親の職業が○○な娘さん達
なにげない日常で通り魔に襲われる。
ひったくり事件が起こったことなど露知らず。
その現場から300メートルほどなると離れた駅前では、ひったくり事件の通報を受けたパトカーが大急ぎで交番から出て行ったこと以外、何ら日常に変化はない。
駅に向かう最後の横断歩道。手前20メートルほどで正面の信号は赤になった。
1階がドラッグストア、2階が100円ショップ。3階には、静かな喫茶店が入る雑居ビルの前。
その横断歩道の前ではツナギと同じく信号待ちをしている人間が数人いた。
横断歩道から1番離れた位置。鉄製の街灯に背中を預けるようにしている背広姿の男。年齢は30半ば。
何か探し物だろうか。ビジネスバッグの中を必死になって漁っているがなかなか見つからない様子。
バッグの中から飛び出した資料の紙が数枚地面に落ちた。
「ふーんふふん、ふーんふふん!」
その2、3歩分車道に近い所では、50過ぎ程のふくよかな体格をしたマダムがご機嫌な様子で鼻唄を奏でている。
煮込む前の紐で丸めたロース肉のような塊の腕に下げられているのは、高級ブランドメーカーの大きな袋。
そのご満悦な様子と臀部の振り具合から察するに長日欲していたブランド物を手に入れたばかりのようだ。
ネイティブ柄のような派手な羽織ものを巻いて、豚足のような指にはいくつもの指輪。目がチカチカするくらい、カラフルな宝石が光輝いている。
そんなマダムの左前。車道に1番近い立ち位置には若い女の子。ツナギと同じくらいの年齢。
肩より少し長い、艶のある黒色髪の毛の先がスクエアカットされたピンク色のカジュアルシャツの上でサラサラと揺れている。
いかにも春らしいファッションの清楚なイメージだが、強いて他の女の子と違う点と言えば、強い風が吹くこと知りながら、下着を履かずに揺られやすいスカート1枚で2時間以上ただ街を歩いていたことくらい。
誰かに気付かれて、脅され、どこかに連れ込まれたりするんじゃないかとドキドキしながら宇都宮駅前を朝から練り歩いていた。
その子がこの横断歩道で信号待ちをするのもこれで20回目だ。
ツナギはサラリーマンとマダムの間を通り、その女の子の隣に並ぶようにして車道に近い場所に立った。
女の子は隣に立ったツナギの顔を見て小さくガッツポーズをした。
(ヨッシャア! 同年代っぽいちょうどいい男子キタァ! 気付け! 私がパンツを履いていないことに! サァ、サァ!!)
そんな女の子の思い空しく、ツナギの視線は側のビルに新しく入った猫カフェのテナント看板にくぎ付け。
全く気づかないどころか、こちらをチラリとも見ようとしない様子に、女の子は舌打ちをしながら、ツナギに向かって中指を立てた。
「ファッキュー!!」
          
その現場から300メートルほどなると離れた駅前では、ひったくり事件の通報を受けたパトカーが大急ぎで交番から出て行ったこと以外、何ら日常に変化はない。
駅に向かう最後の横断歩道。手前20メートルほどで正面の信号は赤になった。
1階がドラッグストア、2階が100円ショップ。3階には、静かな喫茶店が入る雑居ビルの前。
その横断歩道の前ではツナギと同じく信号待ちをしている人間が数人いた。
横断歩道から1番離れた位置。鉄製の街灯に背中を預けるようにしている背広姿の男。年齢は30半ば。
何か探し物だろうか。ビジネスバッグの中を必死になって漁っているがなかなか見つからない様子。
バッグの中から飛び出した資料の紙が数枚地面に落ちた。
「ふーんふふん、ふーんふふん!」
その2、3歩分車道に近い所では、50過ぎ程のふくよかな体格をしたマダムがご機嫌な様子で鼻唄を奏でている。
煮込む前の紐で丸めたロース肉のような塊の腕に下げられているのは、高級ブランドメーカーの大きな袋。
そのご満悦な様子と臀部の振り具合から察するに長日欲していたブランド物を手に入れたばかりのようだ。
ネイティブ柄のような派手な羽織ものを巻いて、豚足のような指にはいくつもの指輪。目がチカチカするくらい、カラフルな宝石が光輝いている。
そんなマダムの左前。車道に1番近い立ち位置には若い女の子。ツナギと同じくらいの年齢。
肩より少し長い、艶のある黒色髪の毛の先がスクエアカットされたピンク色のカジュアルシャツの上でサラサラと揺れている。
いかにも春らしいファッションの清楚なイメージだが、強いて他の女の子と違う点と言えば、強い風が吹くこと知りながら、下着を履かずに揺られやすいスカート1枚で2時間以上ただ街を歩いていたことくらい。
誰かに気付かれて、脅され、どこかに連れ込まれたりするんじゃないかとドキドキしながら宇都宮駅前を朝から練り歩いていた。
その子がこの横断歩道で信号待ちをするのもこれで20回目だ。
ツナギはサラリーマンとマダムの間を通り、その女の子の隣に並ぶようにして車道に近い場所に立った。
女の子は隣に立ったツナギの顔を見て小さくガッツポーズをした。
(ヨッシャア! 同年代っぽいちょうどいい男子キタァ! 気付け! 私がパンツを履いていないことに! サァ、サァ!!)
そんな女の子の思い空しく、ツナギの視線は側のビルに新しく入った猫カフェのテナント看板にくぎ付け。
全く気づかないどころか、こちらをチラリとも見ようとしない様子に、女の子は舌打ちをしながら、ツナギに向かって中指を立てた。
「ファッキュー!!」
          
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