【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです
13.旦那様(ニセ)、鈍感嫁(ニセ)にプロポーズ大作戦です!・その6
「伊織」
あんなことがあったから、最小限に露出は控えているけれど、肩の部分はレースで肌が見えている。遠慮がちではあるけれど、そこを一矢に捕まれた。
「こんな事があった後に、本来踏み込むべきものではない事は承知の上だ。嫌ならすぐにやめる。でも・・・・私はずっと待った。お前を手に入れる事だけを願い、ひたすら待ったのだ。伊織がいい返事をくれた以上、できればその先に進み、夫婦としてやっていきたい。お前に、触れても・・・・良いか?」
真剣に、力強い目で私を見て、言ってくれた。
初めてだし、怖くないと言えば嘘になるけれど、でも、気持ち悪い男たちに捕まれたままの身体でいたくない。
一矢が私を好きでいてくれたと、それが解って本物の夫婦になるというなら、越えなきゃならない。
怖がらずに、一矢と結ばれたい。
私は黙って頷いた。一矢は優しく私を抱き上げ、そっとベッドに下ろしてくれた。
「乱暴な事はしないが、優しくできるか解らない。最善は尽くす」
「一矢・・・・」
「伊織、愛している。チープな言葉では足りないくらい、お前を・・・・幼い頃から、ずっと、愛している」
「わ、私も・・・・一矢を・・・・っ」
そこから先は、本能に身を任せた。
重なり合う手に、角度を変えながら何度も交わしたキスは、熱情を孕んだものへと変化し、私達二人を盛り上げた。
ワンピースのチャックが一気に引き下げられ、補正下着等が露になった。強引にはぎ取られるかと思ったけれど、一矢の指の動きは優しく、私を怖がらせないように注意してくれた。
彼の優しさに、胸が震えた。
もっと強引に奪って欲しいと思う反面、先ほどの恐怖が蘇る事もある。
一矢に塗り替えて欲しい。一矢が触るなら、何も怖くないと私の身体に教えて欲しい。
「一矢、大好き」
二十年近くの想いを、たった一言で表すには難しいけれど。
愛しく思う気持ちは本物だから。
一矢はきゅっと唇を噛み締め、何かに耐えるように声を絞り出した。「あまり可愛い事を言うな。本気で、止められなくなるぞ」
「いいよ。一矢だったら、壊されてもいい」
「伊織――」
愛している、という言葉と共に一矢が私を包み込んでくれた。
初めて、本物の旦那様になった一矢と固く手を取り合い、身体を繋げ、愛を囁き合って、結ばれた。
幸せな夜。
旦那様(本物)の溺愛は続く――
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