クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

校長先生のミラマたん。

小さな女の子はまるで、みきちゃんなんて名前の友達の所へお誕生日会に行くような、必死にめかし込んだフリフリのスカートを履いている。





太ももまで伸びたリボン付きの白い靴下。さらには、やたらツヤツヤした赤い靴をお召しになっていた。





よっこいしょ。





そう幻聴するかのように、女の子は転ばないようかな手を使って、可愛らしく踏み台に昇ると、小さなツインテールがプルンと揺れた。





「本日は晴天に恵まれ、希望と大志に満ち溢れた若者の門出を祝うに相応しい1日となり……」





そして、普通に挨拶を始めた。わりと堅苦しい感じの挨拶だ。





それと同時に俺の体に我慢しがたい笑いが込み上げる。





俺は慌てて口を塞ぐ。





「ふふ…………ふ……ふふ……」





しかし、笑いが口の外に漏れだす。





あかん、何か面白過ぎる。



ずいぶんとかわゆい校長先生じゃないの。



「何をあんたはふざけているんですの……」





「だ、だって……。ギャグじゃないの?  あんな小さい女の子が学園長とか……ふふ」





隣に座る楓に注意され、何故かさらに面白さが増す。





だって、7、8歳くらいだよ?壇上にいる女の子は。





絶対に毛も生えてないよ。





なのに、希望に満ち溢れた若者を祝うとか、何とか……。





お前何様やねんって話じゃん。





「この学園は皆さんの勉学を……むっ……。そこ、ふざけるのは止めなさいなのです」





挨拶をする小さな校長先生がそう言った時、体育館中の視線を一斉に感じた。





さすがに笑ってられなくなった。




だが、悪くない……。魔法少女の視線もある。








「全く……。この学園には、沢山の偉人達の功績によってこの形があるのです……」





小さな女の子は数秒の間振り返り、俺を一通り睨むと、次の瞬間には、何事もなかったかのように、また挨拶を再開した。





やべー……。普通に沢山の人が見ている中で怒られた。





めっちゃ冷や汗出たけど。何か芽生えそうだ。




さらには……。





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。





俺には分かる。魔界の王である俺には分かるよ。





体育館側方に並ぶ職員の先頭付近から、滲み出ている、魔族っぽい、まがまがしいオーラを。



一喝で体育館が粉々に吹き飛びそうなそんな前兆。





入学式が終わったら、絶対アネットさんに怒られるよ。





でも、それが1番興奮する。

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