実況!4割打者の新井さん
たまに変なことを言い出す新井さん2
よっしゃあ! 見たか!! 人間チョロQ作戦大成功じゃ!!
パチンコ屋でのアルバイト時代に習得したこの走塁技術。
お客さんが点けたランプに即座に反応して、通路の端から素早くお客さんの台へと駆けつけ、空の箱を渡し、パチンコ玉がいっぱい詰まったドル箱を通路に積んでいく。
もちろん、通路の向こう側を歩くおばあちゃんに対してスマートにスペースを譲りながらの走塁。
1人が終わればまた次のお客さん。終わればまた次のお客さん。
チョロQ並みのダッシュ力と機敏さが必要なパチンコホールでの仕事でこの必殺技は生まれたのだ。
この世に無駄なものなんてない。
打球を処理した内野手から送球の来なかったホームベースに鮮やかな俺のスライディング。
ここは足から滑り込み、左手の先でホームベースをタッチして、おケツの土を落としながら立ち上がると、次打者の赤ちゃんが俺を抱き上げる。
そしてベンチに戻っていき、迎え出たチームメイト達とハイタッチをかわす。
同点に追い付かれ、キッシーがノーアウト満塁のピンチを無失点で凌いで、この勝ち越し点。きれいな形の1点ではないが、この1点の重みがこのスタジアムにいる誰もが理解している。
うちのチームも相手チームも。両チームのファンも。
だからこそ俺は長年温めていた必殺技、人間チョロQを発動させて、ホームを陥れたのだ。
まあ、結局はどれだけ1歩目のスタートを切れるかってことなんですけどね。そうすれば足が速くなくてもなんとかいけますから。
「さあ、試合は9回ウラに入ります。ビクトリーズ1点リードで、マウンドには昨日に引き続き、背番号21。岸田が8回から回跨ぎで2イニング目。前の回はノーアウト満塁というピンチを見事凌ぎ切りましたがこの9回はどうでしょうか」
「東北としては、前の試合で打ち込んでサヨナラまで持っていっていますから、チームとして攻略するいいイメージはあるでしょうね。逆に岸田としては、投げにくい部分は当然ありますが、続けて打たれるわけにはいきませんのでね。
しかし、少しね、横から投げているんですねえ。今日の彼は。それがいいと思うんですよ。サイドスローだと、腕が遅れて出てくるように見せることが出来ますからから。
ピッチングコーチのアドバイスだと思うんですが、相手バッターもちょっと戸惑う反応もありましたのでね。もしかしたら、これは立ち直るいいきっかけを見い出したかもしれませんね。この9回も抑えられればの話ですが………」
ベンチに戻り、一息つく暇もなく4番の赤ちゃんが内野フライを打ち上げたせいで、まだ少々息切れした状態でレフトの守備位置につく。
そして、マウンドに上がったキッシーをじっくりと様子見る。
頼んだぜ、キッシー。この回も抑えてくれれば、きっと今日のヒーローインタビューは俺なんだから。
「外のスライダー! バットは…………回りました!空振り三振!! まず1アウト!」
キッシーのサイドスローから放たれた右打者のアウトコース低めに曲がっていくスライダーにバットが回る。
アウトコースギリギリの速いボールに見えて、バットを振りにいった時にはぐにゃりと届かないコースまで曲がる右バッター泣かせの球。
バッターは途中でボール球と気づいてバットを止めにかかってごまかしにいったが球審に指差され、スイングを取られた。
きっちりとしたところに投げればなかなか打てない。さすがは最終回を任せられるくらいの力を持つピッチャーの投球だ。
次のバッターには……。
「低め、ワンバウンド!! フォークボールだ! 空振り! 鶴石がバッターにタッチして2アウト!! やはり最後はフォークでした!」
右バッターにはサイドスロー。左バッターにはオーバースロー。
謎の投げ分けが上手くいっているのか、今度は左バッターから三振を奪う。本来のオーバースローでの落差のあるフォークボール。
ちょうどホームベースの上でワンバウンドするような理想の落ち方だ。
「打ち上げた!! 高く上がりましたが、打球に伸びはありません!! ビクトリーズファンから歓声が上がる!
ライト桃白が落下点………掴みまして、ゲームセット!! 5ー4! ビクトリーズ接戦を制しまして、連敗ストップです!」
パチンコ屋でのアルバイト時代に習得したこの走塁技術。
お客さんが点けたランプに即座に反応して、通路の端から素早くお客さんの台へと駆けつけ、空の箱を渡し、パチンコ玉がいっぱい詰まったドル箱を通路に積んでいく。
もちろん、通路の向こう側を歩くおばあちゃんに対してスマートにスペースを譲りながらの走塁。
1人が終わればまた次のお客さん。終わればまた次のお客さん。
チョロQ並みのダッシュ力と機敏さが必要なパチンコホールでの仕事でこの必殺技は生まれたのだ。
この世に無駄なものなんてない。
打球を処理した内野手から送球の来なかったホームベースに鮮やかな俺のスライディング。
ここは足から滑り込み、左手の先でホームベースをタッチして、おケツの土を落としながら立ち上がると、次打者の赤ちゃんが俺を抱き上げる。
そしてベンチに戻っていき、迎え出たチームメイト達とハイタッチをかわす。
同点に追い付かれ、キッシーがノーアウト満塁のピンチを無失点で凌いで、この勝ち越し点。きれいな形の1点ではないが、この1点の重みがこのスタジアムにいる誰もが理解している。
うちのチームも相手チームも。両チームのファンも。
だからこそ俺は長年温めていた必殺技、人間チョロQを発動させて、ホームを陥れたのだ。
まあ、結局はどれだけ1歩目のスタートを切れるかってことなんですけどね。そうすれば足が速くなくてもなんとかいけますから。
「さあ、試合は9回ウラに入ります。ビクトリーズ1点リードで、マウンドには昨日に引き続き、背番号21。岸田が8回から回跨ぎで2イニング目。前の回はノーアウト満塁というピンチを見事凌ぎ切りましたがこの9回はどうでしょうか」
「東北としては、前の試合で打ち込んでサヨナラまで持っていっていますから、チームとして攻略するいいイメージはあるでしょうね。逆に岸田としては、投げにくい部分は当然ありますが、続けて打たれるわけにはいきませんのでね。
しかし、少しね、横から投げているんですねえ。今日の彼は。それがいいと思うんですよ。サイドスローだと、腕が遅れて出てくるように見せることが出来ますからから。
ピッチングコーチのアドバイスだと思うんですが、相手バッターもちょっと戸惑う反応もありましたのでね。もしかしたら、これは立ち直るいいきっかけを見い出したかもしれませんね。この9回も抑えられればの話ですが………」
ベンチに戻り、一息つく暇もなく4番の赤ちゃんが内野フライを打ち上げたせいで、まだ少々息切れした状態でレフトの守備位置につく。
そして、マウンドに上がったキッシーをじっくりと様子見る。
頼んだぜ、キッシー。この回も抑えてくれれば、きっと今日のヒーローインタビューは俺なんだから。
「外のスライダー! バットは…………回りました!空振り三振!! まず1アウト!」
キッシーのサイドスローから放たれた右打者のアウトコース低めに曲がっていくスライダーにバットが回る。
アウトコースギリギリの速いボールに見えて、バットを振りにいった時にはぐにゃりと届かないコースまで曲がる右バッター泣かせの球。
バッターは途中でボール球と気づいてバットを止めにかかってごまかしにいったが球審に指差され、スイングを取られた。
きっちりとしたところに投げればなかなか打てない。さすがは最終回を任せられるくらいの力を持つピッチャーの投球だ。
次のバッターには……。
「低め、ワンバウンド!! フォークボールだ! 空振り! 鶴石がバッターにタッチして2アウト!! やはり最後はフォークでした!」
右バッターにはサイドスロー。左バッターにはオーバースロー。
謎の投げ分けが上手くいっているのか、今度は左バッターから三振を奪う。本来のオーバースローでの落差のあるフォークボール。
ちょうどホームベースの上でワンバウンドするような理想の落ち方だ。
「打ち上げた!! 高く上がりましたが、打球に伸びはありません!! ビクトリーズファンから歓声が上がる!
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