【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

12.旦那様(ニセ)が、嫁(ニセ)の為に愛の大告白(ニセ)をしちゃいます!・その5

 
 沈黙を破るべく、パンパン、と一矢が手を叩くと、絞られていた照明が元に戻され、会場が明るくなった。

「醜い家庭内事情をこのような場で発表せざるを得ず、大変申し訳ございませんでした。この件に関しましては、私の独断で全て行いました。叱責・責任は私が全て引き受けますので、どうか関係の無い者への取材等は行わないように、よろしくお願い致します。また、伊織は一般の女性でありますので、過度な取材はどうかご遠慮いただきたいのです。彼女が傷つくようなことがあれば、三成家の全勢力を揚げて立ち向かいます。ご理解頂きますよう願っております」

 有無を言わせず、一矢が美しく微笑んだ。


「さあ、本日はめでたい日。私事で恐縮ではございますが、以降はご自由に歓談や料理をお楽しみ下さい」


 その一言で、張りつめていた雰囲気が、ふぁっと明るくなった。
 途端に真後ろで待機してくれていた、美緒が私にこっそり話しかけてくれた。

「イチ君めちゃくちゃカッコいいね! ニセとか散々言ってながら、お姉ちゃんの事、ホンキみたいじゃないー?」

「そ、そんな訳ないよ・・・・。この場を取り繕うためのシナリオよ。今だけだと思う」

「そうかなぁー? そうは思えないけど。あ、それよりお姉ちゃん、後で中松さん紹介してっ」

「はい?」

「中松さんよぉ! もう、中松さんって、私の理想そのもの! お姉ちゃんが居なくなった時の中松さんったら、チョーカッコ良くて、チョー怖かったんだぁ! これ、行くしかないでしょ!!」


 そうだった。美緒は任侠映画が大好きなのよ。理想の男が萬田銀次郎とかいう位だし、そっち系大好き人間。


 でも、中松は鬼だよぉー。本気で怖いよー?



「あの冷徹な瞳、ゾクゾクするぅ。たまんない!」



 あ、そっか。私を探している『本気の鬼姿』を見て、カッコイイとか言っちゃうくらいだから、素の中松がオーケーって事よね。


「お姉ちゃんにこれだけ協力したんだから、絶対、ぜーったい紹介して、協力してね!」


 絶対紹介する事と、絶対協力するようにと、押し切られ、強引に約束させられた。





 ありゃりゃ・・・・。恋が芽生える・・・・予感?




 がんばれ、美緒!
 打倒、鬼松!!(違うか)



 

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