実況!4割打者の新井さん
反撃のビクトリーズ2
1アウト1、2塁の場面でバッターボックスには阿久津さん。1回2回と強く素振りをして、バットを構える。
その胸には、キャプテンであることを示すCマーク。
誰もやりたがらなかった新球団のキャプテン
就任に手を上げた男がバッターボックスへ。ファンからも大きな歓声が上がる。
チーム打率1割台に沈む低調な打線で唯一の打率3割。孤軍奮闘の活躍を見せるベテランがどっしりとした構えでボールを待ち構える。
相手ピッチャーも大きく深呼吸しながらサインを確認し、セットポジションに入る。
隙あらば3塁への進塁を目指す柴ちゃんを目で牽制しながら第1球を投げた。
ボールは低めに沈む球。阿久津さんがスイングするすると、打球は1塁ベンチ上のスタンドへと消えていった。
「初球は低めのスライダーでしたね。ビクトリーズ打線はこの球に苦しんでいます」
「ビクトリーズはこのボールを捉えないとダメですね。これから先の試合でも同じようにやられますよ」
「見送った! きわどいところ判定はボール! これでフルカウントです」
ストライクと言われてもおかしくないきわどい低めのストレートを見逃し、主審は一瞬間を置いてボール判定。
スタジアムがどよめきに包まれる。
これでフルカウント。次のボールで決まる。
「次が6球目。1回、2回とピッチャー首を振りまして、セットポジションに入りました。ランナーはスタートしません。……………打った! 打球は左中間へ!!」
勝負球はこの日抜群の威力を誇っていた低めに落ちるスライダー。
いいコースにいったように見えた球だったが、阿久津さんは思い切り踏み込んで前で捌いた。
前のめりになりながらも、最後までバットの返しを我慢して、ギリギリまで左足で踏ん張り、ボールを叩いた。
打球はハーフライナーとなって、左中間の真ん中へ。
深めに守っていた俊足の相手センターが一気に前進してきた。
「センター佐藤が前進、前進!! ダイビングキャッチ!!   あ、取れない、取れない!! ボールを逸らしました! レフトがボールを追いかける! ………2塁ランナー柴崎は3塁を回る! ………1塁から高田も3塁を蹴った、蹴った!! バックホームされますが………滑り込んでセーフ!! ビクトリーズどうてーん!!」
「北関東ビクトリーズ、8回ウラ同点に追い付きました。3番阿久津の2点タイムリーツーベース! 東京スカイスターズは、ここでピッチャー交代のようです」
ツーベースを放った阿久津さんが塁審にタイムをかけて左肘のプロテクターを外しながら、2塁ベースを離れる。
起死回生の同点となる1打を放ったキャプテンだったが、その表情が緩むことはない。1塁ベースコーチとグータッチをかわすと、少し夜空を見るように顔を上げながらベースに戻っていった。
「よっしゃあ。やっぱすごいよ阿久津さんは」
「すごいっすよね、あのスライダー捉えるなんて」
普段は元気な2人。本塁に生還した柴ちゃんを坊主頭の浜出君が出迎える。
さっきまでお通夜のような顔をしていた2人だったが、ようやく笑顔でハイタッチをかわしてベンチに腰を下ろす。
いちいち一喜一憂しやがって。
そんなんでシーズン戦い切れるのかよ。今はレギュラーなんだから、しっかりして欲しいわよね。
「4番ショート、赤月」
その胸には、キャプテンであることを示すCマーク。
誰もやりたがらなかった新球団のキャプテン
就任に手を上げた男がバッターボックスへ。ファンからも大きな歓声が上がる。
チーム打率1割台に沈む低調な打線で唯一の打率3割。孤軍奮闘の活躍を見せるベテランがどっしりとした構えでボールを待ち構える。
相手ピッチャーも大きく深呼吸しながらサインを確認し、セットポジションに入る。
隙あらば3塁への進塁を目指す柴ちゃんを目で牽制しながら第1球を投げた。
ボールは低めに沈む球。阿久津さんがスイングするすると、打球は1塁ベンチ上のスタンドへと消えていった。
「初球は低めのスライダーでしたね。ビクトリーズ打線はこの球に苦しんでいます」
「ビクトリーズはこのボールを捉えないとダメですね。これから先の試合でも同じようにやられますよ」
「見送った! きわどいところ判定はボール! これでフルカウントです」
ストライクと言われてもおかしくないきわどい低めのストレートを見逃し、主審は一瞬間を置いてボール判定。
スタジアムがどよめきに包まれる。
これでフルカウント。次のボールで決まる。
「次が6球目。1回、2回とピッチャー首を振りまして、セットポジションに入りました。ランナーはスタートしません。……………打った! 打球は左中間へ!!」
勝負球はこの日抜群の威力を誇っていた低めに落ちるスライダー。
いいコースにいったように見えた球だったが、阿久津さんは思い切り踏み込んで前で捌いた。
前のめりになりながらも、最後までバットの返しを我慢して、ギリギリまで左足で踏ん張り、ボールを叩いた。
打球はハーフライナーとなって、左中間の真ん中へ。
深めに守っていた俊足の相手センターが一気に前進してきた。
「センター佐藤が前進、前進!! ダイビングキャッチ!!   あ、取れない、取れない!! ボールを逸らしました! レフトがボールを追いかける! ………2塁ランナー柴崎は3塁を回る! ………1塁から高田も3塁を蹴った、蹴った!! バックホームされますが………滑り込んでセーフ!! ビクトリーズどうてーん!!」
「北関東ビクトリーズ、8回ウラ同点に追い付きました。3番阿久津の2点タイムリーツーベース! 東京スカイスターズは、ここでピッチャー交代のようです」
ツーベースを放った阿久津さんが塁審にタイムをかけて左肘のプロテクターを外しながら、2塁ベースを離れる。
起死回生の同点となる1打を放ったキャプテンだったが、その表情が緩むことはない。1塁ベースコーチとグータッチをかわすと、少し夜空を見るように顔を上げながらベースに戻っていった。
「よっしゃあ。やっぱすごいよ阿久津さんは」
「すごいっすよね、あのスライダー捉えるなんて」
普段は元気な2人。本塁に生還した柴ちゃんを坊主頭の浜出君が出迎える。
さっきまでお通夜のような顔をしていた2人だったが、ようやく笑顔でハイタッチをかわしてベンチに腰を下ろす。
いちいち一喜一憂しやがって。
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「4番ショート、赤月」
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