クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔法少女よ。頑張って。

「はあっ、はあっ、はっ……………はあ……はあ……」





ダッシュでトイレに行って、戻ってこれるくらいの時間を経て、赤嶺さんがようやく50メートル走のゴール地点に到着した。





タイムは……2分19秒16。





一体彼女は何をしていたのだろうか。





最初の1歩を踏み出すのにも苦戦し、途中何度も手を着いて、足を止めていた。





どうやら、普通の50メートル走でない事は確かだ。





「赤嶺さん、大丈夫?」





「ええ……。はあ……はあ………平気です……」





ゴール地点でしばらく膝に手を当てていた赤嶺さん。俺が声を掛けて、ようやくレーンからどいた。





一体どういう事なのかは、まだ分からないものの、赤嶺綾音の欄に、俺は今のタイムを記録した。


「くうっ……。何よ、これ………はあっ……はあっ……全然足が動かないわ」





2番手の青山いずみさんも、赤嶺さんと同様だった。





スタートから10メートルまではよかったものの、途中膝を着いてしまってから、時間が掛かってしまった。





青山さんのタイムは、1分59秒87。





赤嶺さんよりだいぶいいタイムだったけど、青山さん自身全然納得していない様子だ。





もう1回やらせろと、怖い目をして何故か俺を睨んでいた。





かなりの負けず嫌いのようだ。





「次は、緑川明乃さん。スタート地点に」





「はい」





3番手は、緑川さん。胸元の大きな膨らみは、走るという行為に適しているとは思えないけど。





「よーい……スタート!!」





「ふっ! あっ……」





スタート直後、緑川さんは見えない何かに足を取られるように、盛大にずっこけた。



「明乃ちゃん、ファイト!!」





「もう少し、もう少しよ!」





赤嶺さんと青山さんがゴール地点で声援を送っている。





緑川さんもそれに呼び寄せられるようにして、足をよろつかせながら少しずつゴール地点に近付く。





彼女の豊満なマウンテンがゴールライン上に触れ、俺はストップウオッチのボタンを押した。





タイムは……3分04秒28





3分も掛かったのか……。





「……全然ダメでしたわ……」





元々運動神経がいいわけではなさそうだ。





次は……。





「黄名鈴香、行きますなのだ!」





4番手は食いしん坊か。さて、どうなる?





「よーい……スタート!」





「とりゃ! うぎゃ……痛いのだ!」





いきなりこけたか。

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