【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

4.ファースト・キスは、旦那様(ニセ)と!?・その4

 
「あの、ちょっと・・・・昔とは違うから、一矢も随分男らしくなっちゃったし、私も一応女だから、お風呂を一緒にっていうのは・・・・ごめん。でも、身体を洗って欲しいっていうなら、お仕事頑張ってくれた一矢を労う嫁の役目として、喜んでやらせてもらうわ」

 今の私にはこれが限界だった。本当なら背中洗いも無理なのに。

「・・・・仕方ないな。残念だがそれで手を打とう。その代わり、水着になれ。なに、温水プールだと思えばいい。とにかくガウンは禁止だ」

「え“え”――っ」

「伊織の意見も聞いてやったのだ。次は私の番だろう。夫婦と言うのは、互いの意見を尊重し合うと聞いたぞ。明日はそのつもりで、入浴用の水着を一緒に買いに行こうではないか。それなら温水プールと同じ様に入れるではないか! ふっ、流石私だ。我ながら何時もナイスアイディアを打ち出すものだ」

 ・・・・話がおかしな方向へ行っているのですが。

「水着の事だが、もし買うのが嫌なら家から持ってきてもいいぞ」

「・・・・買いに行きます」

 家から持ってきたものを着用するとなれば、きっと鬼中松にクソ嫌味を言われるに違いない。

「そうか」一矢に顔を覗き込まれた。「好きな物を選んでいいからな。の水着の一枚や二枚、私が買ってやる」

「ち、近いっ! もう少し離れて! 距離感大切よ!」

 至近距離危険距離。だめだめ。心臓の音がドクドクと爆音でウルサイし、一矢に聞こえちゃう!

「お前の不細工な顔が、よく見えないのだ。眼鏡が無いから」

「不細工で悪かったわね! だったら見えなくて丁度いいじゃない」

「いいや、お前が見えないのは困る」

「なっ・・・・」


 今の・・・・どういう意味?


「何でもない。とにかく明日は伊織もグリーンバンブーの仕事は休みだろう。私も明日は会社が休みだ。今日は寝食を共にし、明日の朝一番で夫婦揃って出かけよう。水着を買いにデパートへ行こうではないか」

「えっ、今日は帰るよ。琥太郎にも帰るって言っちゃったし」

「私より琥太郎を優先するのか。主人のこの私を差し置いて、他の男の元へ帰ると言うのか!」

 突然一矢が怒り出した。
 しかも『主人のこの私を差し置いて、他の男の元へ帰ると言うのか』みたいな、聞き捨てならない言葉のオンパレードなんだけど!
 琥太郎は弟なのに、まるで浮気した女みたいな言われよう。どうよ?

「いやでも、無断外泊は出来ないよ。さっき琥太郎に連絡を取った時、今日は家に帰るって言っちゃったし、家族のみんなに何も言って来て無いし、勝手なことをして心配させられない。琥太郎だけじゃないから。美緒も倫太郎も雄太郎も明奈も、みんな私を待っているから!」

 多分待っていないと思うけど、一矢が怒るからそういう風に言っておいた。

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