クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔人、入学する。

「入学生の皆さん、間もなく体育館に入場となります。もう1度、隣の人と身なりを確かめ合って下さい」





普通に緊張する。





「お前は魔界のボス、ダークセンチュリオンだー!ダー!!」





アネットさんにそう言われ、自覚もないまま、指輪をはめてから3日が過ぎた。





今日は、4月17日。普通の学校より少し遅い、樺羅杜学園の入学式が始まろうとしている。





「魔人。ネクタイが曲がっていますわよ」





3日前に知り合った、くのいちの楓。





彼女ら双子とは同じクラスらしい。服装チェックという名目で、楓にネクタイをグイグイと引っ張られている。





「あんたはネクタイも満足に巻けないんですの?  だらし無いですわね」



そんな口振りで蔑む視線を向けられているけど、もちろん全く嫌な気はしない。


「お姉様。魔人さんのネクタイをそんな乱暴に扱っちゃダメですよぅ」





2列に並ぶ俺と楓の後ろには、双子のもう片方のイロハ。





隣に並んだ、メイド服を着たポニーテールの女の子とリボンの傾きを直しあっていた。





俺達のクラスは、樺羅杜学園のA組。





打倒魔王軍の為に、特殊な力を持った人達が集まっているらしい。



恐らくは魔法少女と思われる女の子が5人とあと何人かの女の子がいる。



女の子ばっかりだ。



しかし、そのメイド服の女の子にも、楓やイロハがくのいちであるように、特殊能力があるのか?





「どうも」





「どうも。こんちは」





俺がじっと見つめていたせいか、メイド服の女の子が挨拶をしてきた。





しかし、何と淡泊な挨拶。全く無の表情で俺の方を見ている。





気分を害してしまったわけではなさそうだけど……。



キリッとした目でなんだか警戒している視線を向けている。


「あの子達、魔法少女なんだよね……」





「そうそう……。1000年にたった5人しかいないっていう。すごいよね」





体育館通路に並ぶ一般クラスの生徒達が、にわかにざわめいている。





彼ら一般の生徒にしてみれば、魔法少女という逸脱した存在は芸能人やアイドル以上に興味のある人間。





この世代で僅か5人しか存在しない、いわば超能力者達だ。





家に帰って、夕方にでもテレビをつけてみよう。





そうすれば、5人の魔法少女達が無事、樺羅杜学園入学したと、どこのチャンネルでも報じているだろう。





もしかしたら、可憐な魔法少女達を写す映像の端っこに、俺やくのいち姉妹の姿があるかもしれない。

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