どうにもならない社長の秘密
第十章 ずっと好きだった 7
「――紫織。俺だけのものになってくれ」
「えっ? ちょ、ちょっと待って」
「嫌だ。もう待てない」
「で、でも、宗一郎。気まずくないの? 光琉ちゃんだって昔の彼女がいるって知ったら」
「え? なんで光琉の名前がでるんだ?」
「だって、付き合っているんでしょ」
――いや、そうじゃない。その誤解はとっくに解けているけど。なんでもいいから口実がほしかった。
「光琉は俺じゃない。荻野と付き合って、いや、こういうことは正確に言ったほうがいいな。いいか、光琉はな、荻野のことがずっと好きで、この前の誕生日に告白して付き合い始めたんだ」
「――荻野副社長?」
「ああ、その荻野。それに俺と光琉は一度もそういう関係にも、感情にもなったことがない。そうか、社内の噂か? 俺が光琉に噂は放置するよう頼んだからな……、色々と面倒だと思ったから」
やれやれとばかりに宗一郎は溜め息をつき、気を取り直したように紫織の首元に顔を埋める。
「ちょ、ちょっと待って! じゃあ、宗一郎があちこちのマンションにそれぞれ別の女の人を住まわせているって話は?」
「はぁ? ――なんなんだ、それは」
絶句した宗一郎は、気をそがれたように体を起こした。
「俺があちこちにマンションを持っているのは本当だ。でもそれは不動産屋を通して、ちゃんと契約した見ず知らずの人に貸している。ついでに言うなら、一か所だけ無償で貸しているところが確かにあるが。――それは、ここだ」
「え? ここって? ここ?」
「詳しいことは美由紀に聞いてくれてもいいけど、ここはごめん。俺のマンションなんだ」
「え!?」
――そうだったの?
驚きはしたが、すぐにそういうことかと納得できた。
家具だけならまだしも、なにもかもが用意されたこの部屋が、無償でいいはずがない。
でもこのマンションが宗一郎の持ち物なら、それはありえる。
「ごめん。誕生日の後だったかな、前に住んでいたマンションで待ち伏せして美由紀と話して。――ごめん」
「い、いいの、別にあやまらなくても。じゃあなに?宗一郎は、もしかしたて、付き合っている人いないの?」
「いないさ。っていうか、いるわけないだろう? この状況でそれを言うか?」
「えっ? ちょ、ちょっと待って」
「嫌だ。もう待てない」
「で、でも、宗一郎。気まずくないの? 光琉ちゃんだって昔の彼女がいるって知ったら」
「え? なんで光琉の名前がでるんだ?」
「だって、付き合っているんでしょ」
――いや、そうじゃない。その誤解はとっくに解けているけど。なんでもいいから口実がほしかった。
「光琉は俺じゃない。荻野と付き合って、いや、こういうことは正確に言ったほうがいいな。いいか、光琉はな、荻野のことがずっと好きで、この前の誕生日に告白して付き合い始めたんだ」
「――荻野副社長?」
「ああ、その荻野。それに俺と光琉は一度もそういう関係にも、感情にもなったことがない。そうか、社内の噂か? 俺が光琉に噂は放置するよう頼んだからな……、色々と面倒だと思ったから」
やれやれとばかりに宗一郎は溜め息をつき、気を取り直したように紫織の首元に顔を埋める。
「ちょ、ちょっと待って! じゃあ、宗一郎があちこちのマンションにそれぞれ別の女の人を住まわせているって話は?」
「はぁ? ――なんなんだ、それは」
絶句した宗一郎は、気をそがれたように体を起こした。
「俺があちこちにマンションを持っているのは本当だ。でもそれは不動産屋を通して、ちゃんと契約した見ず知らずの人に貸している。ついでに言うなら、一か所だけ無償で貸しているところが確かにあるが。――それは、ここだ」
「え? ここって? ここ?」
「詳しいことは美由紀に聞いてくれてもいいけど、ここはごめん。俺のマンションなんだ」
「え!?」
――そうだったの?
驚きはしたが、すぐにそういうことかと納得できた。
家具だけならまだしも、なにもかもが用意されたこの部屋が、無償でいいはずがない。
でもこのマンションが宗一郎の持ち物なら、それはありえる。
「ごめん。誕生日の後だったかな、前に住んでいたマンションで待ち伏せして美由紀と話して。――ごめん」
「い、いいの、別にあやまらなくても。じゃあなに?宗一郎は、もしかしたて、付き合っている人いないの?」
「いないさ。っていうか、いるわけないだろう? この状況でそれを言うか?」
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