For Your Smile~君の心を救う~

河野原ぺこ@垢停止中

15

「そこまでだ!」

 僕と陽馬はそう言うと階段を登った。凛華ちゃんは下の階で他の生徒が来ないか見張ってもらっている。

「え••••••」
「み、湊さん!?」
「なんでここに!?」

 僕は3人の前に立ち、彼女らの元まで歩み詰め寄る。

「やぁ、久しぶりだね、高橋さん。去年のパーティー以来かな?それで、君達は何をしていたのかな?」
「私達はその」
「ちょ、ちょっとじゃれあっていただけです」
「そ、そうです!じゃれあっていただけです!」
「それじゃあ、そう言う事で」
「おっと、それはおかしいなぁ」

 高橋達が逃げようとした時、掃除道具入れのロッカーから奏介が出てきた。

「「「え!?」」」
「どう考えても髪引っ張っていたよなぁ?ほれ、動画も撮ってある」

 そう言うと奏介はさっきの出来事をそのまま録画した動画をその場で流した。

「あ、それと、これもあるよ」

 録画した動画が終わると共に、僕は今まで凛華を虐めていた時の録音データをその場で流す。その場に居た凛華も含め4人は驚いていた。

「な、なんでそんなのあるのよ!」
「さぁ?それより、どうしてこんな事をしたのか教えて貰おうか?」
「勿論、録音させてもらうからな」

 僕は不気味な笑みをしながら3人に詰め寄る。高橋さんは青ざめながら膝を崩した。そこで我慢できなくなった若月さんが話し始めた。

「ごめんなさい!その女が湊さんや奏介さんに近づこうとしから止めさせようとして、それで••••••」
「それでやったと?」
「はい••••••」
「なんで凛華が僕に近づくのが駄目なの?」
「その、彼女の座を狙っているって高橋さんが••••••」
「「「「はぁ?」」」」

 その言葉を聞いて、僕と奏介、凛華と陽馬は耳を疑ってしまった。

「彼女?凛華は妹なんだけど••••••。ちゃんと周りの人には言ったし、なんでそうなったの?」
「嘘よ!その女が湊さんの妹なんて!ちゃんと調べたのよ!私に嘘は通用しないわ!養子は1人までしかできないって!陽馬さんが養子ならこの女は養子になれないでしょ!」

 高橋さんが知ったかぶりをするがそれは見当違いである。これはネットにあった自分に都合が良い物だけを読んだ感じだろう。

「はぁ」

 これから1から説明しないといけない事に、ついため息が出てしまった。

「まず間違えがあるよ。養子が1人までなのは特別養子縁組の事、僕の家庭は普通養子縁組。それに、親父は特別養子縁組の条件である婚姻している夫婦を満たしていないから特別養子縁組はできない。分かった?」
「じゃ、じゃあ、つまり••••••」
「高橋さん、君は僕の妹を虐めたって事だよ。なんなら、僕も養子だし。親父との血縁関係はないよ。それと、後で弁護士さんが君達の家に行くから覚悟しといてね」
「勘違いだったのよ、許して!」
「はぁ?あんなけいじめといて何言ってるの?勘違い?虐めて負った心の痛みを知らないくせに。僕は徹底的に君達を虐めてあげるよ。法律って言う武器を使ったね」

 この言葉で戦意は喪失した3人を置いて、凛華を連れその場から立ち去った。

「お、お兄ちゃん。皆さん、ありがとうございます」
「家族なんだから遠慮しなくていいのに」
「そうだ。1人で抱え込むなよな」
「俺からしたら凛華ちゃんも妹みたいなもんだからな」
「そうだよ。皆で助け合おう。ね」

 凛華はその場で泣き、再度、恵まれている事を実感した。

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