クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

頑張って、グレンさん。

「緊急アラーム発令! 緊急アラーム発令!」



グレンさんがダークボールを1発2発と放った瞬間、何かの警報装置に感知されたようで、けたたましいアラーム音とアナウンスが鳴り始めた。



「なに!? どうしたの!?」



「モンスターが出たんだよ! 早く逃げよう!」



普段から緊急アラームが鳴った場合には、すぐに避難しましょうと幼い頃から教育していた国の方針が相まって、記念公園内にいた人々は一目散に逃げ出していった。



「グオオオ! バヒュ!バヒュ!」



緊急アラームが鳴った事を確認して、さらにグレンさんは魔法を放っている。



付近の住民が何事かとにわかに騒ぎ始めた時、普段は聞き慣れないファンタジーな雰囲気に、皆一斉に空を見上げた。



「なんだあれは!? 空を飛んでいるぞ!」



日が暮れた暗い空に、青白い光を纏った銀色の四角い物体。



怒り満ちたフリで街を壊さんばかりに暴れるフリをするグレンの頭上にそれは停止した。



「そこまでです!」



物体の側面部分が解放されると、いと可愛いしきファイブカラーの魔法乙女達が地上に降り立った。



「これ以上の悪さは私達が許しません!」



魔法少女の赤嶺さんがまず先頭で降り立つ。



「私の住む街に現れるなんていい度胸ね」



続いて青山さんがキリッとした表情で現れる。



「成敗致しますわ!」



緑川さんもたわわな胸元をぶるんとさせながら、大きい弓を構える。



「メッタメタにしてやるのだ!」



黄名さんも魔物と出くわしたらそのままかぶりつきそうなくらいの気迫で地上に降りた。















あれ?







1人足りねえ。 桃色の人はどこに行った?




ファイブカラーのはずが、ピンクの人がいないよ。まさかあんたら、忘れてきたんじゃないだろうな。



「緊急アラーム発令から、3分と48秒。まあ、こんなものですか。グレンさん、彼女達の足元に数発お願いします。攻撃はうまく防御するように」



「了解や」



アネットさんの指示を受けたグレンさんが、魔法少女の足元めがけ、黒い玉を放つ。



「危ない、避けて!」



「くっ、あれはダークボール。みんな、リフレクトが切れないようにするのよ!」



赤嶺さんと青山さんの間に、ダークボールが襲いかかった。



時速100キロくらいだろうか。その上、元々直接狙ったものではないので、避ける事はたやすい。しかし、彼女達は初交戦の緊張とヴァンパイアの殺気に少し動揺している様子だ。



「ここは、あたいに任せるのだ! くらえ、アースクエイク!」



カラーイエロー、黄名鈴香がその両手に収まらんばかりの怖いもの知らずぶりで、それっぽい槍を振ると、巨大ながんせきがグレン目掛けて飛んだ。



「グオオオンッ!」



しかし、レベル8のヴァンパイアが放つダークボールの前に、アースクエイクとやらは簡単にくだけ散った。



「そんな………あたいの必殺技が………」



「グオオオッッ!!」



「うっ!」



何するんや! と、ばかりにグレンさんの反撃。至近距離から放たれたダークボールが、カラーイエローこと、黄名鈴香の足を直撃した。



「よ……よくもやってくれた………なのだ………」



足を襲った衝撃にバランスをくずし、地面に倒れる黄名さん。



「大丈夫ですか!? すぐに私の治癒魔法を」



「平気なのだ………リフレクトがなんとか間に合ったから……」



カラーグリーン。風を操る魔法少女、緑川さんが黄名さんに駆け寄る。



「グオオオン! グオオオン!」



隊列のぐすれたカラーガールズのあくまで間に、魔法を打ち込む。



「くるわよ!」



「くっ………あの魔法をなんとかしないと」



「でも、1番威力のある黄名さんの魔法を簡単に弾き返したんですよ! 一体どう対抗すれば……」



いきなりのピンチ。大抵こういう場合、起死回生の手を思い付くか、新たなる仲間が現れるパターンだけど。



「とにかく今は、リフレクトを強化しましょう。反撃出来る時を待つのです」

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