実況!4割打者の新井さん
阿久津のおじさんも躍動する2
「2番レフト、新井時人」
3回ウラの北関東ビクトリーズの攻撃。
先頭打者の柴ちゃんがセンターフライに倒れ、1アウトランナーなしで俺の打順。
2打席目だ。
スコアは2ー0でリードしている。
今日は後ろを打つ3番の阿久津さんの調子が良さそうだ。
俺が出塁して、また2ランホームランを打ってもらおう。
1打席目は、アウトコース低めのストレートが来るだろうという読みが当たって運よくヒットになったけども。
この2打席目からが本当の戦いだ。
恐らく1球目2球目は変化球で様子を見てくるだろう。
「ピッチャー村山、第1球投げました! 高め変化球外れました。1ボールです」
初球は、高めのボール球。
あまり変化はせずに、スピードの遅い球だった。チェンジアップか。
低めに投げなきゃいけない、この球がストライクにならないんだから、相手ピッチャーの調子はあまりよくないんだな。
それは分かった。
相手ピッチャーは、3回ウラに差しかかって、阿久津さんに浴びた2ランによる失点のみだが、もっと点を取られてもおかしくないピッチング内容だ。
下位打線の鶴石さんや浜出君。はたまたピッチャーにも捉えられた打球が野手の正面をついていなければ、さらに失点して上位に回るような展開になっていただろう。
「ストライーク!」
野球に限らず、勝負事や終わったことにたらればを言っていてもしょうがないのだが、それならば相手ピッチャーの様子を見てこちらの出方を決めて次に生かすことが出来る。
それほどいい元ピッチャーでない俺でも、マウンドに立つ人間の気持ちはなんとなく理解出来る。
調子が悪い。特にコントロールを乱している時というのは、1球のストライクを投げるのに必死になっている状態だ。
初球に投じた球がボール球になれば、早くもフォアボールが頭をよぎり、ストライクになればこれから先この感覚で投げればいけるかもと、希望の光が見えかけるもの。
こんな時、バッターが最もやってはいけないのが、簡単に打ちにいって、簡単にアウトになってしまうことだ。
コントロールに苦しんでいる相手に、初球に手を出して簡単に打ち上げてしまったりしては、まさにピッチャーを助けるようなもの。
自分で投げていて、初球を打ってくれて簡単にアウトになってくれた時は、気持ちがだいぶ楽になり、それで調子を取り戻してなんとか試合を作れたなんて経験が何回もある。
しかし、バッターがきわどいボール球に手を出してくれないと、カウントがかさみ、フォアボールが増え、ランナーがたまったところで外野の間を破られるような痛打を浴びるなんてことも幾度となく経験した。
「ストライーク!」
なんやかんやで1ボール2ストライクと追い込まれてしまったが、なんも問題はない。
バッターとピッチャーの勝負はここからが本番。
それまでの0ストライク1ストライクなんてカウントのうちは、序章に過ぎない。
恋愛でいえば、まだ告白する段階にも至っていないようなものなのだ。
料理をするみのりんのお尻にそっと手を伸ばそうとしている段階だ。
何の問題もない。
「さあ、バッターの新井は初球ボール球の抜けたチェンジアップの後はストライク2つをあっさりと見送りまして1ボール2ストライクと追い込まれました」
「ストライク2つはヒットにするのは難しい球でしたからねえ。ここからでしょう」
初球のあとはインコース低めのストレートと、アウトコースいっぱいのスライダーで2ストライクを取られた。
正直どっちもコースがいいところに来てしまったので、打てるボールではなかった。
勝負は次の球。インコースにズバッとくるか、ウラをかいてアウトコースのスライダーをボール気味にしてくるかのどちらかと読む。
「ピッチャー村山投げました!」
ビシュッと投げられたボールが向かってくる。
コースは真ん中、そして低め。ストレートか!
バットを振りだした瞬間、すっとボールにブレーキがかかり、ストライクからボールゾーンに落ち始める。
俺はあわてて振りだしたバットを止めようとした。
コンッ!
止めたバットにボールが当たってしまった。
3回ウラの北関東ビクトリーズの攻撃。
先頭打者の柴ちゃんがセンターフライに倒れ、1アウトランナーなしで俺の打順。
2打席目だ。
スコアは2ー0でリードしている。
今日は後ろを打つ3番の阿久津さんの調子が良さそうだ。
俺が出塁して、また2ランホームランを打ってもらおう。
1打席目は、アウトコース低めのストレートが来るだろうという読みが当たって運よくヒットになったけども。
この2打席目からが本当の戦いだ。
恐らく1球目2球目は変化球で様子を見てくるだろう。
「ピッチャー村山、第1球投げました! 高め変化球外れました。1ボールです」
初球は、高めのボール球。
あまり変化はせずに、スピードの遅い球だった。チェンジアップか。
低めに投げなきゃいけない、この球がストライクにならないんだから、相手ピッチャーの調子はあまりよくないんだな。
それは分かった。
相手ピッチャーは、3回ウラに差しかかって、阿久津さんに浴びた2ランによる失点のみだが、もっと点を取られてもおかしくないピッチング内容だ。
下位打線の鶴石さんや浜出君。はたまたピッチャーにも捉えられた打球が野手の正面をついていなければ、さらに失点して上位に回るような展開になっていただろう。
「ストライーク!」
野球に限らず、勝負事や終わったことにたらればを言っていてもしょうがないのだが、それならば相手ピッチャーの様子を見てこちらの出方を決めて次に生かすことが出来る。
それほどいい元ピッチャーでない俺でも、マウンドに立つ人間の気持ちはなんとなく理解出来る。
調子が悪い。特にコントロールを乱している時というのは、1球のストライクを投げるのに必死になっている状態だ。
初球に投じた球がボール球になれば、早くもフォアボールが頭をよぎり、ストライクになればこれから先この感覚で投げればいけるかもと、希望の光が見えかけるもの。
こんな時、バッターが最もやってはいけないのが、簡単に打ちにいって、簡単にアウトになってしまうことだ。
コントロールに苦しんでいる相手に、初球に手を出して簡単に打ち上げてしまったりしては、まさにピッチャーを助けるようなもの。
自分で投げていて、初球を打ってくれて簡単にアウトになってくれた時は、気持ちがだいぶ楽になり、それで調子を取り戻してなんとか試合を作れたなんて経験が何回もある。
しかし、バッターがきわどいボール球に手を出してくれないと、カウントがかさみ、フォアボールが増え、ランナーがたまったところで外野の間を破られるような痛打を浴びるなんてことも幾度となく経験した。
「ストライーク!」
なんやかんやで1ボール2ストライクと追い込まれてしまったが、なんも問題はない。
バッターとピッチャーの勝負はここからが本番。
それまでの0ストライク1ストライクなんてカウントのうちは、序章に過ぎない。
恋愛でいえば、まだ告白する段階にも至っていないようなものなのだ。
料理をするみのりんのお尻にそっと手を伸ばそうとしている段階だ。
何の問題もない。
「さあ、バッターの新井は初球ボール球の抜けたチェンジアップの後はストライク2つをあっさりと見送りまして1ボール2ストライクと追い込まれました」
「ストライク2つはヒットにするのは難しい球でしたからねえ。ここからでしょう」
初球のあとはインコース低めのストレートと、アウトコースいっぱいのスライダーで2ストライクを取られた。
正直どっちもコースがいいところに来てしまったので、打てるボールではなかった。
勝負は次の球。インコースにズバッとくるか、ウラをかいてアウトコースのスライダーをボール気味にしてくるかのどちらかと読む。
「ピッチャー村山投げました!」
ビシュッと投げられたボールが向かってくる。
コースは真ん中、そして低め。ストレートか!
バットを振りだした瞬間、すっとボールにブレーキがかかり、ストライクからボールゾーンに落ち始める。
俺はあわてて振りだしたバットを止めようとした。
コンッ!
止めたバットにボールが当たってしまった。
「実況!4割打者の新井さん」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
3万
-
4.9万
-
-
5,070
-
2.5万
-
-
1.2万
-
4.7万
-
-
8,090
-
5.5万
-
-
9,625
-
1.6万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
140
-
227
-
-
1,257
-
8,382
-
-
600
-
220
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
558
-
1,070
-
-
2,410
-
6,662
-
-
58
-
278
-
-
6,569
-
2.9万
-
-
13
-
1
-
-
9,293
-
2.3万
-
-
166
-
148
-
-
44
-
89
-
-
6,119
-
2.6万
-
-
11
-
4
-
-
48
-
129
-
-
3,521
-
5,226
-
-
387
-
438
-
-
138
-
78
-
-
33
-
11
-
-
42
-
55
-
-
29
-
50
-
-
7,409
-
1.5万
-
-
1,579
-
2,757
-
-
167
-
156
「現代ドラマ」の人気作品
-
-
357
-
266
-
-
207
-
139
-
-
159
-
142
-
-
139
-
71
-
-
137
-
123
-
-
111
-
9
-
-
38
-
13
-
-
28
-
42
-
-
28
-
8
コメント