クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

気付いた魔法少女。

というツッコミは、心の中だけに留めておこうと思っていたら、彼女達はいつまでも、赤がいいだの青がいいだの抜かしていたので、俺は言ってやった。



「みんなさ、自分の名前を思い出してみなよ」



「「え?」」



みんな箸を持ったまま、俺にきょとんとした表情を向けてきた。



その数秒後………。



「「あ~~~!」」



5人してガタコーンと音を立て、椅子から立ち上がって、失礼にも揃いに揃って、俺に箸を向けやがった。



「新井君すごいです! 私、全然気付きませんでした!」



「確かに言われてみればそうね。全員の名前に、色が入っているわ」



「新井魔人、名探偵なのだ!」



「これは偶然ではありませんわ。わたくし達は、自分の名前に含まれる色の魔法少女になる運命に違いないでしょう」



「あの………。私も喋っていいですか?」



途端にそうだと分かると、キャーキャーワーワー騒ぎ始めた魔法少女達。



これは、ジルハ先生に報告しなくちゃと、黄名さんが駆け出し、会議室を出ていってしまった。







「た、確かにそうですね」



先生! 私達それぞれの名前に色が! これは、イアシス様のお導きでは!?



そんな感じで、同じように別室で昼食を取っていただろうジルハ先生に、魔法少女達が詰め寄った。



イアシスという始めて聞いた守護神か何かの名前はさておき、どうやらジルハ先生も事鈍感なお方だったようで、興奮した魔法少女達を目の前にして、だいぶ言い淀んでいた様子だった。



「と、とにかく間もなく体力テストを再開しますから、あなた達は、早く準備をしなさい」





「は、はい……」



ジルハ先生がキッとした目付きをするあと、赤嶺さんが渋々引き下がる。



ジルハ先生の反応に不満を覚えてつつも、魔法少女達は、会議室に戻り、弁当箱を片付けて午後の体力テスト再開の流れとなった。


「お疲れ様でした。これで全ての試験を終了します。試験結果は、後日面談の際に伝えます。その時に、あなた達の色が決定し、その後、フィージョニッションを行う流れとなります」



「「はい!!」」



ちょうど今日全ての課業が終了した事を伝えるチャイムが鳴り響く中、ようやく魔法少女達の適正試験が終了した。



摩訶不思議で究極ファンタジーな体育館から、渡り廊下を歩いて教室に向かう。



「赤嶺さーん。試験終わったの? お疲れ様ー」



「うん。終わったよー。これから。部活?」



「今日が初練習なんだ」



「そうなんだー? 頑張ってねー」



傾きけた太陽を横目にして、頬を優しく撫でる風を感じながら、教室に向かうその道中、愛しきアネット教頭に出くわした。



「お疲れ様、アネットさん」



「まおうさ………新井君。学校では、教頭先生と呼んでくだ……呼びなさい」



今、魔王様って言い掛けたくせに。



「どうしたの? この後、職員会議じゃなかった?」



「いいんですよ。私の事は。それより放課後、ヤンさんのお店にいらして下さい。私も職員会議が終わり次第、すぐに向かいますので。では」



アネットさんは、それだけを伝えカツカツ足音を立てながら職員室へと向かっていった。

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