実況!4割打者の新井さん
ついにスタメンの新井さん。
翌日。午後2時前。間違いなく野球のスレッドを見る限り、俺が控えのキャッチャーの子と変わるようにして1軍に昇格したという情報が出ていた。
こらぁ、へたくそども!
と叫びながら、大荷物を持ってロッカールームに俺は突撃した。
するとチームメイト達は………。
「おーい、新井じゃねえかよ!」
「てめえ、なにヒット打って1日で2軍落ちしてんだよ」
「新井さん、待ってましたよ!!」
温かく俺を迎え入れてくれた。
ノーノーを阻止するヒットを放ちながら、投手の駒不足による影響で結果を残したのに、ファーム落ちする人間がいたとしたら、俺だって同情するさ。
ともかく、練習ですよ。
「よろしくお願いします!」
ランニング、ストレッチから始まるウォーミングアップをこなして、俺のフリーバッティングの時間になった。
何故だかフリーバッティングでの順番の最後となっている俺は待ち遠しさを押し殺すようにして、ホームベースに設置されたゲージの中に入る。
バッティングピッチャーのおじさんにヘルメットを外して挨拶すると、ボールを持った右手でおじさんは挨拶を返す。
「久しぶりだな、新井くん! どこに投げる?」
18メートル先でおじさんはそう訊ねてきた。
俺の答えは決まっている。
「おっちゃん! 真剣勝負じゃ!全力で投げてこいや!!」
俺がそう言って挑発するようにしてバットを構えるとバッティングピッチャーのおじさんががははは! と、笑い声を上げた。
「新井くん! 1軍でヒットを打ったからって調子に乗るなよ!」
足場をならし、汗をぬぐったおじさんがさっきまでゲージの外で見ていたのとはまた違うボールを放ってきた。
俺はそれを打ち返す、打球は右中間に落ちるヒット性の当たり。
すると、おじさんのギアがまた上がった。
そしてそのボールをまた打ち返す俺であった。
カンッ!!
ようやく相手の広島がぼちぼちファウルグラウンドに出てアップをし始めたくらいで、ビクトリーズスタジアム内はまだ静か。
その妙な静けさの中で、俺の打球音だけがスタジアム内に響く。
バッティングピッチャーのおじさんの本気のまっすぐ。
1軍で勝利投手になったこともある元プロのピッチャーで、引退してから10年以上になるおじさんではあるが、力を入れればまだまだノビのいいボールが手元にくる。
しかし、俺だってこれからプロ野球の世界でしがみついていかなければならない身。
1軍の監督やコーチが見てる前で、試合前のフリーバッティングとはいえ、試合で使いたくなるような打撃を見せなくてはならないのだ。
「バッティング練習、残り1分です」
アナウンスとバックスクリーンに映し出されたカウントダウンで俺の見せ場の時間が終わる。
カンッ!!
最後に弾き返した打球がライト線に落ち、俺は足場をならしてバッティング練習を終わりにしておじさんにお礼を言ってベンチに下がった。
そして、あっという間に試合の時間だ。
「続きまして、後攻の北関東ビクトリーズのスターティングメンバーを発表致します!」
相手チームのバッティング練習とシートノックが終わり、観客がスタンドを埋め尽くしていく。
もちろんうちのホームなので、ピンク色のユニフォームが大半ではあるが、相手チームの広島の赤いユニフォームとキャップもぼちぼち見受けられる。
バックスクリーンに微妙な出来のPVのようなものが流れ、空欄の打順表が映し出される。
「1番、センター、柴崎!」
「2番、ライト、桃白!」
「3番、サード、阿久津!」
「4番、ショート、赤月!」
「5番、ファースト、シェパード!」
「6番、キャッチャー、鶴石!」
「7番、レフト……………新井時人!」
何故フルネームで呼ばれた?
「8番、セカンド、浜出!」
「9番、ピッチャー、碧山!」
ほら、見ろ! 野郎ども!! 俺がスタメンだぞ!
こらぁ、へたくそども!
と叫びながら、大荷物を持ってロッカールームに俺は突撃した。
するとチームメイト達は………。
「おーい、新井じゃねえかよ!」
「てめえ、なにヒット打って1日で2軍落ちしてんだよ」
「新井さん、待ってましたよ!!」
温かく俺を迎え入れてくれた。
ノーノーを阻止するヒットを放ちながら、投手の駒不足による影響で結果を残したのに、ファーム落ちする人間がいたとしたら、俺だって同情するさ。
ともかく、練習ですよ。
「よろしくお願いします!」
ランニング、ストレッチから始まるウォーミングアップをこなして、俺のフリーバッティングの時間になった。
何故だかフリーバッティングでの順番の最後となっている俺は待ち遠しさを押し殺すようにして、ホームベースに設置されたゲージの中に入る。
バッティングピッチャーのおじさんにヘルメットを外して挨拶すると、ボールを持った右手でおじさんは挨拶を返す。
「久しぶりだな、新井くん! どこに投げる?」
18メートル先でおじさんはそう訊ねてきた。
俺の答えは決まっている。
「おっちゃん! 真剣勝負じゃ!全力で投げてこいや!!」
俺がそう言って挑発するようにしてバットを構えるとバッティングピッチャーのおじさんががははは! と、笑い声を上げた。
「新井くん! 1軍でヒットを打ったからって調子に乗るなよ!」
足場をならし、汗をぬぐったおじさんがさっきまでゲージの外で見ていたのとはまた違うボールを放ってきた。
俺はそれを打ち返す、打球は右中間に落ちるヒット性の当たり。
すると、おじさんのギアがまた上がった。
そしてそのボールをまた打ち返す俺であった。
カンッ!!
ようやく相手の広島がぼちぼちファウルグラウンドに出てアップをし始めたくらいで、ビクトリーズスタジアム内はまだ静か。
その妙な静けさの中で、俺の打球音だけがスタジアム内に響く。
バッティングピッチャーのおじさんの本気のまっすぐ。
1軍で勝利投手になったこともある元プロのピッチャーで、引退してから10年以上になるおじさんではあるが、力を入れればまだまだノビのいいボールが手元にくる。
しかし、俺だってこれからプロ野球の世界でしがみついていかなければならない身。
1軍の監督やコーチが見てる前で、試合前のフリーバッティングとはいえ、試合で使いたくなるような打撃を見せなくてはならないのだ。
「バッティング練習、残り1分です」
アナウンスとバックスクリーンに映し出されたカウントダウンで俺の見せ場の時間が終わる。
カンッ!!
最後に弾き返した打球がライト線に落ち、俺は足場をならしてバッティング練習を終わりにしておじさんにお礼を言ってベンチに下がった。
そして、あっという間に試合の時間だ。
「続きまして、後攻の北関東ビクトリーズのスターティングメンバーを発表致します!」
相手チームのバッティング練習とシートノックが終わり、観客がスタンドを埋め尽くしていく。
もちろんうちのホームなので、ピンク色のユニフォームが大半ではあるが、相手チームの広島の赤いユニフォームとキャップもぼちぼち見受けられる。
バックスクリーンに微妙な出来のPVのようなものが流れ、空欄の打順表が映し出される。
「1番、センター、柴崎!」
「2番、ライト、桃白!」
「3番、サード、阿久津!」
「4番、ショート、赤月!」
「5番、ファースト、シェパード!」
「6番、キャッチャー、鶴石!」
「7番、レフト……………新井時人!」
何故フルネームで呼ばれた?
「8番、セカンド、浜出!」
「9番、ピッチャー、碧山!」
ほら、見ろ! 野郎ども!! 俺がスタメンだぞ!
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