【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです
12.旦那様(ニセ)が、嫁(ニセ)の為に愛の大告白(ニセ)をしちゃいます!・その2
会場内に入ると、歓声と拍手が起こった。スピーチのできる小舞台のようなものが中央に設置されているので、先ずは一矢がそちらに向かった。マイクスタンドが一本立っていて、話ができるようになっている。私は隅の方で待機するために、中松とさっと移動した。
立食パーティーではあるけれど、まずはスピーチを聞いて頂きたいという配慮から、ある程度の座席が用意されている。用意された席は満席で、結構な会社の社長様であったりとか、有名な方やテレビで顔を見た事のある会長なんかもいらっしゃった。
なんか・・・・私、お呼びで無い。大丈夫なのかしら。ニセってバレたら大変なことになるわ。気を付けなきゃ。
一矢がステージに立つと、照明が絞られて彼にピンスポットが当たった。
「本日はお忙しい中、わたくしの婚約披露パーティーへお集まり頂き、誠にありがとうございます。本来なら結婚式で発表すれば良い所を、わざわざお越し頂きましたのは、少しでも早く皆様の耳に私事をお伝えしようとした次第でございます。重要な発表もございますので、そのままご清聴頂けると幸いでございます」
はー。スラスラと原稿も無しに、よく喋れますこと!
流石、旦那様。(ニセ)
「これまで、未熟な私を一人前にすべく、皆様には多大な深い愛情をかけて頂きました。そのために今まで数々の素晴らしいご縁談や、ご自身の宝物であるご令嬢をご紹介頂いておりました次第でございますが、幼少期より結婚するなら、と心に決めた女性がおりました。今回発表させていただく女性がそうです。ご紹介いたします。緑竹伊織さんです」
途端に会場がざわついた。端で待機していた私に、ピンスポットが当てられたので、一斉に視線が私の方へ・・・・。
「伊織、こちらへ」
手を差し伸べてくれたので、私は頷いて一矢の下へ歩いた。
この日の為に、この視線の中を歩くためだけに、ずっと練習してきた。
――歩く姿は、エレガントに!
鬼に散々しごかれた日々。中松の言葉を思い出し、お腹に力を入れて綺麗に歩いた。高いヒールで歩いても、こけたりしない。美しい令嬢を演じて見せる。
一矢の手を受け取り、皆様の方を向いて微笑むと一斉にフラッシュがたかれた。
ひいいいー。写真撮られるなんて聞いてないーっ。
「彼女――緑竹伊織さんは、私の幼馴染です。幼少期より、ずっと孤独だった私に愛情をかけてくれ、時には友人として励まし、時にはよき理解者として傍にいてくれました。彼女なくして、今日を迎える事はできませんでした。彼女と、彼女のご両親、関係者の方々には本当に世話になりました。心から感謝しております」
トン、と腰辺りを叩かれた。いよいよ私の挨拶の番ね。
立食パーティーではあるけれど、まずはスピーチを聞いて頂きたいという配慮から、ある程度の座席が用意されている。用意された席は満席で、結構な会社の社長様であったりとか、有名な方やテレビで顔を見た事のある会長なんかもいらっしゃった。
なんか・・・・私、お呼びで無い。大丈夫なのかしら。ニセってバレたら大変なことになるわ。気を付けなきゃ。
一矢がステージに立つと、照明が絞られて彼にピンスポットが当たった。
「本日はお忙しい中、わたくしの婚約披露パーティーへお集まり頂き、誠にありがとうございます。本来なら結婚式で発表すれば良い所を、わざわざお越し頂きましたのは、少しでも早く皆様の耳に私事をお伝えしようとした次第でございます。重要な発表もございますので、そのままご清聴頂けると幸いでございます」
はー。スラスラと原稿も無しに、よく喋れますこと!
流石、旦那様。(ニセ)
「これまで、未熟な私を一人前にすべく、皆様には多大な深い愛情をかけて頂きました。そのために今まで数々の素晴らしいご縁談や、ご自身の宝物であるご令嬢をご紹介頂いておりました次第でございますが、幼少期より結婚するなら、と心に決めた女性がおりました。今回発表させていただく女性がそうです。ご紹介いたします。緑竹伊織さんです」
途端に会場がざわついた。端で待機していた私に、ピンスポットが当てられたので、一斉に視線が私の方へ・・・・。
「伊織、こちらへ」
手を差し伸べてくれたので、私は頷いて一矢の下へ歩いた。
この日の為に、この視線の中を歩くためだけに、ずっと練習してきた。
――歩く姿は、エレガントに!
鬼に散々しごかれた日々。中松の言葉を思い出し、お腹に力を入れて綺麗に歩いた。高いヒールで歩いても、こけたりしない。美しい令嬢を演じて見せる。
一矢の手を受け取り、皆様の方を向いて微笑むと一斉にフラッシュがたかれた。
ひいいいー。写真撮られるなんて聞いてないーっ。
「彼女――緑竹伊織さんは、私の幼馴染です。幼少期より、ずっと孤独だった私に愛情をかけてくれ、時には友人として励まし、時にはよき理解者として傍にいてくれました。彼女なくして、今日を迎える事はできませんでした。彼女と、彼女のご両親、関係者の方々には本当に世話になりました。心から感謝しております」
トン、と腰辺りを叩かれた。いよいよ私の挨拶の番ね。
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