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親の職業が○○な娘さん達

わーたん

そんな間違い方します?

「大丈夫ですか! しっかりして下さい!」




「傷口にタオル当てます! もう少しだけ頑張って下さい!」



サラリーマンの男とマダムの2人の元にも、包丁男を囲む男達とは違い、顔を青くしながらもまともな人間が寄り添いつつあった。


その中の1人、ポニーテールがよく似合う、30代くらいの女性が、倒れたマダムの側で応急措置を施していた。

職業は不明ながら、医療に明るい者と見られ、周りの集まる人間達にも的確な指示を送る。



「誰か清潔な布やタオルを持ってきて下さい!! 傷口をなるべく上に向けて!! 」



その女性の声が響き渡ると同時に、すく側のドラッグストアから、小柄な体格の店長らしき男が段ボール箱を抱え、猛ダッシュでやってきた。



「ここに。売れ残りですがハンドタオルが」



ずれた眼鏡を直しながら、ドラッグストアの店長はもつれる足でやってきた勢いのまま段ボールを地面に置いた。



「全部開けて下さい!! あの3人のところへ。……特にあの少年のところへ多めに」




「は、はぃ!!?」



ドラッグストアの店長は慌てて段ボールを閉じているガムテープを剥がしに掛かる。



普段は常習の万引き犯に頭を悩ませ、売り上げが悪いとエリアマネージャーに叱られ、当日欠勤するアルバイトにらしい注意の1つも出来ない頼りない男。



そんな彼が目にした現場の様子を見て、埃を払いながら持ち出したファインプレーだった。


しかし………。




「…………ひっ! ひいっ!」



すぐ側で倒れる3人の被害者。特に、救護に当たる女性の向こう側に見えるのは腹部から大量の血を流すツナギの姿に店長は激しく動揺した。



緊迫した場の雰囲気にも飲まれ、さらにポニーテールの女性に急かされるように指示されたため、手がさらに震え、言うことを聞かない。


段ボール自体の劣化もある影響で、箱に立てた指がめり込んで志摩あガムテープを剥がすまでに至らない。



「何をやってんだ!! 貸せ!!」



側で見ていた男性がドラッグストアの店長を突き飛ばすくらいの勢いでどかし、段ボールを引き寄せる。



「こうやればいいんだよ!  オラァッ!!」


男性は、段ボールの縁に指を這わせると、反対側の手で押さえながら力いっばいに箱の口を引きちぎった。



その勢いで、箱の中身が飛び出す。



柔らかな肌触り。



肌に優しいコットン100%。




抜群の吸水性。



多い日。お出かけの時も安心。





箱から出てきたのは、ハンドタオルではなく、生理用品だった。

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