実況!4割打者の新井さん
ギャル美さん、お邪魔ですよ。
コンコン。
俺は監督室のドアをノックする。
「おう、新井か。入れ」
部屋の中から、2軍監督の声がして俺はゆっくりとそのドアを開ける。
「失礼しまーす」
部屋に入ると、まだユニフォームにグラコン姿の監督がキャップを外して机の上に置いた。
「お疲れさん。いい活躍だったな。今日も猛打賞とは」
「いやあ、それほどでも………」
俺は照れたフリをして頭をかく。
早く本題に入れよと俺はそう思いながら頭をかいていた。
「新井」
「はい!」
「この前に、お前が持ってきたクッキー美味かったんだがあれはどこのだ?」
「は?」
いつしか俺が試合に出たくてゴマすりしてた時に持ってきたクッキーの空の箱を監督は見せてきた。
「それは親会社のビクトリーズカンパニーのクッキーですけど」
「どこで買えるんだ?」
「駅ビルのショップかネットでいくらでも」
「そうか。………分かった。もう帰っていいぞ」
「はあ!?」
「冗談だよ。そんなにムキになるな」
監督室を出て、なんやかんやで結局1軍昇格を言い渡された俺は、得意のコサックダンスで長い廊下を進む。
1軍は明日からホームの宇都宮で広島との3連戦。
交流戦は、西日本リーグに所属する、愛知、京都、大阪、広島、四国、福岡の6球団と5月最初の週末から1カード3連戦合計18試合を戦う。
ここまで北関東ビクトリーズは、ビジターの大阪戦から交流戦をスタートし、3カードをこなして3勝6敗と流れに乗れていない。
しかも、明日の広島は12球団随一の打線を誇る強豪チーム。今シーズンもここまで2位福岡相手に4ゲーム差で首位を快走している。
東日本リーグで最下位を独走する北関東ビクトリーズにとっては正念場と言える。
しかし、年に1回の西日本リーグのチームとの試合、それも金曜日からの3連戦となればスタジアムはいつもより観客で埋まるはずで、後がない俺にとってはアピールする格好の場となるはずだ。
「新井さん、猛打賞おめでとうございます。桃餡まんじゅうです!」
「どーもー!」
俺はまた頂いた桃まんを抱えて急いで家路へ。そのままの勢いでみのりん部屋に飛び込んだのだが……。
「山吹さ…………」
「あら。ずいぶん早かったわね。もう試合終わったの?」
1軍昇格の報告をしようと、鼻息を荒くしてみのりんの部屋に忍び込むと、そこにはギャル美様がいらっしゃった。
みのりんはキッチンで料理中の様子だ。
「あら、マイちゃんこそ、もう今日のお仕事は終わったのかしら。ずいぶんお早いのねえ」
「なによその言い方は。私がみのりの部屋にいちゃいけないのかしら?」
ギャル美は予想通りのリアクションをしてくれたので、俺は面白がって笑いながら、ギャル美に持ってきた紙袋を差し出す。
「あら。あんたこれ、宇都宮桃菓堂じゃないの! どうしたの!?」
このお菓子は宇都宮人の中ではなかなか有名なお菓子屋さんで、ギャル美も例外なく、宇都宮桃菓堂の紙袋を見ただけで彼女のテンションがぐっと上がったのが分かった。
「美味しいわねえ、これ!」
晩ごはんが終わり、テレビを見ながらスイーツがてら猛打賞品としてもらった宇都宮桃菓堂の桃餡まんじゅうを食べる。
熱く濃いめのお茶を入れ、3人仲良くテレビを見ながら桃餡まんじゅうをパクつく。
桃の形をした和菓子で、周りはもちもち食感の薄皮餅。中には福島産の白桃ペーストが練り込まれた甘さがしつこくない白あんがお茶によく合う。
「あんたが2軍とはいえ、ヒットを3本も打ったなんて信じられないわ。一体なにがあったの?」
ギャル美は桃餡まんじゅうでほっぺをいっぱいにしながらそう聞いてきた。
「いやー、最近体の調子がいいんだよねー。体のキレが違ってきたというか………これも全部山吹さんが毎日のカロリーや栄養バランスを考えてくれる美味しい料理を作ってくれるからだな。ねー、山吹さん」
「…………ねー」
横でギャル美と同じように桃餡まんじゅうを頬張っていっぱいにしたみのりんのほっぺたをぷにぷにとつつく。
「やめてよ、新井くん。くすぐったい」
彼女は恥ずかしそうにプイッとそっぽを向く。
なんだか、ギャル美が邪魔だなあ。
俺はギャル美を睨み付ける。
「なによ、あんたの考えていることなんてお見通しよ。あたし、絶対帰らないから!」
ちっ。邪魔なギャルだなあ。
          
俺は監督室のドアをノックする。
「おう、新井か。入れ」
部屋の中から、2軍監督の声がして俺はゆっくりとそのドアを開ける。
「失礼しまーす」
部屋に入ると、まだユニフォームにグラコン姿の監督がキャップを外して机の上に置いた。
「お疲れさん。いい活躍だったな。今日も猛打賞とは」
「いやあ、それほどでも………」
俺は照れたフリをして頭をかく。
早く本題に入れよと俺はそう思いながら頭をかいていた。
「新井」
「はい!」
「この前に、お前が持ってきたクッキー美味かったんだがあれはどこのだ?」
「は?」
いつしか俺が試合に出たくてゴマすりしてた時に持ってきたクッキーの空の箱を監督は見せてきた。
「それは親会社のビクトリーズカンパニーのクッキーですけど」
「どこで買えるんだ?」
「駅ビルのショップかネットでいくらでも」
「そうか。………分かった。もう帰っていいぞ」
「はあ!?」
「冗談だよ。そんなにムキになるな」
監督室を出て、なんやかんやで結局1軍昇格を言い渡された俺は、得意のコサックダンスで長い廊下を進む。
1軍は明日からホームの宇都宮で広島との3連戦。
交流戦は、西日本リーグに所属する、愛知、京都、大阪、広島、四国、福岡の6球団と5月最初の週末から1カード3連戦合計18試合を戦う。
ここまで北関東ビクトリーズは、ビジターの大阪戦から交流戦をスタートし、3カードをこなして3勝6敗と流れに乗れていない。
しかも、明日の広島は12球団随一の打線を誇る強豪チーム。今シーズンもここまで2位福岡相手に4ゲーム差で首位を快走している。
東日本リーグで最下位を独走する北関東ビクトリーズにとっては正念場と言える。
しかし、年に1回の西日本リーグのチームとの試合、それも金曜日からの3連戦となればスタジアムはいつもより観客で埋まるはずで、後がない俺にとってはアピールする格好の場となるはずだ。
「新井さん、猛打賞おめでとうございます。桃餡まんじゅうです!」
「どーもー!」
俺はまた頂いた桃まんを抱えて急いで家路へ。そのままの勢いでみのりん部屋に飛び込んだのだが……。
「山吹さ…………」
「あら。ずいぶん早かったわね。もう試合終わったの?」
1軍昇格の報告をしようと、鼻息を荒くしてみのりんの部屋に忍び込むと、そこにはギャル美様がいらっしゃった。
みのりんはキッチンで料理中の様子だ。
「あら、マイちゃんこそ、もう今日のお仕事は終わったのかしら。ずいぶんお早いのねえ」
「なによその言い方は。私がみのりの部屋にいちゃいけないのかしら?」
ギャル美は予想通りのリアクションをしてくれたので、俺は面白がって笑いながら、ギャル美に持ってきた紙袋を差し出す。
「あら。あんたこれ、宇都宮桃菓堂じゃないの! どうしたの!?」
このお菓子は宇都宮人の中ではなかなか有名なお菓子屋さんで、ギャル美も例外なく、宇都宮桃菓堂の紙袋を見ただけで彼女のテンションがぐっと上がったのが分かった。
「美味しいわねえ、これ!」
晩ごはんが終わり、テレビを見ながらスイーツがてら猛打賞品としてもらった宇都宮桃菓堂の桃餡まんじゅうを食べる。
熱く濃いめのお茶を入れ、3人仲良くテレビを見ながら桃餡まんじゅうをパクつく。
桃の形をした和菓子で、周りはもちもち食感の薄皮餅。中には福島産の白桃ペーストが練り込まれた甘さがしつこくない白あんがお茶によく合う。
「あんたが2軍とはいえ、ヒットを3本も打ったなんて信じられないわ。一体なにがあったの?」
ギャル美は桃餡まんじゅうでほっぺをいっぱいにしながらそう聞いてきた。
「いやー、最近体の調子がいいんだよねー。体のキレが違ってきたというか………これも全部山吹さんが毎日のカロリーや栄養バランスを考えてくれる美味しい料理を作ってくれるからだな。ねー、山吹さん」
「…………ねー」
横でギャル美と同じように桃餡まんじゅうを頬張っていっぱいにしたみのりんのほっぺたをぷにぷにとつつく。
「やめてよ、新井くん。くすぐったい」
彼女は恥ずかしそうにプイッとそっぽを向く。
なんだか、ギャル美が邪魔だなあ。
俺はギャル美を睨み付ける。
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