実況!4割打者の新井さん
スタメン勝ち取る新井さん2
「井之上、2球で2ストライクと追い込んだんですが、結局フォアボールになってしまいました」
「これはもったいないですねー。初球真っ直ぐが決まって、2球目の変化球を振らせたんですがね。これはダメですよ。チームの士気に関わりますから。このフォアボールの出し方はやってはいけませんね」
「どうでしょう。2ストライクから多少なりとも力みがあったのでしょうか」
「これはどちらかといえば、コントロールが単純に不安定ということでしょうね。初球の真っ直ぐは真ん中でしたし、変化球もたまたまバッターが振ってくれたというボールでしたから。井之上にしてみればいいボールというのはなかったですね」
1回表、1番打者がフォアボールで出ただけで、スタジアムは少しざわついた異様なムードになった。そのくらいこのピッチャーのコントロールのアバウトさはファンのストレスになっているようだ。
スタンドからは早くも何やってんだと、ヤジが飛ぶ。
横浜側のベンチの手前側にいる監督やヘッドコーチやらピッチングコーチは、目の前にマウンドにいるピッチャーがいたら1発どつきそうな険悪な雰囲気。
うちは最下位だが、同じくらい苦戦している5位の横浜の苦しい、歯車の噛み合わない戦いの様子が垣間見れた気がした。
「2番、レフト、新井」
ノーアウトランナー1塁。
フォアボールで出塁した柴ちゃんはもちろん盗塁狙うことが出来るが、ベンチから出されたサインは送りバントだった。
カード初戦。初回先頭打者がフォアボールで出塁。2番バッターに迷わず送りバント。
当然の如く送りバント。
汚れなき送りバント。
ベンチは俺の打率を知っているんですかねえ。まあ打席は少ないかもしれないけれども。カツーンと1、2塁間に低い打球をかましてやりたいわよ。
せっかくだからそんな風に打たせて欲しいわよね。
しかし、サインを無視するわけにはいかないので、バッターボックスの前目に立って、バントの構えをする。
相手の守備はそれほどマークはきつくない。
あらよっと。
「2番の新井はバントをしました。ピッチャー前、井之上は取って1塁へ送球。1アウトランナー2塁です」
低めにきた速い球をピッチャー前へ。ピッチャー前ながらしっかりとボールの勢いを殺したバント成立。
それをやっただけだが、今日の自分にはピッチャーのボールがよく見えるのが確認できた。それくらい出来のいい送りバントだ。
普通に打ってはもしかしたらそれが分からなかったかもしれない。
そうなっては、今の柴ちゃんみたいに、俺も消極的なバッティングをしてしまったかもしれない。
そういう意味では、1打席目に送りバントができて正解だったかもしれない。
今回はそう思うことにした。
「1番、センター、柴崎」
3回表。1アウト、ランナーなし。
うちらビクトリーズの攻撃は、2巡目に入り、バッターボックスには柴ちゃんが入る。
試合のスコアはまだ動かずに0ー0。
出来が悪いながらも、両チームの先発投手がピンチでなんとか踏ん張って形にしているような試合展開だ。しのぎ合い、せめぎ合い。
非常に先制点が重要そうな試合、ピッチャーが自動アウトで1アウトになったところで柴ちゃんの2打席目。
「ストライク!」
初球。スライダーがグググッと曲がって低めに決まり1ストライク。左バッターの膝元に食い込むようなこれはナイスボールだ。
柴ちゃんはピクリとも動かず。
2球目。
今度はアウトコース高めの真っ直ぐ。逆球ではあるがコーナーギリギリに収まっている。
柴ちゃんのバットがピクリと動いただけで、見逃しストライク。
え?大丈夫? 柴ちゃん?また2球で追い込まれましたよ?しっかりね?
「さあ、ピッチャーの井之上追い込みました。1球遊ぶか、それとも3球勝負か。3球目………投げました! …………アウトコース低め! 決まった! ストライク、バッターアウト!!見逃し三振!3球勝負、最後はもう1度ストレートでした!!柴崎バット出ず!」
おいおい。1回もバットを振らずに三振かよ。
「これはもったいないですねー。初球真っ直ぐが決まって、2球目の変化球を振らせたんですがね。これはダメですよ。チームの士気に関わりますから。このフォアボールの出し方はやってはいけませんね」
「どうでしょう。2ストライクから多少なりとも力みがあったのでしょうか」
「これはどちらかといえば、コントロールが単純に不安定ということでしょうね。初球の真っ直ぐは真ん中でしたし、変化球もたまたまバッターが振ってくれたというボールでしたから。井之上にしてみればいいボールというのはなかったですね」
1回表、1番打者がフォアボールで出ただけで、スタジアムは少しざわついた異様なムードになった。そのくらいこのピッチャーのコントロールのアバウトさはファンのストレスになっているようだ。
スタンドからは早くも何やってんだと、ヤジが飛ぶ。
横浜側のベンチの手前側にいる監督やヘッドコーチやらピッチングコーチは、目の前にマウンドにいるピッチャーがいたら1発どつきそうな険悪な雰囲気。
うちは最下位だが、同じくらい苦戦している5位の横浜の苦しい、歯車の噛み合わない戦いの様子が垣間見れた気がした。
「2番、レフト、新井」
ノーアウトランナー1塁。
フォアボールで出塁した柴ちゃんはもちろん盗塁狙うことが出来るが、ベンチから出されたサインは送りバントだった。
カード初戦。初回先頭打者がフォアボールで出塁。2番バッターに迷わず送りバント。
当然の如く送りバント。
汚れなき送りバント。
ベンチは俺の打率を知っているんですかねえ。まあ打席は少ないかもしれないけれども。カツーンと1、2塁間に低い打球をかましてやりたいわよ。
せっかくだからそんな風に打たせて欲しいわよね。
しかし、サインを無視するわけにはいかないので、バッターボックスの前目に立って、バントの構えをする。
相手の守備はそれほどマークはきつくない。
あらよっと。
「2番の新井はバントをしました。ピッチャー前、井之上は取って1塁へ送球。1アウトランナー2塁です」
低めにきた速い球をピッチャー前へ。ピッチャー前ながらしっかりとボールの勢いを殺したバント成立。
それをやっただけだが、今日の自分にはピッチャーのボールがよく見えるのが確認できた。それくらい出来のいい送りバントだ。
普通に打ってはもしかしたらそれが分からなかったかもしれない。
そうなっては、今の柴ちゃんみたいに、俺も消極的なバッティングをしてしまったかもしれない。
そういう意味では、1打席目に送りバントができて正解だったかもしれない。
今回はそう思うことにした。
「1番、センター、柴崎」
3回表。1アウト、ランナーなし。
うちらビクトリーズの攻撃は、2巡目に入り、バッターボックスには柴ちゃんが入る。
試合のスコアはまだ動かずに0ー0。
出来が悪いながらも、両チームの先発投手がピンチでなんとか踏ん張って形にしているような試合展開だ。しのぎ合い、せめぎ合い。
非常に先制点が重要そうな試合、ピッチャーが自動アウトで1アウトになったところで柴ちゃんの2打席目。
「ストライク!」
初球。スライダーがグググッと曲がって低めに決まり1ストライク。左バッターの膝元に食い込むようなこれはナイスボールだ。
柴ちゃんはピクリとも動かず。
2球目。
今度はアウトコース高めの真っ直ぐ。逆球ではあるがコーナーギリギリに収まっている。
柴ちゃんのバットがピクリと動いただけで、見逃しストライク。
え?大丈夫? 柴ちゃん?また2球で追い込まれましたよ?しっかりね?
「さあ、ピッチャーの井之上追い込みました。1球遊ぶか、それとも3球勝負か。3球目………投げました! …………アウトコース低め! 決まった! ストライク、バッターアウト!!見逃し三振!3球勝負、最後はもう1度ストレートでした!!柴崎バット出ず!」
おいおい。1回もバットを振らずに三振かよ。
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