実況!4割打者の新井さん
新井さん、光り輝く
「これは見事な2ランホームランになりました。……レフト新井は1本も動かず。……打球は埼玉ファンで埋まるレフトスタンド中段へと入っていきました」
ホームランを打った相手選手がダイヤモンドを1周する間、俺の背後のレフトスタンドは大盛り上がり。
今にもスタンドが倒れてくるんじゃないかと思うくらいの応援団の大声援。
大太鼓が鳴り響き、グラウンドに立っていると、何十何百何千にも重なった人々の声が頭の上から降り注いでくる。
ホームのビクトリーズスタジアムでの試合は、レフトにいると損だな。
周りのスタンドはみんな埼玉ファンだ。
相手が盛り上がるのは、たいていうちが守っている時なんだから。
レフトにいると、グラウンドの音なんか聞こえやしない。
「これは打ち上げました! ファーストのシェパードか? いや、キャッチャーの鶴石が手を上げてファウルゾーンで掴みました。これで3アウトチェンジ。この回、ブルーレオンズ7番内崎に2ランホームランが飛び出しまして、スコアは4ー2です!」
「5回ウラ。北関東ビクトリーズの攻撃は、2番レフト新井時人」
しー………。ざわざわ。しー……。ざわざわ。
みたいな。
ここまで2打数2安打の俺の名前がアナウンスされたのに、しー……ざわざわ。レベルの歓声とは。
もっとドワアッ! とこんかいと思うけれども、まだまだ俺もビクトリーズファンに認められてないんだなあと実感してしまう。
「さあ、スコアは4ー2。ビクトリーズ2点リードで5回のウラ、2番新井から始まる好打順です」
「新井くんの次は2打席ホームラン打ってる阿久津ですからねえ、この打席も出塁したいですねえ」
「新井はここまで2打席でともにヒットを放っています。マウンド上は、2番手の左腕、上田。新井とは初対決になります」
先発のオーバースローの右ピッチャーから、左のサイドハンドにピッチャーは変わっている。ストレートの最速は142キロほど。ベンチから見ている限り、スライダー系のボールが得意みたいだ。
そしてそのスライダーが初球、真ん中低めにきた。
これは打つしかない。
「新井、初球を打った! 高いバウンド、ピッチャーの頭の上を越えました! ショートが回り込む!」
ここぞとばかりに初球を打った打球は、明らかに打ち損じ。
しかし、打球は大きく跳ね上がり、ジャンプしたピッチャーを僅かに越える。
俺は1塁へ向かって走りだし、相手のショートが打球を追う。
アウトになるかセーフになるかタイミングは微妙だった。柴ちゃんや浜出君のような俊足ならば、セーフになるような打球だったが。
野球ゲームで走力E評価の俺は懸命に走る。
ショートが2塁ベースのすぐ後ろくらいで打球に追い付く。
まだ1塁ベースは少し向こう。
やばい! アウトになるタイミングだと思った。
しかし、打球を掴み右手に持ち変えたショートの選手が一瞬ボールを握り直したように見えた。
それがチラッと視界に入り、よっしゃ! セーフや!
そう確信して、1塁へヘッドスライディングをかました。
「セーフ! セーフ!!」
「きわどいタイミングはセーフ!! 記録はショートへの内野安打! 新井が1塁へヘッドスライディング! 執念を見せて、これで本日猛打賞です!!
ホームランを打った相手選手がダイヤモンドを1周する間、俺の背後のレフトスタンドは大盛り上がり。
今にもスタンドが倒れてくるんじゃないかと思うくらいの応援団の大声援。
大太鼓が鳴り響き、グラウンドに立っていると、何十何百何千にも重なった人々の声が頭の上から降り注いでくる。
ホームのビクトリーズスタジアムでの試合は、レフトにいると損だな。
周りのスタンドはみんな埼玉ファンだ。
相手が盛り上がるのは、たいていうちが守っている時なんだから。
レフトにいると、グラウンドの音なんか聞こえやしない。
「これは打ち上げました! ファーストのシェパードか? いや、キャッチャーの鶴石が手を上げてファウルゾーンで掴みました。これで3アウトチェンジ。この回、ブルーレオンズ7番内崎に2ランホームランが飛び出しまして、スコアは4ー2です!」
「5回ウラ。北関東ビクトリーズの攻撃は、2番レフト新井時人」
しー………。ざわざわ。しー……。ざわざわ。
みたいな。
ここまで2打数2安打の俺の名前がアナウンスされたのに、しー……ざわざわ。レベルの歓声とは。
もっとドワアッ! とこんかいと思うけれども、まだまだ俺もビクトリーズファンに認められてないんだなあと実感してしまう。
「さあ、スコアは4ー2。ビクトリーズ2点リードで5回のウラ、2番新井から始まる好打順です」
「新井くんの次は2打席ホームラン打ってる阿久津ですからねえ、この打席も出塁したいですねえ」
「新井はここまで2打席でともにヒットを放っています。マウンド上は、2番手の左腕、上田。新井とは初対決になります」
先発のオーバースローの右ピッチャーから、左のサイドハンドにピッチャーは変わっている。ストレートの最速は142キロほど。ベンチから見ている限り、スライダー系のボールが得意みたいだ。
そしてそのスライダーが初球、真ん中低めにきた。
これは打つしかない。
「新井、初球を打った! 高いバウンド、ピッチャーの頭の上を越えました! ショートが回り込む!」
ここぞとばかりに初球を打った打球は、明らかに打ち損じ。
しかし、打球は大きく跳ね上がり、ジャンプしたピッチャーを僅かに越える。
俺は1塁へ向かって走りだし、相手のショートが打球を追う。
アウトになるかセーフになるかタイミングは微妙だった。柴ちゃんや浜出君のような俊足ならば、セーフになるような打球だったが。
野球ゲームで走力E評価の俺は懸命に走る。
ショートが2塁ベースのすぐ後ろくらいで打球に追い付く。
まだ1塁ベースは少し向こう。
やばい! アウトになるタイミングだと思った。
しかし、打球を掴み右手に持ち変えたショートの選手が一瞬ボールを握り直したように見えた。
それがチラッと視界に入り、よっしゃ! セーフや!
そう確信して、1塁へヘッドスライディングをかました。
「セーフ! セーフ!!」
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