親の職業が○○な娘さん達
なんとかなりました
「柏田君! 少年をストレッチャーで先頭の救急車へ。この女の子は少年と同じ白銀の血液の持ち主だ。その後ろの救急車に案内してすぐに血液検査だ」
リーダーの救急隊員がそう指示をしている最中であった。
「あ、あの」
救急隊に声を掛けてきたのは、自転車を押す女の子。包丁男が2度目に包丁を振り上げた瞬間にその自転車で男を吹き飛ばす一撃を放った女の子。
巨人のように大きな女の子だ。
その彼女が、黒色の長袖シャツの袖を捲ると、銀色のブレスレットが大陽の光を浴びて輝いた。
こんな偶然が本当にあるのか………。そう言いたげな様子で2人の救急隊員は互いに顔を見合わせた。
50万人に1人と言われる突然変異の血液者が、目の前に2人もいるなんて。
一刻を争う事態。その現場に居合わせるなんて、奇跡としか言いようがない。
そんな感覚だった。
さらにその奇跡は続く。
「私もです」
ポニーテールの女性も、こればっかりはしょーがないといった感じでゆっくりと手を挙げたのだ。
「…………」
なんとなく助かるのか。ツナギは朦朧とする意識の中でそんな風に感じていた。自分と同じ珍しい血液型の人間がすぐ側に何人もいた。
もうダメだ。俺の人生は、高校の入学式前日というところで終わってしまうのかと諦めかけたが、どうやら起こり得ないことが起きた模様。
見知らぬ女の子を命がけで助けてみるものだなと。
その女の子のスカートの奥に蔓延る割れ目からどろりと落ちた粘液の輝きを見たのを最後に、ツナギはストレッチャーに乗せられながらゆっくりと目を閉じた。
時は流れて…………。
「…………ん? あ、あれ!? ここは病院! 清原なんちゃら病院ですね!!」
ツナギが目を覚ますやいなや、そう叫びながら起き上がろうとするのを見た新人の看護士が床にひっくり返りそうになるのをなんとか堪えた。
「現在の時刻は………午前9時! 午前9時を回ったところですね! お姉さん!!」
左右をキョロキョロとするツナギ。壁にかかっていた時計で現在の時刻を確認し、さらにテンションを上げながら看護士に絡んでいった。
「お姉さん! 俺、今日入学式なんですよ!!9時じゃ遅刻っすよ! 遅刻!! 早く学校行かねえと乗り遅れるっての! クラスで浮いちまうっての!!」
ツナギはそう言ってベッドから起き上がろうと、まずは両腕に刺されていた点滴用の注射針を抜こうと手を掛けた。
「あ、あれっ!? これ、外れねえなあ」
もちろんではあるが注射針は頑丈に医療用テープでツナギの腕にしっかりと固定されている。
ツナギは左手の人差し指の爪を立てるようにして注射針を固定しているテープを剥がそうとしたが、その腕を駆けつけた医者や看護士が慌てて止めた。
「ツナギくん、止めなさい! 大人しくするんだ!」
眼鏡を掛けた担当医がツナギの両腕を押さえつける。
「何をしやがる! 離しやがれ! 俺は入学式に行かないといけないんだ!」
「とにかく落ち着きなさい! 鈴木君、牧田君、彼の体を押さえるんだ!」
「は、はい!」
「わかりました!」
担当医の指示により、一緒に駆けつけた看護士、さらには彼らを呼んだ新人の看護士も加わり、起き上がろうとするツナギの体を押さえつけた。
「くっ! 数人がかりとは卑怯だぞ!」
複部のケガもあり、目を覚ましたばかりのツナギは抗うことは出来ず、ベッドに寝かせられる。そして、そうしている間に少しずつ感情がクリアになり、それと同時に、僅かながら落ち着きを取り戻し始めた。
まるで数秒前の自分が嘘のように。血管の中にいた別の誰かが流れ過ぎ去った。
そんな感覚だった。
窓から吹く爽やかなそよ風を感じつつ、ツナギはまたぼんやりと天井を見つめる。
そして思う。
あれ? 俺はどうしてこんな病院のベッドに寝ているんだ? どうして医者やナースが息を切らしながら、俺を睨み付けるようにしているのか。
そして、なんでこんなにも入学式にこだわっているのだろうか。
そう冷静に考えた時、ツナギの頭に1つの疑問が浮かび上がる。そして、その疑問を担当医に訊ねてみた。
「先生、俺ってどのくらい眠ってました?」
          
リーダーの救急隊員がそう指示をしている最中であった。
「あ、あの」
救急隊に声を掛けてきたのは、自転車を押す女の子。包丁男が2度目に包丁を振り上げた瞬間にその自転車で男を吹き飛ばす一撃を放った女の子。
巨人のように大きな女の子だ。
その彼女が、黒色の長袖シャツの袖を捲ると、銀色のブレスレットが大陽の光を浴びて輝いた。
こんな偶然が本当にあるのか………。そう言いたげな様子で2人の救急隊員は互いに顔を見合わせた。
50万人に1人と言われる突然変異の血液者が、目の前に2人もいるなんて。
一刻を争う事態。その現場に居合わせるなんて、奇跡としか言いようがない。
そんな感覚だった。
さらにその奇跡は続く。
「私もです」
ポニーテールの女性も、こればっかりはしょーがないといった感じでゆっくりと手を挙げたのだ。
「…………」
なんとなく助かるのか。ツナギは朦朧とする意識の中でそんな風に感じていた。自分と同じ珍しい血液型の人間がすぐ側に何人もいた。
もうダメだ。俺の人生は、高校の入学式前日というところで終わってしまうのかと諦めかけたが、どうやら起こり得ないことが起きた模様。
見知らぬ女の子を命がけで助けてみるものだなと。
その女の子のスカートの奥に蔓延る割れ目からどろりと落ちた粘液の輝きを見たのを最後に、ツナギはストレッチャーに乗せられながらゆっくりと目を閉じた。
時は流れて…………。
「…………ん? あ、あれ!? ここは病院! 清原なんちゃら病院ですね!!」
ツナギが目を覚ますやいなや、そう叫びながら起き上がろうとするのを見た新人の看護士が床にひっくり返りそうになるのをなんとか堪えた。
「現在の時刻は………午前9時! 午前9時を回ったところですね! お姉さん!!」
左右をキョロキョロとするツナギ。壁にかかっていた時計で現在の時刻を確認し、さらにテンションを上げながら看護士に絡んでいった。
「お姉さん! 俺、今日入学式なんですよ!!9時じゃ遅刻っすよ! 遅刻!! 早く学校行かねえと乗り遅れるっての! クラスで浮いちまうっての!!」
ツナギはそう言ってベッドから起き上がろうと、まずは両腕に刺されていた点滴用の注射針を抜こうと手を掛けた。
「あ、あれっ!? これ、外れねえなあ」
もちろんではあるが注射針は頑丈に医療用テープでツナギの腕にしっかりと固定されている。
ツナギは左手の人差し指の爪を立てるようにして注射針を固定しているテープを剥がそうとしたが、その腕を駆けつけた医者や看護士が慌てて止めた。
「ツナギくん、止めなさい! 大人しくするんだ!」
眼鏡を掛けた担当医がツナギの両腕を押さえつける。
「何をしやがる! 離しやがれ! 俺は入学式に行かないといけないんだ!」
「とにかく落ち着きなさい! 鈴木君、牧田君、彼の体を押さえるんだ!」
「は、はい!」
「わかりました!」
担当医の指示により、一緒に駆けつけた看護士、さらには彼らを呼んだ新人の看護士も加わり、起き上がろうとするツナギの体を押さえつけた。
「くっ! 数人がかりとは卑怯だぞ!」
複部のケガもあり、目を覚ましたばかりのツナギは抗うことは出来ず、ベッドに寝かせられる。そして、そうしている間に少しずつ感情がクリアになり、それと同時に、僅かながら落ち着きを取り戻し始めた。
まるで数秒前の自分が嘘のように。血管の中にいた別の誰かが流れ過ぎ去った。
そんな感覚だった。
窓から吹く爽やかなそよ風を感じつつ、ツナギはまたぼんやりと天井を見つめる。
そして思う。
あれ? 俺はどうしてこんな病院のベッドに寝ているんだ? どうして医者やナースが息を切らしながら、俺を睨み付けるようにしているのか。
そして、なんでこんなにも入学式にこだわっているのだろうか。
そう冷静に考えた時、ツナギの頭に1つの疑問が浮かび上がる。そして、その疑問を担当医に訊ねてみた。
「先生、俺ってどのくらい眠ってました?」
          
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