元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。
異次元から襲来と来訪者 その2。
「『暴風壁』!」
ミサイルが会場の全体を荒らそうとした寸前で、力を溜めていた秋党が張った巨大な竜巻がその道を阻む。ちょうど試合場と周囲の観戦席の間を囲うようにしたことで、ミサイルは衝撃で爆破するか強引に軌道を逸らされる。爆発の炎も風が包み込むことで衝撃を抑え込んでいた。
「ッ――梓!」
「うん、任せてっ!」
逸れたミサイルを見て舌打ちした秋党だが、すぐに松井に向かって叫ぶ。
彼女も準備していたのかすぐさま頷くと両手の銃を空へ構えていた。逸れたすべてのミサイルに照準をロックした上で引き金を何度も引くと、補充されていた無数の弾がミサイルに直撃。
遅れて凄まじい爆発を起きるが、その爆炎も竜巻の障壁から出た風が包み込んで誰にも被害を与えることはなかった。
「すごい……」
「うん……」
伏せていた空と九重は呆然とした顔で一連の流れを目にした。2年のトップ2人には失礼だが、戦った際は力押しな強引な戦法ばかりで正直負ける気がしなかった。大地たちの強化というチート効果を得ている状態だが、試合前に大地たちが注意される程の強さや脅威を感じることが出来なかった。
「なんて奴だ。いきなりぶっ放しやがって……!」
「モンスター……ゴーレム系の派生系ってところ? 先生!」
囲っていた風の障壁を長く維持させるのは困難なようだ。ゆっくりと竜巻が収まると秋党は巨大兵器を睨み付ける。松井も銃を向けて牽制すると、呆然としている審判の教員に呼び掛ける。
残念なことに審判役の教員は治療系の能力者。万が一重傷者が出た場合に応急処置を行う為に派遣された者で、未知の存在が前ではとても参戦出来るようなレベルではなかった。
「戦闘専門の先生へ増援要請を! あと観戦席で倒れている怪我人の手当てをお願いします! こっちは――」
「オレ達がやります!」
再び動き出そうとする巨大兵器を前に腕に竜巻を纏った秋党―――さらに、
「加勢するよ、真也!」
観戦席に見ていた生徒会の会長を筆頭に役員数名と3年メンバーが立ち上がる。それぞれ能力の武器や自然の属性を発現させて、未知なる存在へ攻撃を仕掛けようとした直後。
『ッ!』
「―――なに!?」
兵器は動き出した3年生たちを見て突如動作を切り替えた。胸元に付いている赤黒い球体や関節部にある球体を一斉に光らせると、予め溜め込んでいたエネルギーを解放する。間近で見ていた秋党が咄嗟に風の結界のようなものを張るが……解放されたエネルギーは風の結界をすり抜けてしまう。
結果、衝撃の波が電磁波のように会場を襲う。至近距離でくらった秋党や他の3人も避け切れず不意にガードの体勢をしたが、衝撃を受けても痛みが伝わることはなかった。
「あれ? 剣が……」
「サオリン! 能力解いたらまずいよ!」
代わりに装備していた能力武器や発現させていた能力に影響が発生した。ノイズのように発動中の能力がブレて―――消滅した。
能力の発動維持など基礎中の基礎であり、既に無意識で維持出来る筈が……、赤黒い電磁波をくらった能力を発動させていた者たちは、一斉に能力を解かされてしまった。学園トップの1人である生徒会長すらも例外ではなく……
「マズイぞ、これは……」
「先輩! あのガ〇〇ムみたいなの、会場全体の能力を全部無効化しました!」
「見てれば分かる! 分かりたくないが! 俺たちのも強制解除された!」
大地たちが空と九重に掛けていた能力や強化も解除されていた。信じ難い話だが、あの機会の塊は自分たちの能力や魔法にも影響を与えるらしい。
事態は明らかに悪い方向に進んでおり、その中心には大事な妹や出来たばかりの後輩がいる。人の視線など考えている場合ではなかったが……
「って先輩! あの人って……」
「ん? 何が……て―――は?」
飛び込むタイミングをまた逃してしまった。いや、気にせず飛び出して妹たちの前に立てばいいのだが、予想外の人物の乱入に素で困惑してしまった。……何故お前がここにいるのだと。
「え、なんで?」
鷹宮朱音は彼らの視線など一切無視か気付いてないのか、観戦席から降りて止まらず試合場の広い舞台へ登って来た。
「『キャンセル機能』……! やはり……!」
電磁波を受けながら走っていた鷹宮が2階の観戦席から試合場内へ降りた。能力を使用していなかった為に影響を受けることはなかったが、一度でもアレを能力で受ける訳にはいかない。
「能力発動中にアレを受けたらしばらく使用出来なくなる! アレの再使用にはチャージが必要なようだけど……その間に倒さないとマズイ!」
生憎と武器は所持していないが、ここは試合場であり練習場でもある。無許可であるが、縁に並んでいる刃のない模擬剣を一本拝借した。
『――!』
「【騎士の栄光】ォォォッ!」
試合場に上ってすぐ【騎士の誇り】の能力を発動した。
攻撃系の高出力の光を纏った模擬剣を振るって、放った光の斬撃を巨大兵器に浴びせた。
ミサイルが会場の全体を荒らそうとした寸前で、力を溜めていた秋党が張った巨大な竜巻がその道を阻む。ちょうど試合場と周囲の観戦席の間を囲うようにしたことで、ミサイルは衝撃で爆破するか強引に軌道を逸らされる。爆発の炎も風が包み込むことで衝撃を抑え込んでいた。
「ッ――梓!」
「うん、任せてっ!」
逸れたミサイルを見て舌打ちした秋党だが、すぐに松井に向かって叫ぶ。
彼女も準備していたのかすぐさま頷くと両手の銃を空へ構えていた。逸れたすべてのミサイルに照準をロックした上で引き金を何度も引くと、補充されていた無数の弾がミサイルに直撃。
遅れて凄まじい爆発を起きるが、その爆炎も竜巻の障壁から出た風が包み込んで誰にも被害を与えることはなかった。
「すごい……」
「うん……」
伏せていた空と九重は呆然とした顔で一連の流れを目にした。2年のトップ2人には失礼だが、戦った際は力押しな強引な戦法ばかりで正直負ける気がしなかった。大地たちの強化というチート効果を得ている状態だが、試合前に大地たちが注意される程の強さや脅威を感じることが出来なかった。
「なんて奴だ。いきなりぶっ放しやがって……!」
「モンスター……ゴーレム系の派生系ってところ? 先生!」
囲っていた風の障壁を長く維持させるのは困難なようだ。ゆっくりと竜巻が収まると秋党は巨大兵器を睨み付ける。松井も銃を向けて牽制すると、呆然としている審判の教員に呼び掛ける。
残念なことに審判役の教員は治療系の能力者。万が一重傷者が出た場合に応急処置を行う為に派遣された者で、未知の存在が前ではとても参戦出来るようなレベルではなかった。
「戦闘専門の先生へ増援要請を! あと観戦席で倒れている怪我人の手当てをお願いします! こっちは――」
「オレ達がやります!」
再び動き出そうとする巨大兵器を前に腕に竜巻を纏った秋党―――さらに、
「加勢するよ、真也!」
観戦席に見ていた生徒会の会長を筆頭に役員数名と3年メンバーが立ち上がる。それぞれ能力の武器や自然の属性を発現させて、未知なる存在へ攻撃を仕掛けようとした直後。
『ッ!』
「―――なに!?」
兵器は動き出した3年生たちを見て突如動作を切り替えた。胸元に付いている赤黒い球体や関節部にある球体を一斉に光らせると、予め溜め込んでいたエネルギーを解放する。間近で見ていた秋党が咄嗟に風の結界のようなものを張るが……解放されたエネルギーは風の結界をすり抜けてしまう。
結果、衝撃の波が電磁波のように会場を襲う。至近距離でくらった秋党や他の3人も避け切れず不意にガードの体勢をしたが、衝撃を受けても痛みが伝わることはなかった。
「あれ? 剣が……」
「サオリン! 能力解いたらまずいよ!」
代わりに装備していた能力武器や発現させていた能力に影響が発生した。ノイズのように発動中の能力がブレて―――消滅した。
能力の発動維持など基礎中の基礎であり、既に無意識で維持出来る筈が……、赤黒い電磁波をくらった能力を発動させていた者たちは、一斉に能力を解かされてしまった。学園トップの1人である生徒会長すらも例外ではなく……
「マズイぞ、これは……」
「先輩! あのガ〇〇ムみたいなの、会場全体の能力を全部無効化しました!」
「見てれば分かる! 分かりたくないが! 俺たちのも強制解除された!」
大地たちが空と九重に掛けていた能力や強化も解除されていた。信じ難い話だが、あの機会の塊は自分たちの能力や魔法にも影響を与えるらしい。
事態は明らかに悪い方向に進んでおり、その中心には大事な妹や出来たばかりの後輩がいる。人の視線など考えている場合ではなかったが……
「って先輩! あの人って……」
「ん? 何が……て―――は?」
飛び込むタイミングをまた逃してしまった。いや、気にせず飛び出して妹たちの前に立てばいいのだが、予想外の人物の乱入に素で困惑してしまった。……何故お前がここにいるのだと。
「え、なんで?」
鷹宮朱音は彼らの視線など一切無視か気付いてないのか、観戦席から降りて止まらず試合場の広い舞台へ登って来た。
「『キャンセル機能』……! やはり……!」
電磁波を受けながら走っていた鷹宮が2階の観戦席から試合場内へ降りた。能力を使用していなかった為に影響を受けることはなかったが、一度でもアレを能力で受ける訳にはいかない。
「能力発動中にアレを受けたらしばらく使用出来なくなる! アレの再使用にはチャージが必要なようだけど……その間に倒さないとマズイ!」
生憎と武器は所持していないが、ここは試合場であり練習場でもある。無許可であるが、縁に並んでいる刃のない模擬剣を一本拝借した。
『――!』
「【騎士の栄光】ォォォッ!」
試合場に上ってすぐ【騎士の誇り】の能力を発動した。
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