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実況!4割打者の新井さん

わーたん

お鍋をつついて野球を語る。

「ただいまー!」

「お帰り、新井くん」

試合を終え、帰宅した俺はラフなジャージに着替えを済ませると、さっそくみのりんの部屋へとお邪魔した。

ドアが開かれると、いつものようにエプロン姿のみのりんが現れる。

肩まで伸びた髪の毛を後ろで小さくくっている。

「さ、上がって」

俺を迎え入れたみのりんが部屋の方へと振り向く。

くくった髪の毛の下で、白く細い首筋が俺の全てを釘付けにする。

キッチンにたどり着くまでの少しの間に、みのりんの首筋に触れたい衝動を必死に押さえ、持ってきた紙袋をみのりんに差し出した。

「あ、宇都宮桃菓堂の桃餡まんじゅう? 新井くん、どうしたの?」

「実は今日2軍の試合に出てさ、ヒット3本打って、猛打賞で頂いたのさ!」

みのりんは少し驚きながら、すぐに喜んだ表情を見せた。

「すごい!ヒット3本も打ったの? 今日はお祝いだね」

「まあ、2軍の試合だから。あ、お鍋がふつふついってるよ!」

「あ、ごめんなさい」




しかし、いいオイニーが部屋中に漂っておりますなあ。





「はい、お待たせ。今日は新井くんのリクエストに応えて、味噌鍋にしました」

「うわあ、すげー! 美味しそう!!」

テーブルの真ん中に置いたIHの上に土鍋をセット。

みのりんが土鍋の蓋を開けると、美味しそうな匂いとともに、大量の湯気が天井に向かって吹き上げる。

今日は、ギャル美もポニテおっぱいちゃんもいないので、みのりんとずっと2人っきりという俺のテンションのように。

勢いよくキッチンの天井に湯気が立ち込める。

「よそってあげるね」

みのりんはそう言ってテーブルの向かい側から乗り出すようにして、菜箸とお玉を使って俺の取り皿に肉や野菜を盛っていく。

その際、鍋の向こう側に見えるみのりん胸元が若干チラチラしていた。

彼女の着ているシャツの首元が緩み、暗くもすぐそこに彼女の控え目な膨らみがある気がする。

みのりんの胸元を照らすために、もし懐中電灯とかペンライト商人がいたとすれば、今の俺なら1万円札を出して釣りはいらぬと、購入してしまうかもしれない。


あと、鍋の湯気がすげー邪魔! 天井に立ち込めるのはもういいから、どっか行ってほしい。




「どう? 美味しい?」

「美味しいよ! あったまるわー!」

みのりんが作った味噌鍋はこれまた絶品で貝と昆布から取ったダシは深みがあって体に染み渡る。

なんこついりのコリコリした食感のつくねもサイコーで、ご飯がどんどん進む。

「酢の物と鶏ササミもちゃんと食べてね」

鍋とご飯を頬張る俺にみのりんは小鉢の和え物を差し出す。

最近彼女はスポーツ栄養学なるものを勉強しているようで、主菜副菜を中心に野菜や海藻をメインとした料理を何種類も作り、品数豊富な食事を出してくれるようになったのだ。

おかげで最近体も調子がよく、体調を崩すこともない。

今日2軍で活躍出来たのも、みのりんのサポートあってこそのものだ。


「新井くん、今日はどんなヒットを打ったの?」

「えっと、1打席目は変化球をライト前に打ったんだけど。相手は埼玉ブルーレオンズの1軍でも活躍してる左ピッチャーだったんだけど……」

「うんうん」




「それで最後の3安打目は、前の2打席がアウトコースのボールをヒットにしているから、必ずインコース勝負になるわけよ」

「そうなの? 絶対?」

「絶対ではないけど、2本のヒットでキャッチャーに、こいつ外打つの得意そうだな、内側のボールで勝負したろ! ってなるわけ。だって、3回続けて同じ打者に同じコースを同じようにヒットにされたら、キャッチャーがベンチに帰ったら、めっちゃ怒られるからね。少しは考えろや! って」

「そうなんだ」

「だけど、こっちはインコースで勝負してくるのは分かってるから、その準備をしておくのよ。最初の打席で1球ストレートをあえて見逃しておいてりから、タイミングも取れるし」

「新井くん、でもどうやってインコースのボールに対して準備するの?」

「踏み出す左足を開いて踏み込むのよ。そうすると体は3塁方向に広がるから、インコースのボールが打ちやすくなるわけ。まあ、それでもバットが折られて内野安打になるくらいギリギリのバッティングだったけどね。なにより、左の技巧派ピッチャーだったから、俺は相性がよかったのが全てだけどね」


「へえ。新井くんって結構ちゃんと考えて野球してるんだね。あんまり考えないタイプかと思ってた」


なんだと!?

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