元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。
夜の後輩は昼よりも面倒で危なかった(いろんな意味で)。
その夜。
「さぁて、センパーイ? 言い訳を訊かせてもらいましょうか?」
「待て待て、とりあえず落ち着こうか? な?」
「悪いですけど、今回センパイに拒否権はありませんよ? 先週私に散々言ってたくせに自分は既にやらかしてたそうじゃないですか?」
「わ、分かったからもう少しボリュームを落とせ。今日は空だけじゃなくて九重さんも泊まってんだぞ」
二度あることは三度あるというが、お泊まりに来た麻衣が俺の部屋にいる。シャツのパジャマ姿の後輩なんてなんとも思わないが、年頃の娘が真夜中に男の部屋に入ったらダメだろう。
「いっそのこと沙織ちゃんも巻き込んだ荒ぶるプレイにでも走りますか? 結構懐かれてるようですし?」
「なんだよ荒ぶるプレイって……」
「はぁ、何気に空ちゃんも抜け目ないし……センパイにハーレムエンド願望があると後輩は大変です」
「ねぇよそんな願望なんて」
「言い訳は結構ですよ! このラブコメ主人公が!」
ダメだこりゃ。プンスカなご様子の麻衣だと正論が全然通じない。
……いや、空たちがいる前で迫って来なかっただけ、まだマシだったのかもしれない。
なんでこうなったかと言うと、俺がいない間に鷹宮が余計なことを言ってくれたのが原因だ。
突然メールで『鍋パをやるぞ』といきなり後輩に言われて、不審に思いながら帰って見たら不機嫌な後輩が鍋が置かれたテーブルに座っていた。
「ふふふふ、待ってましたよセ・ン・パ・イ?」
一瞬闇鍋ではないかと思ったが、テーブルに置かれた湯気が出ている中身を見る限り普通の食べれる鍋にしか見えない。ていうかお前は座ってただけか。
なんでかご立腹の後輩が座っており、キッチンには空やお泊まりに来た九重さんが材料を切っている。
2人からは怒っているような気配はないが、俺の方を見ると何処かツンとした様子の空からは目を逸らされ、苦笑した様子の九重さんからは同情的な視線を送られた。
本当に理解できず困惑するが、その理由は不敵に笑う後輩よって明らかとなった。
「鷹宮先輩がよ・ろ・し・く・だそうですよ?」
「……あー理解した」
ニコやかな麻衣に言われてすぐに理解した。……もしかしなくても激おこですか?
「まぁ、沙織ちゃんもいますし深くは訊きませんが? 随分と? 興味を抱かれてるようですねぇー?」
言いながら運ばれた具材を鍋に入れる麻衣。持って来た九重さんはそこまで気にしている感じには見えないが、省かれていると内心感じているのか視線がどこかトゲトゲしい。……って本人の前で言わないでほしいんだけど。
「別にいいです。深く訊かないって事前に空と麻衣から約束させられたんで。お兄さんにも何か知られたくないことがあるのは分かってますから」
なんて言っているけど不満顔は全然隠れてない。2人が事前に言ってくれたお陰だろう。
そして、年下3人からのジッと視線を浴びるなんとも居心地が悪い鍋パを乗り越えたその夜。
3人とも踏み込むような話を振って来ず、お泊まり会も無事に終えたと風呂後に部屋で安堵していたところ、パジャマ姿の麻衣が尋問官のような振る舞いでやって来た。
するとお怒りモードな麻衣が置かれているテーブルを叩く。誤魔化すなと言わんばかりの眼力が座っている俺を見下ろしていた。
「私が訊きたいのはセンパイと鷹宮先輩との関係ですよ!」
「か、関係?」
「こんな可愛らしい尽くす後輩が居ながらあんな女と知り合いになって……!」
「何が可愛らしい尽くす後輩だ。可愛くなくて迷惑しかかけない後輩な目の前にいるが」
「迷惑という名の爆弾を蒔いていたセンパイには言われたくないです! なんであの人から異世界という単語が出てくるんですか!? 明らかにセンパイに興味津々ですし、何があったらあんな美人な――私の理想像の塊のような人と交流を持ってんだこの黒髪&巨乳好きセンパイが!」
訂正するわ。尋問官じゃなくてただの馬鹿であった。あとなんで人の好みまで知ってんだ。
……とりあえずバレてしまったので、鷹宮の件については話しておくことにした。
「異世界人……ですか?」
「確証はないから多分としか言えないが、恐らくそうだろう」
説明はしてみたが、やはり戸惑った様子の後輩だ。
当初は俺も気のせいだと思っていたが、あの時の気迫と戦い方……つい最近までただの中学生とは思えないものだった。付け焼き刃にしては、戦い方にも型が出来て勘も鋭かった。
なにより俺が魔法を使った際のあの反応。
そして後日。あいつは俺に言って来た言葉……。
『貴方はどうやってその力を使えるようにしたの? この世界に魔力は無いんじゃないの?』
「魔法を知っているのは間違いないが、俺たちが転移した世界とは別の世界のようだ。こっちが何も言わないから向こうも全然語ろうとしなかったから推測しか出来ないが」
「結局向こうはこちらの事情を知らず、こっちもあちらの事情を知らないというわけですか」
「まぁそういうことだ」
そうとしか言えませんが。
少な過ぎる情報開示に不満そうにする麻衣だが、やがて溜息を溢すと話を続けた。
「む、それじゃ他の人たちのことも教えてくださいよ。どうせセンパイのことですから、他にも厄介そうな人たちから目を付けられてるんでしょう?」
どうせとか目を付けられてるとか、ツッコミたい部分あるが。
不安になるから情報共有したい。後輩の気持ちはよく分かる。
だが。
「あー出来ればまだ明かしたくないんだが……ダメか?」
ダメっぽい感があるが、一応訊いてみたのが間違いだった。
情報の閉鎖、鷹宮からの不意打ち、黒髪な巨乳。
後輩の怒りボルテージはマックスでした。
「ふふふふふふふふふふふっ、センパーイ? そんなに危ない夜を過ごしたいんですかぁー? 良いんですよ? 私はそ・れ・で・も?」
あ、後輩の目がヤバいです。
というか一瞬にして俺をベットの方へ押し倒すと、不敵な笑みを浮かべたままパジャマのボタンに手を――
「待て待て! ボタンを外すな! ていうか脱ぐな! 危ない夜ってなんだ!? そっちの夜のことか!?」
「大丈夫ですよ。センパイの弱い箇所は全部把握してますから。お好みのプレイもお店の人から訊いてますし!」
「なんでお前が知ってんだよ!?」
店って言ったか! 店って!?
店とは当然のそっち系の店であるが、パーティーの知り合いが店長をやっている。だから転移者と勇者な俺でも問題なく入らせてくれた。……俺も男だから嬉しかったです。
「ふふふふ、センパイって普段は冷静沈着で気配察知なんて神レベルですけど、猛々しいモードのセンパイの時だけ気配察知が緩くなるんですね」
「猛々しい言うな! 女子高生が!」
「精神年齢なら立派な大人ですが? さぁセンパイ! いい加減読者も作者も飽きてきましたし、ここで1つ我々の合体シーンを!」
「合体言うな! あと飽きてきたとかも言うな! リアクションに困るだろうが!」
「エロなんてテコ入れの常套手段ではないですか! センパイだって戻ってから全然何でしょう? そろそろ後輩を使うのも良いじゃありませんか!?」
「とりあえず脱ごうする手を止めようか! あ、こら! 力を込めんな!」
そこから始まるのは荒々しい夜の世界……などではなく馬鹿みたいなプロレス勝負。
どこまで本気か知らないが、ガチで脱ごうしている後輩に技を掛けて拘束して抑えにいく。……こいつ、もう情報とか関係なく人の貞操しか狙ってないな。
騒ぎになるので流石に強化まではお互い使っていないので、こっちに戻ってからあまり鍛えていない後輩の方が先に息が上がっていた。
「はぁ、はぁ……なんですかこのヘタレセンパイは!? 月の明かりに照らされた後輩のおっぱいを揉みたくないんですか!?」
「どこに揉める要素があるか!? お前の胸はたとえ月の光を浴びても真っ平らなままだ!」
お気づきかと思うが、この時の俺は結構後輩に意識を引っ張られていた。要するに感情が思いっきり昂って素が出ていた。
「真っ平らはどこまでも真っ平らなんだ!」
「がぁぁぁぁぁぁ! 開き直りましたね! このおっぱい星人センパイが!」
「文句があるなら空くらい巨乳になってから出直せ! 一生無理だろうけどな!」
「なにをぉぉぉぉ!?」
後輩が言っていた夜の展開じゃないが、俺たちの荒々しい夜はまだまだ続いた。
騒ぎで起きた空たちが部屋に来るまで、俺たちの戦いは止まることを知らず、ドンドン加速していった。
当然妹たちからの説教タイムになり、俺たちは揃って寝不足となってしまったが、次の日。
モンスターの島――『暗黒島』で眠っている四獣の覚醒が確認された。
四獣討伐の大規模戦の知らせが学園島中に伝えられた。
「さぁて、センパーイ? 言い訳を訊かせてもらいましょうか?」
「待て待て、とりあえず落ち着こうか? な?」
「悪いですけど、今回センパイに拒否権はありませんよ? 先週私に散々言ってたくせに自分は既にやらかしてたそうじゃないですか?」
「わ、分かったからもう少しボリュームを落とせ。今日は空だけじゃなくて九重さんも泊まってんだぞ」
二度あることは三度あるというが、お泊まりに来た麻衣が俺の部屋にいる。シャツのパジャマ姿の後輩なんてなんとも思わないが、年頃の娘が真夜中に男の部屋に入ったらダメだろう。
「いっそのこと沙織ちゃんも巻き込んだ荒ぶるプレイにでも走りますか? 結構懐かれてるようですし?」
「なんだよ荒ぶるプレイって……」
「はぁ、何気に空ちゃんも抜け目ないし……センパイにハーレムエンド願望があると後輩は大変です」
「ねぇよそんな願望なんて」
「言い訳は結構ですよ! このラブコメ主人公が!」
ダメだこりゃ。プンスカなご様子の麻衣だと正論が全然通じない。
……いや、空たちがいる前で迫って来なかっただけ、まだマシだったのかもしれない。
なんでこうなったかと言うと、俺がいない間に鷹宮が余計なことを言ってくれたのが原因だ。
突然メールで『鍋パをやるぞ』といきなり後輩に言われて、不審に思いながら帰って見たら不機嫌な後輩が鍋が置かれたテーブルに座っていた。
「ふふふふ、待ってましたよセ・ン・パ・イ?」
一瞬闇鍋ではないかと思ったが、テーブルに置かれた湯気が出ている中身を見る限り普通の食べれる鍋にしか見えない。ていうかお前は座ってただけか。
なんでかご立腹の後輩が座っており、キッチンには空やお泊まりに来た九重さんが材料を切っている。
2人からは怒っているような気配はないが、俺の方を見ると何処かツンとした様子の空からは目を逸らされ、苦笑した様子の九重さんからは同情的な視線を送られた。
本当に理解できず困惑するが、その理由は不敵に笑う後輩よって明らかとなった。
「鷹宮先輩がよ・ろ・し・く・だそうですよ?」
「……あー理解した」
ニコやかな麻衣に言われてすぐに理解した。……もしかしなくても激おこですか?
「まぁ、沙織ちゃんもいますし深くは訊きませんが? 随分と? 興味を抱かれてるようですねぇー?」
言いながら運ばれた具材を鍋に入れる麻衣。持って来た九重さんはそこまで気にしている感じには見えないが、省かれていると内心感じているのか視線がどこかトゲトゲしい。……って本人の前で言わないでほしいんだけど。
「別にいいです。深く訊かないって事前に空と麻衣から約束させられたんで。お兄さんにも何か知られたくないことがあるのは分かってますから」
なんて言っているけど不満顔は全然隠れてない。2人が事前に言ってくれたお陰だろう。
そして、年下3人からのジッと視線を浴びるなんとも居心地が悪い鍋パを乗り越えたその夜。
3人とも踏み込むような話を振って来ず、お泊まり会も無事に終えたと風呂後に部屋で安堵していたところ、パジャマ姿の麻衣が尋問官のような振る舞いでやって来た。
するとお怒りモードな麻衣が置かれているテーブルを叩く。誤魔化すなと言わんばかりの眼力が座っている俺を見下ろしていた。
「私が訊きたいのはセンパイと鷹宮先輩との関係ですよ!」
「か、関係?」
「こんな可愛らしい尽くす後輩が居ながらあんな女と知り合いになって……!」
「何が可愛らしい尽くす後輩だ。可愛くなくて迷惑しかかけない後輩な目の前にいるが」
「迷惑という名の爆弾を蒔いていたセンパイには言われたくないです! なんであの人から異世界という単語が出てくるんですか!? 明らかにセンパイに興味津々ですし、何があったらあんな美人な――私の理想像の塊のような人と交流を持ってんだこの黒髪&巨乳好きセンパイが!」
訂正するわ。尋問官じゃなくてただの馬鹿であった。あとなんで人の好みまで知ってんだ。
……とりあえずバレてしまったので、鷹宮の件については話しておくことにした。
「異世界人……ですか?」
「確証はないから多分としか言えないが、恐らくそうだろう」
説明はしてみたが、やはり戸惑った様子の後輩だ。
当初は俺も気のせいだと思っていたが、あの時の気迫と戦い方……つい最近までただの中学生とは思えないものだった。付け焼き刃にしては、戦い方にも型が出来て勘も鋭かった。
なにより俺が魔法を使った際のあの反応。
そして後日。あいつは俺に言って来た言葉……。
『貴方はどうやってその力を使えるようにしたの? この世界に魔力は無いんじゃないの?』
「魔法を知っているのは間違いないが、俺たちが転移した世界とは別の世界のようだ。こっちが何も言わないから向こうも全然語ろうとしなかったから推測しか出来ないが」
「結局向こうはこちらの事情を知らず、こっちもあちらの事情を知らないというわけですか」
「まぁそういうことだ」
そうとしか言えませんが。
少な過ぎる情報開示に不満そうにする麻衣だが、やがて溜息を溢すと話を続けた。
「む、それじゃ他の人たちのことも教えてくださいよ。どうせセンパイのことですから、他にも厄介そうな人たちから目を付けられてるんでしょう?」
どうせとか目を付けられてるとか、ツッコミたい部分あるが。
不安になるから情報共有したい。後輩の気持ちはよく分かる。
だが。
「あー出来ればまだ明かしたくないんだが……ダメか?」
ダメっぽい感があるが、一応訊いてみたのが間違いだった。
情報の閉鎖、鷹宮からの不意打ち、黒髪な巨乳。
後輩の怒りボルテージはマックスでした。
「ふふふふふふふふふふふっ、センパーイ? そんなに危ない夜を過ごしたいんですかぁー? 良いんですよ? 私はそ・れ・で・も?」
あ、後輩の目がヤバいです。
というか一瞬にして俺をベットの方へ押し倒すと、不敵な笑みを浮かべたままパジャマのボタンに手を――
「待て待て! ボタンを外すな! ていうか脱ぐな! 危ない夜ってなんだ!? そっちの夜のことか!?」
「大丈夫ですよ。センパイの弱い箇所は全部把握してますから。お好みのプレイもお店の人から訊いてますし!」
「なんでお前が知ってんだよ!?」
店って言ったか! 店って!?
店とは当然のそっち系の店であるが、パーティーの知り合いが店長をやっている。だから転移者と勇者な俺でも問題なく入らせてくれた。……俺も男だから嬉しかったです。
「ふふふふ、センパイって普段は冷静沈着で気配察知なんて神レベルですけど、猛々しいモードのセンパイの時だけ気配察知が緩くなるんですね」
「猛々しい言うな! 女子高生が!」
「精神年齢なら立派な大人ですが? さぁセンパイ! いい加減読者も作者も飽きてきましたし、ここで1つ我々の合体シーンを!」
「合体言うな! あと飽きてきたとかも言うな! リアクションに困るだろうが!」
「エロなんてテコ入れの常套手段ではないですか! センパイだって戻ってから全然何でしょう? そろそろ後輩を使うのも良いじゃありませんか!?」
「とりあえず脱ごうする手を止めようか! あ、こら! 力を込めんな!」
そこから始まるのは荒々しい夜の世界……などではなく馬鹿みたいなプロレス勝負。
どこまで本気か知らないが、ガチで脱ごうしている後輩に技を掛けて拘束して抑えにいく。……こいつ、もう情報とか関係なく人の貞操しか狙ってないな。
騒ぎになるので流石に強化まではお互い使っていないので、こっちに戻ってからあまり鍛えていない後輩の方が先に息が上がっていた。
「はぁ、はぁ……なんですかこのヘタレセンパイは!? 月の明かりに照らされた後輩のおっぱいを揉みたくないんですか!?」
「どこに揉める要素があるか!? お前の胸はたとえ月の光を浴びても真っ平らなままだ!」
お気づきかと思うが、この時の俺は結構後輩に意識を引っ張られていた。要するに感情が思いっきり昂って素が出ていた。
「真っ平らはどこまでも真っ平らなんだ!」
「がぁぁぁぁぁぁ! 開き直りましたね! このおっぱい星人センパイが!」
「文句があるなら空くらい巨乳になってから出直せ! 一生無理だろうけどな!」
「なにをぉぉぉぉ!?」
後輩が言っていた夜の展開じゃないが、俺たちの荒々しい夜はまだまだ続いた。
騒ぎで起きた空たちが部屋に来るまで、俺たちの戦いは止まることを知らず、ドンドン加速していった。
当然妹たちからの説教タイムになり、俺たちは揃って寝不足となってしまったが、次の日。
モンスターの島――『暗黒島』で眠っている四獣の覚醒が確認された。
四獣討伐の大規模戦の知らせが学園島中に伝えられた。
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