実況!4割打者の新井さん
学生時代のおふたりさん。
翌日。2軍にて。
「続きまして、後攻の北関東ビクトリーズのスターティングメンバーを発表致します!」
などというアナウンスが聞こえる2軍の練習場横で俺は、終わらない罰ゲームを実行していた。
試合が始まる前にこっそり見たメンバー表の控え欄には最後の最後に俺の名前があるので、呼ばれれば試合に出ることも可能なのだが、2軍の首脳陣はそんなつもりはさらさらないらしい。
まあ、5月に入り、交流戦に入っても、開幕当初から続くチームの不振に明るい兆しはない。
こちらも低迷と世間では言われている5位横浜にたいしても既に6、5ゲーム差ついているこの状況では、俺を干しているコーチ陣達が来シーズンもユニフォームを着ているかどうかはあやしいところだ。
「新井くーん! どうしたんやー!? インターバルは終わっとるでー!!」
坂道の頂上で、関西のトレーニングコーチが嬉しそうに俺を呼んでいる。
もう15本か20本か。
そのくらいこなして乳酸溜まりっ放しの太ももにムチ打って、俺はまた坂道を駆け上がるのだ。
ビクトリーズ、3夜連続の投壊で大阪相手に交流戦3連敗!
北関東 110 200 000  4
大阪    003 031 20×  9
勝 近野 2勝1敗 負 奥田 1敗
本塁打
北関東 鶴石2号2ラン(4回)
大阪     柱谷3号3ラン(3回)
大阪が北関東相手に同一カード3連勝。大阪は0ー2で迎えた3回、ルーキー柱谷の3ランで逆転に成功する。
再逆転された6回には、敵失と松原のタイムリーで再び逆転に成功した。5回から登板した近野が今シーズン2勝目。敗れた北関東は、エラーが失点に繋がり、投手陣が2度のリードを守れず3連敗を喫した。
あーあ。ちょっとスマホで確認してみたら、1軍はジャガース相手に3連敗かよ。
そんな結果を知ってしまって、俺のテンションはだだ下がり。
移籍しよーかなー。
「新井くーん。ご飯出来たよー」
「へえ。山吹さんってこの辺りの生まれなんだ」
「そうだよ。向こうの道路に行った先にある高校までずっとマイちゃんと一緒だったの」
夜9時の暗くなった公園の脇道。
駅から歩く人と、スーパーやレンタルビデオショップがある通りの方から歩いてくる人はまばらにいるくらいの道。
街灯が等間隔に工場の側まで立っており、見通しは悪くなく、月に照らされた樹木の先が、初夏の温かい風に揺らされている音が耳に届く。
夜9時半から洋菓子工場での勤務がある山吹さんを送っていくような形で、俺が彼女の隣を同じスピードで歩を進めていく。
「マイちゃんとずっと一緒だなんて、毎日引っ張り回されるみたいで大変だったんじゃない? 今でも、お腹がすいたら山吹さんの部屋に上がりこんで来るし」
あのギャル美のことだから、ことあることにギャーギャー騒ぎ立て、可憐でおとなしい山吹さんを困らせていたのではないかと、俺は予想した。
しかし………。
「ううん。マイちゃんはずっとおとなしい子だったよ。私よりもずっと」
へ? 嘘だあ!
「続きまして、後攻の北関東ビクトリーズのスターティングメンバーを発表致します!」
などというアナウンスが聞こえる2軍の練習場横で俺は、終わらない罰ゲームを実行していた。
試合が始まる前にこっそり見たメンバー表の控え欄には最後の最後に俺の名前があるので、呼ばれれば試合に出ることも可能なのだが、2軍の首脳陣はそんなつもりはさらさらないらしい。
まあ、5月に入り、交流戦に入っても、開幕当初から続くチームの不振に明るい兆しはない。
こちらも低迷と世間では言われている5位横浜にたいしても既に6、5ゲーム差ついているこの状況では、俺を干しているコーチ陣達が来シーズンもユニフォームを着ているかどうかはあやしいところだ。
「新井くーん! どうしたんやー!? インターバルは終わっとるでー!!」
坂道の頂上で、関西のトレーニングコーチが嬉しそうに俺を呼んでいる。
もう15本か20本か。
そのくらいこなして乳酸溜まりっ放しの太ももにムチ打って、俺はまた坂道を駆け上がるのだ。
ビクトリーズ、3夜連続の投壊で大阪相手に交流戦3連敗!
北関東 110 200 000  4
大阪    003 031 20×  9
勝 近野 2勝1敗 負 奥田 1敗
本塁打
北関東 鶴石2号2ラン(4回)
大阪     柱谷3号3ラン(3回)
大阪が北関東相手に同一カード3連勝。大阪は0ー2で迎えた3回、ルーキー柱谷の3ランで逆転に成功する。
再逆転された6回には、敵失と松原のタイムリーで再び逆転に成功した。5回から登板した近野が今シーズン2勝目。敗れた北関東は、エラーが失点に繋がり、投手陣が2度のリードを守れず3連敗を喫した。
あーあ。ちょっとスマホで確認してみたら、1軍はジャガース相手に3連敗かよ。
そんな結果を知ってしまって、俺のテンションはだだ下がり。
移籍しよーかなー。
「新井くーん。ご飯出来たよー」
「へえ。山吹さんってこの辺りの生まれなんだ」
「そうだよ。向こうの道路に行った先にある高校までずっとマイちゃんと一緒だったの」
夜9時の暗くなった公園の脇道。
駅から歩く人と、スーパーやレンタルビデオショップがある通りの方から歩いてくる人はまばらにいるくらいの道。
街灯が等間隔に工場の側まで立っており、見通しは悪くなく、月に照らされた樹木の先が、初夏の温かい風に揺らされている音が耳に届く。
夜9時半から洋菓子工場での勤務がある山吹さんを送っていくような形で、俺が彼女の隣を同じスピードで歩を進めていく。
「マイちゃんとずっと一緒だなんて、毎日引っ張り回されるみたいで大変だったんじゃない? 今でも、お腹がすいたら山吹さんの部屋に上がりこんで来るし」
あのギャル美のことだから、ことあることにギャーギャー騒ぎ立て、可憐でおとなしい山吹さんを困らせていたのではないかと、俺は予想した。
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