For Your Smile~君の心を救う~

河野原ぺこ@垢停止中

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 次の日、陽馬君が風邪をひいてしまった。元々、外に出ないため免疫力が低いらしい。
 僕は陽馬君が心配なので今日は学校を休む事にした。まぁ、ズル休みになってしまうのだが別に問題ないだろう。陽馬君も3学期から近くの中学校に通うので問題ないだろう。

 お昼時になり、お粥を作った僕は陽馬君の部屋の扉を叩き、中に入る。

「陽馬君、お粥食べる?」
「••••••食べる」

 僕は勉強机にお粥を置いた。陽馬君は立って椅子に座ろうとしたがフラフラとして、倒れそうだったのでベットに戻した。

「無理したら駄目だぞ。ほら、あ~ん」

 僕はベットの横に行き、陽馬君の口元にお粥を運んだ。陽馬君は顔を赤くして「恥ずかしい」と呟いた。

「大丈夫、この部屋には僕達2人しかいないでしょ」
「••••••凛華が聞いているかもしれないだろ」
「別に良いじゃん。家族なんだし」

 恥ずかしそうに陽馬君はお粥を口にしてくれた。少しずつだがちゃんと全部食べてくれた。

「••••••ごちそうさま」
「お粗末様でした。薬持ってくるから」

 僕が食器を持って部屋を出ようとした時、陽馬君に服を引っ張られた。

「その、ありがとう」
「どういたしまして」
「それで••••••、その••••••。君付けで呼ぶのやめてほしい。親近感が湧かないから。俺も凛華みたいにお兄ちゃんとかで呼ぶから」

 正直、とても可愛いアンド超嬉しい!頬を赤らめてお兄ちゃんって呼ばれたんだ!やっばい。ニヤけそう。でも、少し無理しているかな?

「分かったよ。でも、無理しなくていいよ。兄貴ぐらいでいいから。陽馬、今から薬持ってくるから」
「分かった」

 僕はニヤケを隠しながら部屋を出た。部屋を出ると凛華ちゃんがそこで待っていた。

「どうしたの?」
「その、ありがとうございます。陽馬の事、色々と面倒見てくれて」
「家族なんだから助け合いが大切だよ。例え血が繋がってなくても大切な家族なんだから」
「そうですね。それで、その、私も呼び捨てにしてほひいです」

 『ほしい』の所で噛んでしまった凛華ちゃんが涙目で僕の方を見ている。
 それに陽馬との会話を聞いていたのか••••••。陽馬、絶対恥ずかしいだろうな。僕の事お兄ちゃんって言っちゃったし。

「呼び捨ては構わないよ。それで、舌大丈夫?思いっきり噛んだように見えたんだけど」
「だいじょうぶでじゅ」

 これは大丈夫じゃないよね。物凄い勢いで舌を噛んだんだし。

「陽馬に薬飲ませた後、昼ご飯にするけど染みるのはやめとくね」
「ありがとうございまず」

 僕は陽馬に薬を持って行く。陽馬の部屋に入ると陽馬は布団に包まりながら唸っていた。

「大丈夫!?何処か痛いの?」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい」

 どうやら、ただ恥ずかしがっているらしい。以外とシャイなんだね。

「薬飲んでね」

 僕は陽馬から布団を取り上げる。陽馬は顔を赤らめたまま、薬を飲む。

「その••••••兄貴。ありがとう」
「どういたしまして、まだ、体調悪そうだから寝ててね」

 僕はそう言うと部屋から出た。リビングに行くと凛華がコップや箸を準備して待っていた。

「それじゃあ、今から作るね」

 僕は適当に野菜炒めを作り、昼食を食べた。凛華はまだ舌が痛いのか食べている様子が可愛かった。

 ◇◇◇◇◇

 陽馬と凛華が寝静まった夜、僕と親父はリビングに居た。

「2人はどうだい?」
「凛華は本当に周りの人と関わりを持とうとしていないか分からない。昨日は奏介と玲奈ちゃんと仲良くしてたし••••••。本人は友達が作りたかったんじゃないかな?陽馬は僕から見ても今の自分から変わろうとしているよ。代償はあったけど僕とも仲良くなれたし。嬉しかったよ」
「そうか、凛華ちゃんも陽馬君も良い方向に行ってるのか。湊は体調とか大丈夫か?」
「今のところは何も出てないよ」
「そうか、安心した」

 親父は安堵のため息を吐く。

「まだまだ頑張らないとな。お兄ちゃんとして」
「期待しているぞ、お、に、い、ちゃ、ん」

 親父がお兄ちゃんの所だけ強調して言ってきた。

「••••••キモい。親父からお兄ちゃんはキモいわ••••••」
「息子が辛辣ぅ!」

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