【書籍化】勤め先は社内恋愛がご法度ですが、再会した彼(上司)とまったり古民家ぐらしを始めます。
これからのこと、託されたもの 2
「お久しぶりね、電話では話したけど」
ラウンジスペースに入ると、創太郎のおばあさんが出迎えてくれた。
あずみが会った時よりも明らかに若々しく、綺麗になっている。
「こんにちは。お元気そうですね」
「そうね。毎日お友達とサークルに参加したり忙しくしてたらすっかり若返っちゃって」
おばあさんはおほほ、と上品に笑ったかと思うと、あずみと創太郎から少し距離を取って二人を色んな角度から観察してきた。
「なに?」
創太郎が怪訝そうに言う。
「いえ、老眼だけど私の目に狂いはなかったと思って。眼福だわぁ」
おばあさんの言っていることはあずみにはわからなかったけれど、孫である創太郎はその意味を理解したらしく、呆れたようにため息をついた。
「何言ってるんだよ…」
「ひ孫が楽しみだわぁ。どっちに似ても可愛いはずだし、今から子役事務所探しといた方が良いんじゃない?早い子は首のすわらないうちから朝ドラなんかでデビューするみたいだから、ヒロインの産んだ子供役で。なるべく早くお願いね。あ、なる早って言うんだったかしら、あなたたちの世代は?」
「ちょっと、暴走やめて。落ち着いて。篠原さんが引いてるから」
創太郎とおばあさんのやり取りを見ていると笑ってしまう。
引いてはないけれど、おばあさんから楽し気な言葉がポンポン出てくるのが面白いやらついていけないやらで、話に入れないのは確かだ。初めて会った時にもおっとりとしていながらも明るい人だと思ったのが、更にパワーが増している。
「篠原さん、ケーキ買ってきてくれたんだよ。部屋でお茶でも飲ませてよ」
「あらっ。気を遣わせてごめんね、ありがとう。じゃあ行きましょうか」
孫がお茶を飲ませて欲しいと言ったのが効いたのか、おばあさんはあずみにお礼を言うとそそくさと歩き出した。あずみの祖母も孫であるあずみに食べさせることに喜びを感じるタイプの人なので、『おばあちゃん』というのはだいたいそういう生き物なのかもしれない。
エレベーターを待っていると、上階から降りてきたエレベーターからスタッフらしいトレーニングウェア姿の若い女性が出てきた。
細いながらしっかり筋肉があり、背筋のぴしっと伸びた健康的な体つきだ。おばあさんやあずみ達に気がつくと「こんにちは」と言い、颯爽と歩き去って行った。
居室の並ぶフロアもまるでホテルのような設えだった。カラオケか何かをやっているのか、どこからか昭和歌謡のイントロのような音楽が聞こえてくる。
「はいどうぞ」
「お邪魔します…」
ワンルームの部屋の中はそんなに広くないけれど、綺麗に片付けられていておばあさんの趣味の良さが際立った。
奥にあるベッドの、色鮮やかなキルトの布団カバーが可愛らしい。脇にはサイドテーブルがあって、栞を挟んだ大判の本と、チェーン付きのべっ甲のフレームの老眼鏡が置かれている。
「高齢者用に文字が大きく印刷された本なの。ライブラリーから借りてきたら面白くて、おかげで寝不足よ」
ラウンジスペースに入ると、創太郎のおばあさんが出迎えてくれた。
あずみが会った時よりも明らかに若々しく、綺麗になっている。
「こんにちは。お元気そうですね」
「そうね。毎日お友達とサークルに参加したり忙しくしてたらすっかり若返っちゃって」
おばあさんはおほほ、と上品に笑ったかと思うと、あずみと創太郎から少し距離を取って二人を色んな角度から観察してきた。
「なに?」
創太郎が怪訝そうに言う。
「いえ、老眼だけど私の目に狂いはなかったと思って。眼福だわぁ」
おばあさんの言っていることはあずみにはわからなかったけれど、孫である創太郎はその意味を理解したらしく、呆れたようにため息をついた。
「何言ってるんだよ…」
「ひ孫が楽しみだわぁ。どっちに似ても可愛いはずだし、今から子役事務所探しといた方が良いんじゃない?早い子は首のすわらないうちから朝ドラなんかでデビューするみたいだから、ヒロインの産んだ子供役で。なるべく早くお願いね。あ、なる早って言うんだったかしら、あなたたちの世代は?」
「ちょっと、暴走やめて。落ち着いて。篠原さんが引いてるから」
創太郎とおばあさんのやり取りを見ていると笑ってしまう。
引いてはないけれど、おばあさんから楽し気な言葉がポンポン出てくるのが面白いやらついていけないやらで、話に入れないのは確かだ。初めて会った時にもおっとりとしていながらも明るい人だと思ったのが、更にパワーが増している。
「篠原さん、ケーキ買ってきてくれたんだよ。部屋でお茶でも飲ませてよ」
「あらっ。気を遣わせてごめんね、ありがとう。じゃあ行きましょうか」
孫がお茶を飲ませて欲しいと言ったのが効いたのか、おばあさんはあずみにお礼を言うとそそくさと歩き出した。あずみの祖母も孫であるあずみに食べさせることに喜びを感じるタイプの人なので、『おばあちゃん』というのはだいたいそういう生き物なのかもしれない。
エレベーターを待っていると、上階から降りてきたエレベーターからスタッフらしいトレーニングウェア姿の若い女性が出てきた。
細いながらしっかり筋肉があり、背筋のぴしっと伸びた健康的な体つきだ。おばあさんやあずみ達に気がつくと「こんにちは」と言い、颯爽と歩き去って行った。
居室の並ぶフロアもまるでホテルのような設えだった。カラオケか何かをやっているのか、どこからか昭和歌謡のイントロのような音楽が聞こえてくる。
「はいどうぞ」
「お邪魔します…」
ワンルームの部屋の中はそんなに広くないけれど、綺麗に片付けられていておばあさんの趣味の良さが際立った。
奥にあるベッドの、色鮮やかなキルトの布団カバーが可愛らしい。脇にはサイドテーブルがあって、栞を挟んだ大判の本と、チェーン付きのべっ甲のフレームの老眼鏡が置かれている。
「高齢者用に文字が大きく印刷された本なの。ライブラリーから借りてきたら面白くて、おかげで寝不足よ」
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