For Your Smile~君の心を救う~

河野原ぺこ@垢停止中

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 日帰り温泉から約1ヶ月後、遂に今日から新学期が始まろうとしています。

 夏休みは楽しかった。高橋さん達からのいじめがなく、とても楽だった。お兄ちゃん達と楽しく暮らせて良かった。いつも笑顔でいられて、とても幸せでした。

 痛い目に合わない。
 物を盗まれない。
 お金を集られない。
 痛い目で見られない。
 それを我慢しなくていい。

 これ程、幸せな時間があったでしょうか。

 ••••••普通の人はこんな事で幸せだと思わないでしょうね。虐められて過ぎて感覚が麻痺してきたのでしょうか?多分、そうでしょう。

 だが、明日からこの苦痛な日常が始まってしまう。

 学校に行きたくない。
 虐められたくない。
 我慢したくない。

 そうだ。我慢しなければいいんだ。言っちゃえばいいんだ、お兄ちゃんに。


 私はお兄ちゃんに全てを言おうとした。でも、言う勇気が出なかった。

 怖い、迷惑をかけるのが怖い。
 怖い、面倒臭がられるのが怖い。
 怖い、見捨てられるのが怖い。
 怖い、おじいちゃんみたいに居なくなるかもしれないのが怖い。
 こわい怖いコワイ怖いこわい!!

 こんな事を考えているうちに登校する時間が来てしまった。外に出ようとしても足が動かなかった。

「大丈夫、安心して」

 声が聞こえた。後ろに振り返るとお兄ちゃんが居た。

「学校行こ」

 お兄ちゃんの顔を見て、今日も我慢を頑張ろうと思った。

 学校に着き、あっという間に時間が過ぎてしまった。正直、時間が過ぎてほしくなかったですけど時間の流れと言うものはとても酷いものです。

「ちょっと来な」

 私は案の定、高橋さん達に放課後に屋上前の扉のところに呼び出された。

「ちょっと、お金に困っていてさぁ。貸してくれない?」

 私はカバンから財布を取り出そうとして、ある紙を目にした。そこには、『抗え!戦え!自分の事は自分で決めろ!by陽馬』と書かれていた。私はその言葉に勇気を貰った。

「嫌だ」
「あぁ?」
「嫌だ!これは私のお金です。家族が私の為にくれたお金です。あなた達のお金ではありません!」

 私は抗う事に決めました。まさか、陽馬がこの事に気づいていた事に少し驚きましたが陽馬のこの言葉が確かに私に勇気をくれた。

「あぁ?調子乗ってるんじゃねぇぞ」

 そう言うと若月さんが私の髪を引っ張った。その時。

「そこまでだ!」

 私、聞き覚えのある声がこの空間に響いた。

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