。と、俺の服は……」
「そこに予備のがぶら下げてある。妹さんが着替えを手伝ってくれた。後で色々と話があるとのことだ」
夏服の上着だけ脱がされて上は中のシャツのみ。まさか零さんたちに着替えさせられたのかと背筋がゾクとしたが、どうやら家にいたか連絡を取った空が着替えさせてくれたようだ。はぁ、麻衣も倒れたからきっと色々と言われそうだな。
「オレのことは刃が説明でとりあえず納得してくれた。まさか妹さんにも異世界の話をしてるなんてな。以前お前と再会した時は知らなかった」
「そういえばそうでしたね」
懐かしむ余裕があったら是非語りたいところだが、あの戦いを最後まで見ていたからそんな暇がないのはよく分かってる。
「俺って何時間寝てたんですか?」
「約七時間ってところだ。今は夜の八時だ」
机に置いてあるスマホでも確認した。クラスメイトから連絡が数件来ているが、相手いると面倒そうなので放置する。それとなく外の気配を探って見るが、何も感じないことに少し違和感を覚えた。
「誰も来なかったんですか? 結構目立ってから教員とか警備の人が来てもおかしくないんですが」
「協力者は他にもいる。学園に集まる情報を上手く改竄したり、トップに働きかけをして誤魔化したそうだ。ちなみに今のところお前は病院で集中治療中という扱いにしてある。そもそもどこに住んでいるかクラスメイトに教えてないのか? あの子も近所だったと意外そうにしてたぞ?」
龍崎も説明中に何度か漏らしていた協力者のことか。あれだけ派手にやったのに情報操作とは恐れいったな。……ていうことは。
「そいつがヘマして魔王が降臨したのか?」
「人の所為にするのはよくない。って言いたいが、確かにそうだ」
わざと失礼な感じで言って睨まれると思ったが、零さんの反応は意外とあっさりしている。軽く息を吐いて重く頷いた。
「女に目がなく油断しそうな性格をしているが、オレたちの中で一番用心深いと思ってた。いくつも策を用意して敵に余裕を与えない慎重な奴だったんだがな」
「不測の事態だったと? 以前零さんが予想した話じゃ魔王が復活するには、俺の手元にある幹部カードが必要じゃなかったんですか? 連中が俺を襲っているのも、俺の中にあるっていう魔王の力を求めているからだって」
俺の能力の筈だが、何故か敵側のカードが生み出されて相手も所持している。理由は……前の龍崎の話から『戦神』と『魔神の使者』とやらが関係していると思うが、この際それは一旦隅に置いてもまだ奪われていない以上、復活はおかしいんじゃないかと零さんに訊くが。
「そう言われても分からんよ。通りを考えるならそうだと予想しただけで、絶対に必要だと決まっていた訳じゃない。それにお前も視ていたのなら分かるだろう? あの魔王は麻衣って子を捕まえて魔力を吸い取った瞬間、ボロボロだった肉体が元のそれに戻ってた。それに能力と一緒に自分の力を取り戻してる。理由は不明だが、ほぼ完全復活したと考えていい」
色々と裏事情を知ってそうな零さんも分からないか。だとしたらますます放置したらマズイ案件な気がするが、確かに復活している以上今はとにかく倒すことだ。
……しかし、
「麻衣の力を取り戻すのが先です」
「気持ちは分かるが、体内に取り込まれた以上取り戻すのはリスクが高いぞ? それに今度は機械も混じって明らかに強化されてる。取り戻すよりも破壊の方を優先した方が――」
「零さん、俺は決めてるんですよ。ずっと前から……」
全然回復していないが、構わず俺は用意してある上着を着て零さんを見つめた。
「絶対、見捨てないって。このままじゃ絶対に終われない。それに……アイツも俺の立場だったら、きっと同じことをしてたと思いますし」
「……無策じゃないよな?」
「勿論、手はあります。ここに」
告げると俺は自分の引き出しを開けて物を見せる。
何故か数が減っているようだったが、今は気にしている場合ではない。
「もし本当に残りの魔王の力を欲しているなら、望み通りくれてやろうじゃありませんか……けど、タダではあげませんけどね」
さて、逆襲の準備を始めよう。
走馬灯と呼ぶものかもしれないが、彼の脳裏に映ったのは彼女との始まりだった。
「紹介するねぇ! この子がソラのトモダチィー!」
「どうも……小森麻衣です。お邪魔します」
初見は大地の家である。
小学生の頃、両親が再婚してしばらくした後のことだ。
当時友達を兄に紹介したがる空を通して、低学年で同級生だった麻衣が家に遊びに来た。
警戒していたのか初対面の大地とはやや距離を感じられたが、既に色んな友達を沢山紹介されていた大地も慣れた感んであった。
「ああ、ゆっくりして行ってくれ」
長々とした会話が難しいと挨拶を早々に済ませて、台所の方へ行き飲み物とお菓子を用意する程度で接触は控えた。中には一緒に遊びたがる子供もいたが、麻衣の反応からそれはないと判断。大勢の時以外は自分から近寄ろうとはしなかった。
2人の関係に進展が起きたは、共通点である空の誕生日である。
大地は妹が好きそうな動物の巨大ぬいぐるみを買って、お店を出ようとしていた時だ。
彼が寄ったぬいぐるみ屋の近くにある本屋で見慣れた小柄な少女が見えた。
「ああ……どうしよ……」
小さくて可愛らしいお財布の中を見て落ち込んでる麻衣がいた。
気になって背後から近付くと彼女の視線の先で動物の絵本が置かれている。クイズも混じって空が好きそうな本だが、分厚く大きい為に値段もそれなりにしていた。小学生が買うには少々背伸びが必要なものだ。
(チラリと見えた限りギリギリ足りない感じだな。税込みまで考えてなかったってところか? しっかりしているようで意外と抜けてるな)
家で行われる誕生日パーティーには麻衣が参加するのも知っている。ここしばらくの交流ですっかり仲が深まっているのを空からの話で察していた。
今日の空の誕生日は2人にとって初イベント。友達の麻衣は絶対に妥協したくない筈。絶対に無理をしても空の好みの本を買って帰りたいのだろう。一旦家に戻るか悩んでいたが。
「やっと見つけた一冊なのにもし戻った時に無くなってたらどうしよう……」
絵が可愛いからか残っていたのはたったの一冊のみ。表紙が見えるように目の入るところに置かれていたので、店員が補充し忘れたとは考えづらい。
あっちこっち見て回ってやっと見つけたからか、家に帰っている間に無くなっていないか不安でしょうがない様子だ。若干涙目になって体がふるふると震えていた。
「これが欲しいのか?」
「え?」
「税金分が足りないならこれでいけるな」
大地としては妹が喜んでくれるなら大歓迎で、それに少しでも自分が手助け出来たのなら満足であった。困惑する彼女に足りないであろう分を手渡して彼はその場を後にした。
「あ、あの!」
誕生日パーティーが無事に終わって、夜の片付け中の時だ
手伝うと言って聞かない麻衣が大地と一緒に片付けている最中、少し怯えた様子で決心したように声をかけた。ちなみに麻衣はお泊まりが決まって家に残っている。大地たちの親は他の親たちと誕生日会の後に飲みに行って、今は2人しかいなかった(はしゃぎ過ぎた為に疲れた空は先に寝ている)。
「その、お金……」
「気にするな。足りないと言っても少しだったんだろ? そのくらい年下にいちいち請求しない」
「で、でも!」
「空の為に買おうとしたんだ。なら結果として空が喜ぶことだ。助けた理由はそれだけで十分」
一旦片付けを止めて、怯えさせないように大地はゆっくりと麻衣に近付いてしゃがむ。
目と目を合わせて怖がらせないように、妹にしているように頭を優しく撫でた。
「だからそんな顔をするな。空の親友を俺は見捨てたりしないから」
「――っ、は、はい……!」
ビクついていたが、顔を真っ赤にして何度も頷いていた。
まだまだ距離がある感じはするが、大地は満足そうに笑顔で頷くとしばらく彼女の頭を撫で続けることにした。
「気が付いたようだな」
「っ……れ、零さん?」
頭がフラつく。思考がぼんやりしてまるで徹夜明けの気分だ。
「ここは……俺の部屋」
ていうかベットの中だ。暗いから夜なのか薄灯しか付いてなく、近くで零さんがこちらを見ていた。
「そう、お前たちが利用してるマンションの一室だ。……で、どこまで覚える?」
「どこまでって……――ッ!」
ぼんやりとしていた意識が覚醒する。脳内の電気が全身へ駆け巡った感じだ。
同時に蘇るのはぶざまに負けた記憶。再び襲来した機械兵を倒して勝利した筈が、何故か倒した魔王がゾンビのような姿で乱入。あっという間に捕まえた俺をレスラーみたいな技で殺し……
「なんで生きているの俺?」
「納得の反応だが、もう少し他にないのか?」
椅子に腰掛ける零さんから呆れた眼差しを向けられた。
冗談のつもりはないが、零さんが求めているリアクションとは異なっていたらしい。不覚。
「お前はオレに似ていると思ったがな……後輩や魔王のことはいいのか?」
「……零さん」
何を言い出すのかと俺は鉛のように重たい体を起こす。不思議なことに怪我はないが、一々そんなこと気にしたりしない。
「逃げた魔王がどうなったかまでは知りませんが、麻衣は俺の相棒です。助けてくれたことには感謝してますが、そんな試すような言い方はやめてもらいたい」
「見てた……いや、視えてたか。ふっ、あの状態でも意識が完全には飛んでなかったのか」
苦笑い顔を消して無表情で呟く。そして少し困ったように笑うと素直に謝ってくれた。
「いや、すまんすまん。少し意地の悪い言い方だったな。お前はオレっと違って薄情者じゃないもんな」
「十分意地の悪い言い方ですけどね。と、俺の服は……」
「そこに予備のがぶら下げてある。妹さんが着替えを手伝ってくれた。後で色々と話があるとのことだ」
夏服の上着だけ脱がされて上は中のシャツのみ。まさか零さんたちに着替えさせられたのかと背筋がゾクとしたが、どうやら家にいたか連絡を取った空が着替えさせてくれたようだ。はぁ、麻衣も倒れたからきっと色々と言われそうだな。
「オレのことは刃が説明でとりあえず納得してくれた。まさか妹さんにも異世界の話をしてるなんてな。以前お前と再会した時は知らなかった」
「そういえばそうでしたね」
懐かしむ余裕があったら是非語りたいところだが、あの戦いを最後まで見ていたからそんな暇がないのはよく分かってる。
「俺って何時間寝てたんですか?」
「約七時間ってところだ。今は夜の八時だ」
机に置いてあるスマホでも確認した。クラスメイトから連絡が数件来ているが、相手いると面倒そうなので放置する。それとなく外の気配を探って見るが、何も感じないことに少し違和感を覚えた。
「誰も来なかったんですか? 結構目立ってから教員とか警備の人が来てもおかしくないんですが」
「協力者は他にもいる。学園に集まる情報を上手く改竄したり、トップに働きかけをして誤魔化したそうだ。ちなみに今のところお前は病院で集中治療中という扱いにしてある。そもそもどこに住んでいるかクラスメイトに教えてないのか? あの子も近所だったと意外そうにしてたぞ?」
龍崎も説明中に何度か漏らしていた協力者のことか。あれだけ派手にやったのに情報操作とは恐れいったな。……ていうことは。
「そいつがヘマして魔王が降臨したのか?」
「人の所為にするのはよくない。って言いたいが、確かにそうだ」
わざと失礼な感じで言って睨まれると思ったが、零さんの反応は意外とあっさりしている。軽く息を吐いて重く頷いた。
「女に目がなく油断しそうな性格をしているが、オレたちの中で一番用心深いと思ってた。いくつも策を用意して敵に余裕を与えない慎重な奴だったんだがな」
「不測の事態だったと? 以前零さんが予想した話じゃ魔王が復活するには、俺の手元にある幹部カードが必要じゃなかったんですか? 連中が俺を襲っているのも、俺の中にあるっていう魔王の力を求めているからだって」
俺の能力の筈だが、何故か敵側のカードが生み出されて相手も所持している。理由は……前の龍崎の話から『戦神』と『魔神の使者』とやらが関係していると思うが、この際それは一旦隅に置いてもまだ奪われていない以上、復活はおかしいんじゃないかと零さんに訊くが。
「そう言われても分からんよ。通りを考えるならそうだと予想しただけで、絶対に必要だと決まっていた訳じゃない。それにお前も視ていたのなら分かるだろう? あの魔王は麻衣って子を捕まえて魔力を吸い取った瞬間、ボロボロだった肉体が元のそれに戻ってた。それに能力と一緒に自分の力を取り戻してる。理由は不明だが、ほぼ完全復活したと考えていい」
色々と裏事情を知ってそうな零さんも分からないか。だとしたらますます放置したらマズイ案件な気がするが、確かに復活している以上今はとにかく倒すことだ。
……しかし、
「麻衣の力を取り戻すのが先です」
「気持ちは分かるが、体内に取り込まれた以上取り戻すのはリスクが高いぞ? それに今度は機械も混じって明らかに強化されてる。取り戻すよりも破壊の方を優先した方が――」
「零さん、俺は決めてるんですよ。ずっと前から……」
全然回復していないが、構わず俺は用意してある上着を着て零さんを見つめた。
「絶対、見捨てないって。このままじゃ絶対に終われない。それに……アイツも俺の立場だったら、きっと同じことをしてたと思いますし」
「……無策じゃないよな?」
「勿論、手はあります。ここに」
告げると俺は自分の引き出しを開けて物を見せる。
何故か数が減っているようだったが、今は気にしている場合ではない。
「もし本当に残りの魔王の力を欲しているなら、望み通りくれてやろうじゃありませんか……けど、タダではあげませんけどね」
さて、逆襲の準備を始めよう。
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