どうにもならない社長の秘密
第九章 社長の秘密 2
***
「よっし、あと一時間くらいで終わるかな」
「先に帰っていいんだぞ。今までひとりでがんばったんだから」
「ダメですよ! 私のミスだもの。それに私がひとりで作業したのはせいぜい三十分くらいですもん。課長こそ疲れてるのに。本当に帰って大丈夫ですよ? 休んでください」
「あ、年寄り扱いしたな?」
ひとりがいいなんて、ただの強がりだった。
クスクス笑い合いながら、課長が来てくれてほんとうによかったと思う。なんだかんだと時折ふざけ合いながら進めると、時間も早く進む。
時計が八時を回ったところで、さすがにお腹が空いてきた。
「どうする?宅配でも頼むか」
「そうですねぇ」
などと言っていると、ひょっこりと光琉が顔を出した。
「あれ? 光琉ちゃん」
「はーい。夕ご飯の差し入れですよぉ。食べちゃいました?」
「おっ、気が利くねぇ」
光琉はチャーハンや酢豚の入ったパックとペットボトルのお茶を出すと、広いテーブルの紫織の隣にちょこんと座った。
「お手伝いしまーす」
「ええ?」
「私だって、シール貼りくらいは出来るんですよぉ?」
ニコニコと笑う光琉を見ながら、紫織は宗一郎が彼女を好きになる気持ちがよくわかる気がした。
彼女は可愛いだけじゃなく、こんな風に優しくていい子なのだ。
宗一郎のことを抜きにすれば、もっともっと親しくなることができただろうと思う。
「ありがとうね、光琉ちゃん」
「うふふ、どういたしましてぇ」
「飲み会は終わったのか?」
「皆は二次会に行きましたけどねー。呼べば来てくれますよ?」
「いやいや、大ごとにはしたくない」
「ですよねー」
「悪いな、光琉ちゃん。今度ご馳走するぞ」
「やったー」
光琉はクスクスと笑う。
「いいですねぇー、この歌。私も好きです。元気が出るし」
ふいに、「光琉は苦労しているからな」と、室井が言った。
「うふふ、室井さんたら、秘密ですってば」
何の話かわからないでいる紫織をイタズラっぽく振り返った光琉は、ニッコリと笑って肩を竦めた。
「歓迎会の時にも言いましたけどぉ、私がキャバクラで働いていた時の。室井さんは、元お客さまなんですよねー」
「え?」
「よっし、あと一時間くらいで終わるかな」
「先に帰っていいんだぞ。今までひとりでがんばったんだから」
「ダメですよ! 私のミスだもの。それに私がひとりで作業したのはせいぜい三十分くらいですもん。課長こそ疲れてるのに。本当に帰って大丈夫ですよ? 休んでください」
「あ、年寄り扱いしたな?」
ひとりがいいなんて、ただの強がりだった。
クスクス笑い合いながら、課長が来てくれてほんとうによかったと思う。なんだかんだと時折ふざけ合いながら進めると、時間も早く進む。
時計が八時を回ったところで、さすがにお腹が空いてきた。
「どうする?宅配でも頼むか」
「そうですねぇ」
などと言っていると、ひょっこりと光琉が顔を出した。
「あれ? 光琉ちゃん」
「はーい。夕ご飯の差し入れですよぉ。食べちゃいました?」
「おっ、気が利くねぇ」
光琉はチャーハンや酢豚の入ったパックとペットボトルのお茶を出すと、広いテーブルの紫織の隣にちょこんと座った。
「お手伝いしまーす」
「ええ?」
「私だって、シール貼りくらいは出来るんですよぉ?」
ニコニコと笑う光琉を見ながら、紫織は宗一郎が彼女を好きになる気持ちがよくわかる気がした。
彼女は可愛いだけじゃなく、こんな風に優しくていい子なのだ。
宗一郎のことを抜きにすれば、もっともっと親しくなることができただろうと思う。
「ありがとうね、光琉ちゃん」
「うふふ、どういたしましてぇ」
「飲み会は終わったのか?」
「皆は二次会に行きましたけどねー。呼べば来てくれますよ?」
「いやいや、大ごとにはしたくない」
「ですよねー」
「悪いな、光琉ちゃん。今度ご馳走するぞ」
「やったー」
光琉はクスクスと笑う。
「いいですねぇー、この歌。私も好きです。元気が出るし」
ふいに、「光琉は苦労しているからな」と、室井が言った。
「うふふ、室井さんたら、秘密ですってば」
何の話かわからないでいる紫織をイタズラっぽく振り返った光琉は、ニッコリと笑って肩を竦めた。
「歓迎会の時にも言いましたけどぉ、私がキャバクラで働いていた時の。室井さんは、元お客さまなんですよねー」
「え?」
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