親の職業が○○な娘さん達

わーたん

アワビちゃんが止まらない。

「そういえば! ツナギくんにどうしても言いたいことがあるんでした!」

なんとなくの自己紹介のようなものが終わり、少しの間だけ3人の間に沈黙が流れ、開いた窓から暖かい4月の風が吹き込み、真っ白なカーテンを揺らす。


その瞬間にぶひっと遠慮なく放屁しながら、アワビが立ち上がった。


「なあに。言いたいことって。後、少しは女の子らしく恥じらいを持とうね」



「すみません。ちょっと我慢していたもので、こちらは風下ですから、許して下さい」



アワビは一応口ではそう言いながらも、表情は何やらニタニタしていた。



「ツナギくん、5日間も入院しているんですから、結構溜まっちゃっていますよね! 私がお手伝いしてあげましょうか!」



アワビはそう言って、軽く握った右手を上下にピストンさせた。



「………!?」


ベッドの反対側に座るココロが、窓に腕をぶつけながら、自分の耳を両手で防いだ。



ツナギはココロの素早い動作を横目に深いため息を吐く。



「本当に頭大丈夫かい? 頭のネジが2、3本ぶっ飛んでるんじゃない?」


「アソコにネジがあったら2、30本はぶっ飛んでますけど。どうします? ナースさんに見つからないように今のうちに………」


アワビはベッドの中に手をモゾモゾと忍ばせる。


「止めれ。何を考えてるんだ、君は。ちょっと落ち着きなさい」



ツナギはベッドに侵入してきた彼女の手をつねったが、全く聞いていない様子。それどころか、余計な閃きをアワビに与えてしまった。


「あっ、そうですよね! まだ体が起きていないから、手では刺激が強すぎますよね!
すみません、気が利かなくて!お口でぬるっと失礼しますね!!」



「いい加減にしろ! ここは病院なの!」



ツナギはベッドの中に突っ込もうとしたアワビのほっぺたを両方、がっしりと指で掴む。


そしてその白く柔らかい頬っぺたをつねり、赤くなるまでにじる。



「いひゃい、いひゃい! やめへくらさい! わたしがわるかったれふっ!」



アワビは左右に引っ張られる痛みに対して必死に耐える。



「どういう神経してんだよ! 俺は通り魔に刺されて、生死をさ迷い、今目覚めたとこなんだよ!」



「だから抜いてあげるって言ってるんじゃないですか! 生死だけに…………いひゃい、いひゃい!!」



「ほら、またそんなしょうもないことを!本当に自分が悪いと分かっているのか! いつまでも色ボケしやがって! 痛い痛いとか言いながら、実は感じてたりするんじゃないのか!?」


「しゃ、しゃすがにわたしもしょこまではいってまへんよ!…………あ、あれ……? あんがい悪くないかも…………あっ、そこ、だめ………ツナギくん、ツナギくぅん!!」



アワビは彼の名を2度叫び、激しく体を震わせると、頬っぺたを真っ赤にしながら、恍惚とした表情で椅子にへたりこんだ。



ツナギとココロはもうどうすればいいのか分からない。



「ココロちゃん。この子、どうすればいいと思う?」



「知らん。私に聞くな」

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