実況!4割打者の新井さん
ヒーローインタビューをしたい新井さん8
「新井の打球はピッチャー返し! センターへ抜けるか!? ショート平柳が飛び付くー!! ……抜けたー!」
ショートの選手が打球に飛び付く。反応が素早く一瞬追い付いたようにみえたが、打球が2塁ベース回りのアンツーカーで微妙に跳ね上がり、その分だけグラブの上へとすり抜けた。
その瞬間、よっしゃ! きた! サヨナラだ!!ヒーローだ!
俺はそう確信した。後は2塁ランナーがホームに滑り込むだけ。
たったそれだけだ。
「守谷は3塁を蹴る!! サヨナラのホームに向かって3塁を回る!しかし、前進守備のセンターが打球を掴んでバックホーム!!佐藤から、ダイレクトでいいボールが返ってきたー!! きわどいタイミングだー! タッチは………………アウトー!!」
ええー………嘘だろ…………。アウトになっただと……。
1塁ベースを回ったところで、俺はホームベース上で主審がアウト判定して、相手チームがまるで試合に勝ったかのように喜んでいる光景が信じられない。
完全にセーフだと思ったのに。
まさか、あんなすごい返球をしてくるとは。
送球の速度、軌道、タッチアウトにするにはここしかないというくらいのキャッチャーの膝元にドンピシャコントロール。
俺のタイムリーが。俺のサヨナラタイムリーが。
俺のヒーローインタビューが阻まれた瞬間だった。
「桃白の打球はファーストゴロ。打球を掴みファーストキャンバスを踏んでスリーアウト。ゲームセットです」
サヨナラ機を逸し、気落ちした北関東ビクトリーズは、次の回スカイスターズに2点を奪われて万事休す。最後の攻撃も、相手の強力なリリーフピッチャーに押しきられる格好。
最後も桃ちゃんの力ない打球がファーストミットに収まり、ゆっくりと1塁ベースを踏まれて試合終了。
3時間50分の延長まで及んだ東京スカイスターズとの試合を4ー6で落とし、これで前々カードの埼玉ブルーライトレオンズとの3戦目の敗戦から前カード横浜ベイエトワールズ戦でさらに3連敗。
そして今日東京スカイスターズとの3連敗初戦で敗戦し、これで5連敗となってしまった。
ベンチの中で唇を噛みながら、喜ぶスカイスターズナインの姿を見てさらに悔しさが込み上げてきた。
俺にとってはやはり9回のサヨナラ機。自分の中でのベストなバッティングでセンター前ヒットを打ったのに。あそこで決まったと思ったのにと。やりきれない思いが心の中で渦巻く。
「みんな、明日取り返そう!!」
意気消沈し、その場から動けない俺を含めたチームメイト達にキャプテンの阿久津さんが声を掛ける。
重たい腰を上げてベンチ裏に引き上げるが、もう明日こそは勝てるのだろうか、今日のような首位チームに競った試合が果たしてまた出来るのかという不安が俺を支配していた。
「東京スカイスターズとの3連戦の3戦目。前日の試合は0ー13と大敗しましたが、今日はドラフト2位ルーキーの碧山が8回2失点の好投。打線も5回にこちらもルーキーであります桃白に2ランホームランが飛び出しまして、2ー2の同点で8回ウラまで来ています」
8回裏の攻撃。桃ちゃんには負けられんと、柴ちゃんもホームランを意識した豪快なスイングをかましたが、ボールに当たらなければ絵にかいた餅。
あえなく三振の後の俺の打席である。こちらはシングルヒット狙いのコンパクトスイングを披露し………。
よっしゃ! 捉えた!
アウトコース低めの変化球を打ち、打球はセカンドの頭上。ジャンプする向こう側に打球が弾み、俺はニッコニコで1塁へと向かう。
「これはナイスバッティング。低めのカーブを上手く拾ってライト前ヒット。8回ウラ、1アウトランナー1塁。新井は今日初安打です」
よーし、これでやっとランナーを置いて3番4番だ。
あとは阿久津さんと赤ちゃんでなんとかしてくれ。
「3番、サード、阿久津」
「バッターボックスには阿久津が入ります。ここまで3打数ノーヒット。ランナー1塁、ここはどんなバッティングを見せますか、長打が欲しいところであります」
ショートの選手が打球に飛び付く。反応が素早く一瞬追い付いたようにみえたが、打球が2塁ベース回りのアンツーカーで微妙に跳ね上がり、その分だけグラブの上へとすり抜けた。
その瞬間、よっしゃ! きた! サヨナラだ!!ヒーローだ!
俺はそう確信した。後は2塁ランナーがホームに滑り込むだけ。
たったそれだけだ。
「守谷は3塁を蹴る!! サヨナラのホームに向かって3塁を回る!しかし、前進守備のセンターが打球を掴んでバックホーム!!佐藤から、ダイレクトでいいボールが返ってきたー!! きわどいタイミングだー! タッチは………………アウトー!!」
ええー………嘘だろ…………。アウトになっただと……。
1塁ベースを回ったところで、俺はホームベース上で主審がアウト判定して、相手チームがまるで試合に勝ったかのように喜んでいる光景が信じられない。
完全にセーフだと思ったのに。
まさか、あんなすごい返球をしてくるとは。
送球の速度、軌道、タッチアウトにするにはここしかないというくらいのキャッチャーの膝元にドンピシャコントロール。
俺のタイムリーが。俺のサヨナラタイムリーが。
俺のヒーローインタビューが阻まれた瞬間だった。
「桃白の打球はファーストゴロ。打球を掴みファーストキャンバスを踏んでスリーアウト。ゲームセットです」
サヨナラ機を逸し、気落ちした北関東ビクトリーズは、次の回スカイスターズに2点を奪われて万事休す。最後の攻撃も、相手の強力なリリーフピッチャーに押しきられる格好。
最後も桃ちゃんの力ない打球がファーストミットに収まり、ゆっくりと1塁ベースを踏まれて試合終了。
3時間50分の延長まで及んだ東京スカイスターズとの試合を4ー6で落とし、これで前々カードの埼玉ブルーライトレオンズとの3戦目の敗戦から前カード横浜ベイエトワールズ戦でさらに3連敗。
そして今日東京スカイスターズとの3連敗初戦で敗戦し、これで5連敗となってしまった。
ベンチの中で唇を噛みながら、喜ぶスカイスターズナインの姿を見てさらに悔しさが込み上げてきた。
俺にとってはやはり9回のサヨナラ機。自分の中でのベストなバッティングでセンター前ヒットを打ったのに。あそこで決まったと思ったのにと。やりきれない思いが心の中で渦巻く。
「みんな、明日取り返そう!!」
意気消沈し、その場から動けない俺を含めたチームメイト達にキャプテンの阿久津さんが声を掛ける。
重たい腰を上げてベンチ裏に引き上げるが、もう明日こそは勝てるのだろうか、今日のような首位チームに競った試合が果たしてまた出来るのかという不安が俺を支配していた。
「東京スカイスターズとの3連戦の3戦目。前日の試合は0ー13と大敗しましたが、今日はドラフト2位ルーキーの碧山が8回2失点の好投。打線も5回にこちらもルーキーであります桃白に2ランホームランが飛び出しまして、2ー2の同点で8回ウラまで来ています」
8回裏の攻撃。桃ちゃんには負けられんと、柴ちゃんもホームランを意識した豪快なスイングをかましたが、ボールに当たらなければ絵にかいた餅。
あえなく三振の後の俺の打席である。こちらはシングルヒット狙いのコンパクトスイングを披露し………。
よっしゃ! 捉えた!
アウトコース低めの変化球を打ち、打球はセカンドの頭上。ジャンプする向こう側に打球が弾み、俺はニッコニコで1塁へと向かう。
「これはナイスバッティング。低めのカーブを上手く拾ってライト前ヒット。8回ウラ、1アウトランナー1塁。新井は今日初安打です」
よーし、これでやっとランナーを置いて3番4番だ。
あとは阿久津さんと赤ちゃんでなんとかしてくれ。
「3番、サード、阿久津」
「バッターボックスには阿久津が入ります。ここまで3打数ノーヒット。ランナー1塁、ここはどんなバッティングを見せますか、長打が欲しいところであります」
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