実況!4割打者の新井さん
キッシー、今度こそ頑張って2
2アウト1、2塁。
いい三振の取り方で1アウトを取ったが、問題はここから。
3番、4番とこちらも外国人に回る打順だが、その2人が右打者。
今のキッシーにとって、ここが鬼門である。
野球ではよく、左右どちらのバッターにも、右ピッチャーが得意、左ピッチャーが得意なんて言い方をよくするが、俺の考えではその大きな要因となっているのが、右ピッチャーと左ピッチャーのボールの見え方の違いではないかと思っている。
野球ゲームではよく、対左Aだとバッターの能力が上がり、FやGとなると能力がぐんと下がる。
あくまでそれは実際の選手の特徴を再現しているシステムであり、リアルの野球では左ピッチャーが出て来たからって、選手の打撃能力が上がったり、下がったりするわけではない。
ニュアンス的には、自分のベストの打撃が出来るか出来にくいかという感じだ。
自分のベストのスイングが100だとすると、とある選手が右では100のスイングが出来る確率が高いが、左ピッチャーの時はその100のスイングが出来る確率が低い。
80のスイングだったり、60のスイングしか出来なかったり。
そうなる原因は、右ピッチャーと左ピッチャーのボールの見え方の違いなのだ。
ピッチャーの体の右側から投げるピッチャーと体の左側から投げるピッチャーとではボールの見え方が全然違う。
左のワンポイントや左キラーなどと、利き手での得手不得手を戦術に組み込んだり、選手の組み替えをしたりするのは野球くらいである。
とあるスポーツ学者は、左ピッチャーは右ピッチャーに比べて5キロ速く見えるとか。
足を開いて構えるオープンスタンスのバッターは、足を平行にして構えるバッターと比べて、2割明瞭な視界でボールを見ることが出来るとか。
理想的なバッターの視野の作り方は、利き目を7割逆目を3の割合でボールを見ることだという人もいる。
そんな研究がされるくらい、ボールを見るということは今、野球界で重要なカテゴリーになりつつあるのだ。
そして打席には、助っ人外国人。今度はアメリカ出身。
身長は178センチと助っ人マンにしては小さめだが、体重100キロジャストの横にがっしりなタイプのパワフルな選手。打率は低めで穴があるバッターだが、チャンスに強く、ここぞの場面で力を発揮するプルヒッターだ。
こういう1打サヨナラの場面では1番怖いタイプのバッターだ。思い切り引っ張るようなバッティングをされると、一瞬で試合が決まってしまうかもしれない。
つまりそうなればかなりの高確率でレフトである俺の方に飛んでくるだろう。
外野に飛んでくるなら、センター、ライトよりも、レフト。左中間よりもレフトのゾーンだ。
ランナー1、2塁。2人目のランナーを返してしまったら、サヨナラ負け。
しかも1塁ランナーは相手チーム1の俊足だ。
長打になってしまえばそれでおしまい。
今のキッシーのピッチング。引っ張りが得意な右の外国人バッター。ストレートにタイミングが合わされている。
うーん。
俺は定位置よりだいぶ守備位置を変えることにした。
自分の勝手な判断で。
センターの柴ちゃんやベンチの外野守備コーチに見つからないようにこっそりと。
「打ちました! 引っ張った、いい当たりだ! レフト線、フェアー!!サヨナラか! ………あっ、いや! レフト新井がもう打球に追い付く。フェンスの手前、ワンバウンドで打球を押さえました!……2塁ランナー島が3塁を蹴って同点のホームイン! 1塁ランナー丘島が3塁へ滑り込む!
新井から送球返ってきましてタッチは………3塁セーフ!!打ったバッターは1塁ストップ!! ホームに返ったランナーは1人だけ! しかしレッドイーグルス、土壇場で同点に追い付きました、1ー1です!レフト線へのタイムリーヒットです!」
ちっ。打球が捕りやすいところにバウンドして、いい送球が出来たから、3塁をアウトにしたかと思ったのに、さすがにあの俊足のランナーを刺すことは出来なかった。もうちょっとだったんだけどねえ。
しかし、本当に俺のところに飛んで来た。
普通に定位置に守っていて、フェンスに当たってから、よっこらしょと打球を処理していたのではあの1塁ランナーはホームを陥れていただろう、楽勝でサヨナラだった。
あの助っ人が引っ張り込んで、レフト線に飛んでくるだろうという俺の読みは当たっていたわけだ。
相手チームも。うちのチームも。スタンドのお客さんも驚いた表情をして俺を見ている。
あいつ、なんであんなとこに守ってたんだ?サヨナラだと思ったのに………。
という感じだろうか。
俺は恥ずかしいので、腕を組んで夜空を見上げながら、口笛を吹いてごまかして見せた。
いい三振の取り方で1アウトを取ったが、問題はここから。
3番、4番とこちらも外国人に回る打順だが、その2人が右打者。
今のキッシーにとって、ここが鬼門である。
野球ではよく、左右どちらのバッターにも、右ピッチャーが得意、左ピッチャーが得意なんて言い方をよくするが、俺の考えではその大きな要因となっているのが、右ピッチャーと左ピッチャーのボールの見え方の違いではないかと思っている。
野球ゲームではよく、対左Aだとバッターの能力が上がり、FやGとなると能力がぐんと下がる。
あくまでそれは実際の選手の特徴を再現しているシステムであり、リアルの野球では左ピッチャーが出て来たからって、選手の打撃能力が上がったり、下がったりするわけではない。
ニュアンス的には、自分のベストの打撃が出来るか出来にくいかという感じだ。
自分のベストのスイングが100だとすると、とある選手が右では100のスイングが出来る確率が高いが、左ピッチャーの時はその100のスイングが出来る確率が低い。
80のスイングだったり、60のスイングしか出来なかったり。
そうなる原因は、右ピッチャーと左ピッチャーのボールの見え方の違いなのだ。
ピッチャーの体の右側から投げるピッチャーと体の左側から投げるピッチャーとではボールの見え方が全然違う。
左のワンポイントや左キラーなどと、利き手での得手不得手を戦術に組み込んだり、選手の組み替えをしたりするのは野球くらいである。
とあるスポーツ学者は、左ピッチャーは右ピッチャーに比べて5キロ速く見えるとか。
足を開いて構えるオープンスタンスのバッターは、足を平行にして構えるバッターと比べて、2割明瞭な視界でボールを見ることが出来るとか。
理想的なバッターの視野の作り方は、利き目を7割逆目を3の割合でボールを見ることだという人もいる。
そんな研究がされるくらい、ボールを見るということは今、野球界で重要なカテゴリーになりつつあるのだ。
そして打席には、助っ人外国人。今度はアメリカ出身。
身長は178センチと助っ人マンにしては小さめだが、体重100キロジャストの横にがっしりなタイプのパワフルな選手。打率は低めで穴があるバッターだが、チャンスに強く、ここぞの場面で力を発揮するプルヒッターだ。
こういう1打サヨナラの場面では1番怖いタイプのバッターだ。思い切り引っ張るようなバッティングをされると、一瞬で試合が決まってしまうかもしれない。
つまりそうなればかなりの高確率でレフトである俺の方に飛んでくるだろう。
外野に飛んでくるなら、センター、ライトよりも、レフト。左中間よりもレフトのゾーンだ。
ランナー1、2塁。2人目のランナーを返してしまったら、サヨナラ負け。
しかも1塁ランナーは相手チーム1の俊足だ。
長打になってしまえばそれでおしまい。
今のキッシーのピッチング。引っ張りが得意な右の外国人バッター。ストレートにタイミングが合わされている。
うーん。
俺は定位置よりだいぶ守備位置を変えることにした。
自分の勝手な判断で。
センターの柴ちゃんやベンチの外野守備コーチに見つからないようにこっそりと。
「打ちました! 引っ張った、いい当たりだ! レフト線、フェアー!!サヨナラか! ………あっ、いや! レフト新井がもう打球に追い付く。フェンスの手前、ワンバウンドで打球を押さえました!……2塁ランナー島が3塁を蹴って同点のホームイン! 1塁ランナー丘島が3塁へ滑り込む!
新井から送球返ってきましてタッチは………3塁セーフ!!打ったバッターは1塁ストップ!! ホームに返ったランナーは1人だけ! しかしレッドイーグルス、土壇場で同点に追い付きました、1ー1です!レフト線へのタイムリーヒットです!」
ちっ。打球が捕りやすいところにバウンドして、いい送球が出来たから、3塁をアウトにしたかと思ったのに、さすがにあの俊足のランナーを刺すことは出来なかった。もうちょっとだったんだけどねえ。
しかし、本当に俺のところに飛んで来た。
普通に定位置に守っていて、フェンスに当たってから、よっこらしょと打球を処理していたのではあの1塁ランナーはホームを陥れていただろう、楽勝でサヨナラだった。
あの助っ人が引っ張り込んで、レフト線に飛んでくるだろうという俺の読みは当たっていたわけだ。
相手チームも。うちのチームも。スタンドのお客さんも驚いた表情をして俺を見ている。
あいつ、なんであんなとこに守ってたんだ?サヨナラだと思ったのに………。
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