【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

4.ファースト・キスは、旦那様(ニセ)と!?・その5

 
「・・・・許可があれば、問題無いか?」

「あ、それはまあ」

 明日琥太郎にめちゃくちゃ怒られそうだけど、今目の前の一矢をとりあえず収めたいのでそれについては黙っておいた。一矢>琥太郎の方程式が私の脳内に浮かび上がった。
 琥太郎には、何かお昼ご飯でも奢ってあげればいいわ。
 ・・・・成程ね。中松が言っていた意味がよくわかったわ。



――今のお言葉、一矢様の前でおっしゃらないようにお願いします。たとえ弟とはいえ、琥太郎様が好きなどと伊織様がおっしゃいましたら、一矢様はご気分を害されます。くれぐれもお気をつけて


 ・・・・・・
 ご主人様優先しなきゃいけないってコトよね! 
 解って来た! 解って来たわよ、中松ぅ! 今のは良かったと思う! 花丸案件ね。
 とりあえず一矢の前では、一矢を奉(たてまつ)ろう。とにかく一番。なんてったって、私のご主人様だもんね! ニセだけど!!

「では風呂から上がったら、美佐江に許可を貰おう。私が電話をする」

 あ、一矢は昔から私のお母さんの事を『美佐江』と呼んでいる。幼い頃からの偉そう名残があるが、うちは誰も気にしていない。お父さんの事も『一平』と呼び捨てだし、まあ、一矢は二人からしたら、自分の子供みたいなものだし?
 そして一番許可下りやすそうな所を攻める辺り、一矢は賢い。お父さんでも問題ないだろうけど、お母さんが一番容易そうだ。

『いいわよオッケー、いおちゃんとよろしくぅ』って軽々しく言うと思う。うん、間違いない。

 明日は店が休みだから、尚更。

「明日も屋敷に泊れるように美佐江に聞いてみるが、問題無いか?」

「うん。大丈夫。一矢の為にスケジュール空けているから」

「そうか」

 嬉しそうにはにかんだ後、髪を撫でて貰った。「着替えて寝室で待っていてくれ。何としても美佐江の許可を取って、すぐに向かう」

「うん、解った」

 何でもない風に装い、私はバスルームを出て扉を閉めた後、その場にへたり込んだ。




 寝室で待てとな!?




 一矢の台詞に、腰を抜かしたみたいになっている。

 ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!
 それって、それって、それって、もう夫婦の営みのお勉強=修行をするって事!?

 きゃあああー、どうしよう――!
 そんなつもり、ちょっとはあるけど、いや、ちょっとも無い、いやあるというか・・・・どうしよう!

 下着大丈夫かしら!?
 現在は今日の夕方、中松が用意してくれたものを着用している。なんか清楚系のレースがいっぱいの下着で可愛かったからオーケーよね!
 ムダ毛とか大丈夫かしら!?
 もう少しお風呂、ゆっくり入らせて貰えばよかった!


 いや待って。待って。待ってーえ!
 ああああ、だめだめ。テンパリ具合が半端ないわ、私!


 夫婦になってまだ一日目だもの。急すぎるわ。それに一矢は・・・・あんなに色気のある男なんだもの。女性の扱いも慣れているだろうし、私になんか欲情しないと思う!

 とりあえず寝食を共にする練習という事で!

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品