元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。
休校中の3日間(大地side)。
予期せぬ襲撃者というかマシン兵に襲われた後、やっかましい後輩さんは寝込んでました。やったー。
「センパーイ……ジュースぷりーず」
「はいよ」
なんて冗談を置いといて、結構参っているようだ。体質的に一度魔力が空になると全身疲労でダウンするそうだが、こちらに戻って行こう肉体的に若返ったためだろう。これまで限界近くまで魔力を使わなかったが、俺と同じで反動が余計に大きくなっていた。
「どうだ調子は? 3日目だが」
「回復は3割くらいかと……あのプラモデルめぇ、無茶苦茶に魔力を吸いおってぇ……!」
「無駄グチ叩ける元気は戻ったようだな」
何故か俺の部屋のベットで寝っている後輩にオレンジジュースを渡している。なんで人のベットで練っているかなんで俺がジュースを配っているのか、色々と言いたいところがあるが、俺もダウンした際に世話になってるからなぁ。多少のワガママは……
「センパーイ、肩揉んで〜」「センパーイ、アーンして」「センパーイ、着替えさせて〜」「体拭いて〜」「絵本読んでぇ〜」「ゲーム貸してぇ〜」「ひざまくらぁ〜」「添い寝ぇ〜」「愛を囁いt―――」
「アイシテル、さっさと永眠しやがれ! この後輩っ!」
「―――ふぎゃ!」
ウザったい顔を枕で塞いで部屋を後にする。俺の部屋だけどもうワガママ大魔神に占拠されてしまったので、俺の寝室はリビングに移ってしまっていた。
「遅かったねぇお兄ちゃん。お昼過ぎてるけど何か食べる?」
「残り物で大丈夫だから。はぁ、なかなか寝てくれないから頭痛い」
「あはははは……マイちゃんってお兄ちゃんにだけすっごい甘えてるよねぇー」
「過保護に育てた覚えはないが……何故か俺にだけあの態度だ。先輩先輩言いながら先輩扱いしてないだろう」
「え、えーと……」
ふいと顔を逸らす妹様。否定要素がないらしい。うん、俺も思ったから何も言いませんよ?
「あう、頭ぐしゃぐしゃしないでぇ〜」
「撫でてるだけ」
全然気にしてませんよ? だって先輩ですからね?
昨日の残り物を温める間、ちょっと荒れてしまった髪を直す妹を見ながら、ふとあの奇妙な気配を纏っていたマシン兵を思い出す。
麻衣は気付かなかったみたいだが、感じ取ったのは――― かつて戦った魔王と同じモノ。
あり得ないとか考えたくない話だが、アレは倒した筈の魔王に縁のある何かということになる。ホント、考えたくないが。
「はぁ、問題が増えた予感しかないなぁ」
「ふぇ? 何が?」
何でもないと言ってまた頭を撫でようとすると、今度はシャーと逃げて威嚇する妹……ではなくて子猫さまであった。……冷蔵庫にミルクはあっただろうか?
「こんなトコに隠してたんだ」
リビングにいる大地に気付かれないように、机の引き出しに隠してあった大量の魔石を拾う麻衣。絶対に何処かにあるとワザとこの部屋で泊まり込んで探していたが、怪しい隠蔽がされている場所がなく見付けるのに時間が掛かってしまった。
「ていうか、本当に昨日までは眩暈が酷くて寝てたんだけどねぇー」
今も正直なところダルくでしょうがない。出来ればずっと先輩のベットで生活していたい程だ。……意外とその辺り厳しい先輩なのでまず無理だけど。
「ふぅー……これだけあれば」
巻かれている布を解くと禍々しく赤黒い魔石が出てくる。それが何か……麻衣も察しは付いていたが、迷うことなく真っ平らな胸元へ押し付ける。押し付ける程なくてちょっと心が荒んだが、意識を魔石に向けて魔力を操作した。
「むぅ、【マナチャージ】……」
静かに魔力吸収系のスキルを発動。あまり派手にやると感知力が高い先輩に気付かれるので細心の注意を払う。警戒していたらマズイが、3日目でだいぶ警戒が薄れていた食事タイム。こちらがまだまともに動けないと考えているのだろう。先輩の注意は初日や2日目よりも確実に薄れていた。
「結構貰えたぁ。あとは適当に戻して……正気を消化すれば……」
中の魔力が無くなって透明になった魔石を数個布に巻いて戻しておく。先輩のベットに戻ると取り込んだ大量の瘴気を含んだ魔力―――先輩の魔力を自分の魔力へ変換作業に入った。
「早く話してくれないと……私もそっちに堕ちちゃいますよ?」
脳裏に浮かぶあのカードを想像して、ゆっくりと眠りにつく。愛おしそうに彼の匂いが染み込んだ毛布を深く被って……。
「悪くない。要望通りの性能だった」
そいつは撮っていた動画を再生させる。試合場での戦い風景、機械兵―――『滅亡の侵略者《ドレッド・レイダー》』が満足行く成果を披露していた。
「残りの四機も近いうちに届く予定だ。さぁ、楽しませてもらうぞ? 勇者と異世界の邪魔者共……!」
増悪の瞳でその者は憎たらしい夜空を眺めていた。
「センパーイ……ジュースぷりーず」
「はいよ」
なんて冗談を置いといて、結構参っているようだ。体質的に一度魔力が空になると全身疲労でダウンするそうだが、こちらに戻って行こう肉体的に若返ったためだろう。これまで限界近くまで魔力を使わなかったが、俺と同じで反動が余計に大きくなっていた。
「どうだ調子は? 3日目だが」
「回復は3割くらいかと……あのプラモデルめぇ、無茶苦茶に魔力を吸いおってぇ……!」
「無駄グチ叩ける元気は戻ったようだな」
何故か俺の部屋のベットで寝っている後輩にオレンジジュースを渡している。なんで人のベットで練っているかなんで俺がジュースを配っているのか、色々と言いたいところがあるが、俺もダウンした際に世話になってるからなぁ。多少のワガママは……
「センパーイ、肩揉んで〜」「センパーイ、アーンして」「センパーイ、着替えさせて〜」「体拭いて〜」「絵本読んでぇ〜」「ゲーム貸してぇ〜」「ひざまくらぁ〜」「添い寝ぇ〜」「愛を囁いt―――」
「アイシテル、さっさと永眠しやがれ! この後輩っ!」
「―――ふぎゃ!」
ウザったい顔を枕で塞いで部屋を後にする。俺の部屋だけどもうワガママ大魔神に占拠されてしまったので、俺の寝室はリビングに移ってしまっていた。
「遅かったねぇお兄ちゃん。お昼過ぎてるけど何か食べる?」
「残り物で大丈夫だから。はぁ、なかなか寝てくれないから頭痛い」
「あはははは……マイちゃんってお兄ちゃんにだけすっごい甘えてるよねぇー」
「過保護に育てた覚えはないが……何故か俺にだけあの態度だ。先輩先輩言いながら先輩扱いしてないだろう」
「え、えーと……」
ふいと顔を逸らす妹様。否定要素がないらしい。うん、俺も思ったから何も言いませんよ?
「あう、頭ぐしゃぐしゃしないでぇ〜」
「撫でてるだけ」
全然気にしてませんよ? だって先輩ですからね?
昨日の残り物を温める間、ちょっと荒れてしまった髪を直す妹を見ながら、ふとあの奇妙な気配を纏っていたマシン兵を思い出す。
麻衣は気付かなかったみたいだが、感じ取ったのは――― かつて戦った魔王と同じモノ。
あり得ないとか考えたくない話だが、アレは倒した筈の魔王に縁のある何かということになる。ホント、考えたくないが。
「はぁ、問題が増えた予感しかないなぁ」
「ふぇ? 何が?」
何でもないと言ってまた頭を撫でようとすると、今度はシャーと逃げて威嚇する妹……ではなくて子猫さまであった。……冷蔵庫にミルクはあっただろうか?
「こんなトコに隠してたんだ」
リビングにいる大地に気付かれないように、机の引き出しに隠してあった大量の魔石を拾う麻衣。絶対に何処かにあるとワザとこの部屋で泊まり込んで探していたが、怪しい隠蔽がされている場所がなく見付けるのに時間が掛かってしまった。
「ていうか、本当に昨日までは眩暈が酷くて寝てたんだけどねぇー」
今も正直なところダルくでしょうがない。出来ればずっと先輩のベットで生活していたい程だ。……意外とその辺り厳しい先輩なのでまず無理だけど。
「ふぅー……これだけあれば」
巻かれている布を解くと禍々しく赤黒い魔石が出てくる。それが何か……麻衣も察しは付いていたが、迷うことなく真っ平らな胸元へ押し付ける。押し付ける程なくてちょっと心が荒んだが、意識を魔石に向けて魔力を操作した。
「むぅ、【マナチャージ】……」
静かに魔力吸収系のスキルを発動。あまり派手にやると感知力が高い先輩に気付かれるので細心の注意を払う。警戒していたらマズイが、3日目でだいぶ警戒が薄れていた食事タイム。こちらがまだまともに動けないと考えているのだろう。先輩の注意は初日や2日目よりも確実に薄れていた。
「結構貰えたぁ。あとは適当に戻して……正気を消化すれば……」
中の魔力が無くなって透明になった魔石を数個布に巻いて戻しておく。先輩のベットに戻ると取り込んだ大量の瘴気を含んだ魔力―――先輩の魔力を自分の魔力へ変換作業に入った。
「早く話してくれないと……私もそっちに堕ちちゃいますよ?」
脳裏に浮かぶあのカードを想像して、ゆっくりと眠りにつく。愛おしそうに彼の匂いが染み込んだ毛布を深く被って……。
「悪くない。要望通りの性能だった」
そいつは撮っていた動画を再生させる。試合場での戦い風景、機械兵―――『滅亡の侵略者《ドレッド・レイダー》』が満足行く成果を披露していた。
「残りの四機も近いうちに届く予定だ。さぁ、楽しませてもらうぞ? 勇者と異世界の邪魔者共……!」
増悪の瞳でその者は憎たらしい夜空を眺めていた。
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