元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。
異次元から襲来と来訪者 その5(決着)。
「……」
得体の知れないソレは暗黒の……死のオーラが纏っていた。
「な、なんだよ……アイツは」
落雷のように飛来したそれを目撃した大地は―――死を予感した。
暗黒の雷を纏っていたそれが姿を現した途端、全身の細胞が死を感じさせた。それは『魔王』以来か……絶対に戦ったらダメだと最大限の警報を響かせていた。
「せ、先輩、こわいです……あれは……本当にダメ、です……」
放たれている魔力は流石の麻衣でも受け入れ難いレベルだった。真っ青な顔で震えた唇を懸命に動かしているが、恐怖で凍えたように歯をカチカチと鳴らしていた。
『―――ッ!!』
しかし、同じ異次元の襲来兵器は当然と言うべきか一切恐れを見せない。ただ、最大の脅威と瞬時に認識すると横転した巨体を起き上がらせる。威嚇するように顎門を大きく開いて全身から赤黒いオーラを迸らせた。
「……!」
その反応に対して死のオーラを纏うそいつは向かい合うように構えを取る。両手が凶悪な漆黒の鉤爪となっており、ガントレットのようにして握り締める。両足も同じように鉤爪の足になっていた。
「はぁぁぁぁぁ……」
灰色の髪が阿修羅の如く揺れて、鬼のような赤き面越しで金色の鋭い眼光が兵器を捉えると……
「ガァアアアアアッ!」
『――ッ!』
獣のように咆哮を上げたの合図だ。
獅子のように飛びかかった『鬼の修羅』と『龍の兵器』が激突した。
「『死滅させる牙』ッ!」
阿修羅のように黒きオーラから鉤爪の腕が増える。八つ裂きにする勢いで鬼は巨体へ叩き込む。物理攻撃や魔力など耐性や吸収効果がある兵器だが、真っ黒な死のオーラが表面の金属を侵食して腐敗させる。擦り傷程度だった巨体の装甲が徐々に崩れ始めていた。
『ッ!』
瞬時に接近戦は不利だと認識したか、足元のブースターを噴かして素早く後退する。背中の翼のようなミサイル口より次々と魔力ミサイルを撃ち放つ。
「『死滅の業雷ノ太刀』ッ!」
両手の漆黒の鉤爪が変化する。鎌のような形にをすると、鬼は左右に振るって無数の暗黒の雷を刃のように放つ。さっきまでよりも威力が上がっているミサイルだが、『黒雷の刃』に触れると一瞬で侵食されて分解される。そのうちの何枚かの刃が翼のミサイル口まで届くと発射口を破壊して翼を両断した。
「『魔王の死滅腕』ッ!」
『――ッ!?』
漆黒の片腕が巨大化して巨人のようなソレに変わる。ゆっくりと拳を作ると鬼は飛び立ち……兵器の巨体が影で飲まれた。
「グラァアアアアアッ!」
巨体を潰すかのように漆黒の大槌。兵器も十字の盾でガードするが、能力の相性も質量も違い過ぎる。一撃で粉々に砕け散って巨体が地面にめり込んだ。
「――うわ! 舞台が……!」
「なんて奴だ!? 化け物か!?」
衝撃で舞台が破壊されて立っていた麻衣と大地が倒れそうになる。色々とあり過ぎて恐怖は薄れていたが、今度はパニックになりそうだ。疲労が大きい麻衣を抱えながら同じ消耗している大地は懸命に堪えるが、どうしたらいいのか判断が追い付かなくなっていた。
「オラァアアアアッ!」
巨人の手で巨体を持ち上げる。伸びる腕で高々と上げると陥没している試合場の中心へ力任せに叩き込んだ。今度は試合会場全体が揺れる大地震となったが、鬼は構わず再度振り上げる。壊れたおもちゃのようになった巨体兵器を地面へ叩き付けた。
「く、加減抜きかよ!」
「センパイセンパイ! ヤバイです! アレはヤバ過ぎますぅぅぅ!」
「分かってる! ここは危険だ、一旦離れるぞ!」
もう今の自分たちが参戦出来るようなレベルをはるかに超えている。動けない麻衣を抱えたまま大地は舞台の外へ跳躍する。【マスター・ブック】の姿も一旦解除して観戦席まで離れた。
「……もういいか」
去って行った大地たちを鬼は仮面の横目で捉えていた。巨人の腕を解くとボロボロになった巨体兵器を見据える。かなりの攻撃を叩き込んだが、内部のコアが無事である以上は倒れない。麻衣から吸収した魔力があれば遅れても再生するのだ。
「させるか」
その機能を把握していた鬼の面は両手に魔力を集中させて構える。出力を最大にまで引き上げると膨れ上がった暗黒のオーラが両手に凝縮された。
『――ッッ!!』
兵器も集まっている巨大な力を察知する。大きな顎門を開くと鬼の面よりも先に最大出力の赤黒い雷を放つ。全身の装備が破壊されている分、顎門の発射口に溜め込める時間が短縮されていた。
「カァァァァァァァッッ!」
間近まで迫る赤黒い雷の攻撃に対して、鬼は魔力の集中に意識を向ける。獣ような猛々しい雄叫びを上げて―――
「―――『死滅王ノ……災禍《カタストロフ》』ッッ!」
両手に込められた魔法を解き放った。
瞬間、舞台上が暗黒の死に包まれた。
兵器の光線などあっさり飲まれて終わり…………闇が晴れた頃には、巨体の姿は完全に消えていた。
鬼の姿もそこにはなかった。
得体の知れないソレは暗黒の……死のオーラが纏っていた。
「な、なんだよ……アイツは」
落雷のように飛来したそれを目撃した大地は―――死を予感した。
暗黒の雷を纏っていたそれが姿を現した途端、全身の細胞が死を感じさせた。それは『魔王』以来か……絶対に戦ったらダメだと最大限の警報を響かせていた。
「せ、先輩、こわいです……あれは……本当にダメ、です……」
放たれている魔力は流石の麻衣でも受け入れ難いレベルだった。真っ青な顔で震えた唇を懸命に動かしているが、恐怖で凍えたように歯をカチカチと鳴らしていた。
『―――ッ!!』
しかし、同じ異次元の襲来兵器は当然と言うべきか一切恐れを見せない。ただ、最大の脅威と瞬時に認識すると横転した巨体を起き上がらせる。威嚇するように顎門を大きく開いて全身から赤黒いオーラを迸らせた。
「……!」
その反応に対して死のオーラを纏うそいつは向かい合うように構えを取る。両手が凶悪な漆黒の鉤爪となっており、ガントレットのようにして握り締める。両足も同じように鉤爪の足になっていた。
「はぁぁぁぁぁ……」
灰色の髪が阿修羅の如く揺れて、鬼のような赤き面越しで金色の鋭い眼光が兵器を捉えると……
「ガァアアアアアッ!」
『――ッ!』
獣のように咆哮を上げたの合図だ。
獅子のように飛びかかった『鬼の修羅』と『龍の兵器』が激突した。
「『死滅させる牙』ッ!」
阿修羅のように黒きオーラから鉤爪の腕が増える。八つ裂きにする勢いで鬼は巨体へ叩き込む。物理攻撃や魔力など耐性や吸収効果がある兵器だが、真っ黒な死のオーラが表面の金属を侵食して腐敗させる。擦り傷程度だった巨体の装甲が徐々に崩れ始めていた。
『ッ!』
瞬時に接近戦は不利だと認識したか、足元のブースターを噴かして素早く後退する。背中の翼のようなミサイル口より次々と魔力ミサイルを撃ち放つ。
「『死滅の業雷ノ太刀』ッ!」
両手の漆黒の鉤爪が変化する。鎌のような形にをすると、鬼は左右に振るって無数の暗黒の雷を刃のように放つ。さっきまでよりも威力が上がっているミサイルだが、『黒雷の刃』に触れると一瞬で侵食されて分解される。そのうちの何枚かの刃が翼のミサイル口まで届くと発射口を破壊して翼を両断した。
「『魔王の死滅腕』ッ!」
『――ッ!?』
漆黒の片腕が巨大化して巨人のようなソレに変わる。ゆっくりと拳を作ると鬼は飛び立ち……兵器の巨体が影で飲まれた。
「グラァアアアアアッ!」
巨体を潰すかのように漆黒の大槌。兵器も十字の盾でガードするが、能力の相性も質量も違い過ぎる。一撃で粉々に砕け散って巨体が地面にめり込んだ。
「――うわ! 舞台が……!」
「なんて奴だ!? 化け物か!?」
衝撃で舞台が破壊されて立っていた麻衣と大地が倒れそうになる。色々とあり過ぎて恐怖は薄れていたが、今度はパニックになりそうだ。疲労が大きい麻衣を抱えながら同じ消耗している大地は懸命に堪えるが、どうしたらいいのか判断が追い付かなくなっていた。
「オラァアアアアッ!」
巨人の手で巨体を持ち上げる。伸びる腕で高々と上げると陥没している試合場の中心へ力任せに叩き込んだ。今度は試合会場全体が揺れる大地震となったが、鬼は構わず再度振り上げる。壊れたおもちゃのようになった巨体兵器を地面へ叩き付けた。
「く、加減抜きかよ!」
「センパイセンパイ! ヤバイです! アレはヤバ過ぎますぅぅぅ!」
「分かってる! ここは危険だ、一旦離れるぞ!」
もう今の自分たちが参戦出来るようなレベルをはるかに超えている。動けない麻衣を抱えたまま大地は舞台の外へ跳躍する。【マスター・ブック】の姿も一旦解除して観戦席まで離れた。
「……もういいか」
去って行った大地たちを鬼は仮面の横目で捉えていた。巨人の腕を解くとボロボロになった巨体兵器を見据える。かなりの攻撃を叩き込んだが、内部のコアが無事である以上は倒れない。麻衣から吸収した魔力があれば遅れても再生するのだ。
「させるか」
その機能を把握していた鬼の面は両手に魔力を集中させて構える。出力を最大にまで引き上げると膨れ上がった暗黒のオーラが両手に凝縮された。
『――ッッ!!』
兵器も集まっている巨大な力を察知する。大きな顎門を開くと鬼の面よりも先に最大出力の赤黒い雷を放つ。全身の装備が破壊されている分、顎門の発射口に溜め込める時間が短縮されていた。
「カァァァァァァァッッ!」
間近まで迫る赤黒い雷の攻撃に対して、鬼は魔力の集中に意識を向ける。獣ような猛々しい雄叫びを上げて―――
「―――『死滅王ノ……災禍《カタストロフ》』ッッ!」
両手に込められた魔法を解き放った。
瞬間、舞台上が暗黒の死に包まれた。
兵器の光線などあっさり飲まれて終わり…………闇が晴れた頃には、巨体の姿は完全に消えていた。
鬼の姿もそこにはなかった。
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