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元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。

ルド@

回想に入りながら後輩に受験について説明した。

 季節は流れて3年生になった。泊まり会の以降も色々とあったが、それらは後々語ることにしよう。

 学校やクラスメイト、家族にも力のことがバレないように隠しつつ、冬の時期がやってきた俺はなんとか受験を迎えた。

「センパイ! ファイトですよ! 全力全開で行っちゃってください!」

「勉強のことだよな? 一応言っておくが、筆記よりも面接重視だからな?」

 気持ち的には長い1年間であったが、その間にまず家族や学校の教師の説得を行った。

 当然反対されるか呆れられ、考え直すように逆に説得されたが、色々と工夫して・・・・どうにか受験を認められた。

「フフフ、私の魔法をってすれば造作もないですよ」

「助かったけど以後、非常時以外は禁止にしよう」

 偶然にも知ったクラスメイト達からも揶揄からかわれたが、適当に流しているとあちらも受験生なので、気付けばこちらのことも忘れて受験に集中していた。

「あのモブ先輩共……! 廃人にして留年させてやりましょうか!?」

「お前が言うと冗談に聞こえないから絶対やるなよ」

 ちなみに『天輪』は能力者の学園だからか、学校で受ける人は俺しかいなかった。

 結構遠かったのも理由かもしれないが、政府が絡んでいる以上ネタで受けるにはハードルが高過ぎて、冗談ではホントに済まないとみんな受けようとは考えなかった。

「あれらの反応が普通だろうな」

「チャレンジ精神の欠片もありませんねぇー」

 学園に関係する説明会などにも参加して、残りは時間は下準備の為を使った。
 あと家族に話した際に空にも話そうとしたが、いつになく真剣な表情の麻衣からの助言でまだ話していない。
 
 理由は教えてくれなかったが、合格したら流石に話さないとな。

「お願いですから私の前で話すのはやめてくださいねぇ? ……打ち明けた時のソラちゃんの反応が怖いです。……こっちにも雷が落ちないことを祈ろう」

「え、何それ?」

 受験は適性検査の面接で決まるそうだが、勉強も疎かにしていい理由ではなかったので、勉学にも気を付けた。

 やはり推薦が貰えたら1番楽だったが、元々いる天然の能力者だと思われて身辺調査をされても困るので、大人しく素質があるかも……程度の扱いで挑むことにした。

「微妙なラインですが、元々能力者だと最初から面倒が増えそうですもんね」

「なるべく目立たないようにしていくつもりだが、場合によってはある程度の露見も覚悟しないとな」

 モンスターや能力者の事前調査の為に、何度か能力者の住む『管理街』や学園島にこっそり入ろうかと考えたが、入学前に余計なリスクは回避すべきと断念したが。

 その後、説明会を利用して二度ほど一般区域まであるが、『管理街』へ行くことが出来た。
 予想通り街の大気中には住んでいる場所よりも濃度の高いマナが存在し、見かけた能力者らしき人達からも魔力みたいな力・・・・・が流れていた。

「話を聞く限りやはりマナが体内で変化した魔力の1種ですねぇ」

「この世界にもマナがある時点で予想はしていたが、この世界の能力にも魔力が関わっているわけか」

 魔法専門の麻衣と話し合ったが、やはり質は違うだけで魔力と殆ど変わらない力が能力者には流れていると考えた。

 『魔力』と呼称してよかったが、後輩が『いえ、そこは明確に分けるべきですよ!』と何故か強く言っていたので現在検討中である。

「センパイ! 命名をお願いします!」

「考えるのは俺なんだ」

 しかし、やはりと言うべきか学園島に関しては、セキュリティが厳重な為に正式の申請書類が必要なのだと知って即断念した。

 どうせ受験日になれば入れるからと学園島は一旦保留にした。

「忍び込む時は誘ってください。ミッションインッ気分で大空でも飛んで見ましょう」

「セキュリティがヤバいって言わなかったか? あと方法がなんであってもお前と一緒に大空を舞うつもりはないから」

 こうして何度か障害があったが、予定通り『天輪学園』に受験することが出来た。

 年を越して2月時期で寒かったが、目的地前の『管理街』に到着した。管理街は都市と呼べる規模の広さがあり、内部の大半が能力者に関係するビルなどの建物が多い。学園島の側なのでアミューズメントなどの娯楽施設も豊富だったりする。

「是非、今度遊びまくりましょう! センパイの奢りで!」

「外部からだとセキュリティ以下略」

「とうとう略されました!?」

 学園島にはいくつか入るルートがあり、今回はモノレールを利用して学園島に正規で入る。中には俺と同じ受験生らしい人達が何人かいるが、魔力みたいなのを感じない限り天然の能力者はいない。

 雰囲気からして素人……もしくは少し出来る程度だろう。

「ほぼモブですね。まぁ高等部からの受験だと大半が一般人率高いらしいですよ」

「逆に中等部からだと天然の能力者が多いと聞くが、向こうの世界みたいにイコール凄いと言うかは微妙な気もするが」

 モノレールは学園島の入り口で止まる。一般の駅スペースと変わらず出口には警備員の能力者がいるが、セキュリティ関係は学園側が用意してくれた書類パスがありスルーしてくれた。

「潜入おめでとうございます!」

「潜入と言うな。ちゃんと書類パスしたってば」

 手続きをクリアした後、モノレール用の駅の外へ出ると、そこは島とは思えない程の沢山の建物が並んでいた。
 事前に説明や資料で知ってはいたが、やはり経済関係は相当加熱しているようだ。

 島の内部は『管理街』を島規模にした感じである。一応森林公園か地図を見ると草原広場も存在しているが、『存在の原点』についての記載はなかった。こちらの情報は全然なく別の島なのかもしれない。

「環境はしっかりしているってわけですか。モンスターの方は別の島か『管理街』の側ですかねぇ?」

「魔力を探れたらよかったが、広過ぎる上に大小の魔力があっちこっちで感じるから識別が難しかった。少なくとも島の内部には『化け物クラス』は居ないと思う」

 高等部の校舎までは専用のバスで移動した。事前に渡された案内や置いてある案内表示を見ながら受付へ行く。
 受付の人に案内されて面接室に到着した。

 受けに来ているのは俺以外に5人。
 並んで座らされて俺は1番最後の出口付近である。大半が緊張した感じで椅子に座って待機して、1人だけ自信あり気な顔で待っているが、とくに何も感じないので挑戦者的な気持ちなのだろう。

 たぶん報われないと思うが、心の何処かでは応援しておこう。

「報われない努力ほど哀しいものはありません」

「暗い瞳と真顔で言うとなんか怖いだが、……とりあえず胸を触りながら言うのはやめようか」

 他にも受けに来ている人は居ると思うが、椅子の数が六つなのでどうやら別の場所でやっているようだ。

 待ち時間が暇なので魔力でも探ってみると、休日の校舎内部にも中々の粒揃いが紛れている。
 俺のように訪れている受験生か、手伝いか休日にわざわざ校舎に来ている在学生。或いは教員の線が1番高いが、感じ取れた魔力量は向こうの上級職と同等程度であった。

 管理街ですれ違った能力者も同じくらいか下回るくらいで、大半が結構な魔力みたいなものを蓄えていたことから、これくらいが大人達は平均値なのだろう。

「では、これより面接を始めます。右の方から順に自己紹介をお願いします」

 なんて校舎内の魔力を探りつつ考えていると時間もあっという間に潰れた。

 指定時間5分前には面接の担当の教員3名も部屋に入って来た。普通は筆記試験が先だと思うが、この学園は素質審査が重要なので面接が先に行われた。

「ようやく本番というわけですか」

「会話挟むとややこしくなるから、ここからは無言で頼むは」

 面接官は真ん中に中年の男性が1人と左右に金髪の女性と黒髪の女性。
 3名共ベテラン? の能力者なようで、鋭い観察する視線や穏やかでも見透かす視線などでこちら側を向けていた。

「では、次の人お願いします」

「は、はい!」

 緊張した感全開で右側から受験生が自己紹介を始める。

 1番左席の自分が締めだと思うと少し緊張……しなくもないか。向こうの世界に比べるとそこまで緊張する状況でもなかったので、のんびり待っていると不意に金髪の教員女性と視線が合った。

 視線が合うとニコやかに微笑まれた……やり手か。きっと男子学生を何人も手玉に取っている君臨するタイプなのだ。
 鋭い目つきからして黒髪の女性は間違いなく厳しい感じの人だから、対立していてもおかしくないな。

 なんて勝手な妄想もそこまでにして面接に集中しようとしたが。

「――? …………っ!? っ!?」

 なんか見られたと思ったら2度見して凝視された。ステータス的なものでも見えるのか? 声には出さないが驚いた顔でこちらを見つめていた。

 あ、なんかイヤな予感が……。

「――ハッ! やらかしたフラグの気配が……!?」

 説明を聞いている後輩までなんかピッカーン! と反応していたが、気にする余裕もなかった。
 若干アホなことを考えている顔に見えたが、外れていない気もして、俺は無言で話を続けた。

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