【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

14.旦那様(本物に昇格!)の溺愛はどう見ても本物で、全く止まる気配がございません!・その1

 あれから暫く。グリーンバンブー(実家)を出て、旦那様(本物)とお屋敷に住むことになったのだけれど、毎夜毎夜毎夜毎夜、愛されて困っています。
 贅沢な悩みらしいですが、身体が持ちません。毎日ヨロヨロです。はい。

 結婚式がちゃんと終わって新婚旅行にも行ったら、実家のみんながこのお屋敷に泊りを兼ねて遊びに来る予定になっている。結婚式はもうすぐだ。


 そして今は、そんな結婚式を間近に控えた平日の朝。キングサイズのベット内で目を覚まし、ぎゅうぎゅう抱きしめられている旦那様(本物)の所から、起きようとしているのだけれど、離してもらえなくて困っている。これも毎朝の日課になってしまった。


「一矢、そろそろ起きなきゃ」

「私を置いて行くのか」

「いや、だから・・・・仕事に行く時間だから、起きなきゃいけないでしょ? 置いて行くんじゃないって。大体私の方が出勤時間遅いし、見送るのは私じゃない」

「そういう問題ではない。今、寝室を出る話をしている」

 めんどくせーなぁ、もう。拗らせ眼鏡男子だよ、うちの旦那様(本物)は。

「時に伊織。もう仕事はしなくとも、私は今まで十分稼いだぞ。遊んでいても、しっかり暮らしていける故、後は中松に任せておけばいいのではないか」

 毎日これだ。仕事へ行きたくないと言い張って、ベッドから起きようとしない。

「そういう訳にはいかないでしょ! スピーチで『全責任を負う』って他の会社に明言したでしょ! 有言実行しなきゃ、示しつかないわよ!」

「そうだ、スピーチで思い出したぞ。父が本家に帰って来いと再三うるさくてな。ほとほと困っているのだ。あ、あの二人は無事に追い出したから、伊織が本家に行きたいというなら考えてやってもいいが」

「絶対行きたくない」

 ここより広いお屋敷なんて、とんでもない。家で迷子になるわ、きっと。

「だろうな。だから私も行かないのだ。中松に断らせている」

「嫌な事は、全部中松にさせるのね」

「それがあの男の仕事だ」一矢は不敵に笑った。「中松は私の事が大好きだからな」

「ひどい雇い主だこと」

「で? その中松と美緒はどうなったのだ」

「知らない。美緒に聞いても教えてくれないもん。中松に休みあげるようにイチ君に言っておいて、って美緒が怒ってたよ」

「そんな事をいう位だから、あの二人も上手く行っているのではないか?」一矢は嬉しそうだ。「いっそ美緒もここへ越して来たらどうだ。部屋は沢山ある。なんなら二人の為に家を建ててやってもいいぞ。伊織もグリーンバンブーは辞めて、ずっと屋敷にいればいい。欲しいものは何でも買ってやるし、仕事は他の者にやらせておけばいいだろう」

「なにそのダメ男発言。最低。私の旦那様はそんな無責任な男だったんだ。ショック」

 悲しそうな顔を見せると、途端に一矢が焦りだした。

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